【サッカー】神戸・三木谷氏とは“真逆” 躍進する町田・藤田晋社長の「監督・選手補強」価値観

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 5月15日は「Jリーグの日」だった。31年前のこの日、日本で野球に次ぐプロスポーツリーグとしてJリーグが誕生したが、今季のJ1で勝負強さを発揮しているのが、FC町田ゼルビアだ。昨季はJ2だったが、現在、J1の20クラブ中2位につけている。

 町田の指揮を執るのは、53歳の黒田剛監督。2年前までは高校サッカーの強豪・青森山田高を指導していた人物である。「Jリーグ誕生の日は(ホテルマンとして)会社の寮でテレビ観戦をしていた」という黒田監督は、「そんな私が今こういうステージで勝負をしていることが信じられない。気持ちさえあれば何歳からでもチャレンジできる。そういうこと全国に見せていきたい、自分が先頭に立って走りたい気持ちがある」と胸を張る。

 勝負事は勝つことが正解となる。プロの世界なら尚更だ。15日の試合でも町田は、C大阪相手に先制して追いつかれながら、後半のアディショナルタイムで決勝ゴールを決めた。

「その戦術は高校時代と何ら変わりません。黒田監督のハイプレスをかけてロングスロー、ロングボールを多用する戦い方にJクラブが四苦八苦していることが情けなさすぎます」(サッカー担当記者)

 つまり、31年目に入ったJリーグが高校サッカーの戦術に太刀打ちできない、笑うに笑えない状況が続いているということだ。

「町田が黒田監督の指揮のもと、攻撃、守備、戦術など、それぞれ担当コーチを配置しているのが特徴で、チームスタッフは総勢70人を超える大所帯。過去のJクラブではなかった編成です」(同)

 これを実践できるのは、クラブオーナーの存在が大きい。サイバーエージェント藤田晋社長である。

「2年前の監督選考の際、クラブの強化部は黒田監督ではない人物を推しました。そんな中、最終選考で黒田監督を選んだのは、他ならぬ藤田オーナーです。ヴィッセル神戸三木谷浩史会長とは昵懇の間柄ですが、藤田氏は三木谷氏のように何十億円もかけた大型補強には否定的。そんな視点から戦いを見るのも面白い」(同)

 町田にとっては今後、パフォーマンスが落ちる真夏の過密日程が一つのヤマになる。

小田龍司

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