二松学舎大付が早実を破り東京V 延長十二回、「楽しんだ」守り合い

早稲田実―二松学舎 延長十二回裏、二松学舎大付はスクイズでサヨナラ勝ち。生還した永尾(奥)を迎える選手たち=2024年11月7日午後7時44分、神宮、高億翔撮影

(7日、高校野球 秋季東京都大会決勝 二松学舎大付6―5早稲田実=延長十二回タイブレーク)

 試合の早期決着を促す延長タイブレークで、延々とスコアボードに0が並ぶ。

 「みんな、この場を楽しもうぜ。こんな経験なかなかできない」

 二松学舎大付の主将、日笠雅凰はイニング間の円陣で仲間に語りかけた。

 両チーム計4失策と、互いに守備が乱れた九回までの攻防がうそのよう。延長戦では無失策の守り合いが続いた。

 後攻の二松学舎大付は、無死一、二塁から始まる守りを無失点に抑えても、直後の攻撃でサヨナラの好機をことごとく0でしのがれた。

 十二回の守りは、無死満塁のピンチをエース及川翔伍の2連続三振などで切り抜けた。直後の攻撃では1死満塁とする。打席には途中出場の根本千太郎が立った。

 「決めるしかない」。市原勝人監督のサインを見て、覚悟を決めた。スクイズだ。

 打球を一塁線に転がすと、相手の一塁手の本塁へのグラブトスは間に合わず、三塁走者が生還(記録は一塁内野安打)。試合に終止符を打った。

 根本は「本当にうれしかった。ここまで頑張ってきて良かった」とサヨナラ勝利に浸った。

 春夏12度の甲子園出場がある東東京の強豪が、21年ぶり3度目の秋の東京王者に輝いた。準々決勝で日大三、準決勝で帝京と、強豪を続けてコールドで下し、決勝は今夏の甲子園で16強入りした早稲田実を破った。2023年春の選抜大会以来の甲子園出場を確実とした。

 ヘッドスライディングの内野安打で2度出塁した日笠はうなずいた。「今年は気持ちのチーム。みんな戦う顔をして、しぶとい野球ができた」(大宮慎次朗)

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