出雲駅伝制した国学院大・平林清澄の勝負眼 並走が勝負の分かれ目に

1位でゴールする国学院大アンカーの平林清澄=樫山晃生撮影

 学生駅伝シーズンの幕開けとなる第36回出雲全日本大学選抜駅伝は14日、島根県出雲市の出雲大社正面鳥居前―出雲ドーム前の6区間、計45.1キロで争われ、国学院大が2時間9分24秒で5年ぶり2度目の優勝を果たした。3連覇を狙った駒大は2位だった。

 右足、左足……。無駄のないきれいなフォームで並走していく。学生陸上界を代表する両校のエースだからこそ生まれる、心地よいリズムだ。

 最終6区、4秒差でたすきをもらった駒澤大の篠原倖太朗(4年)は1キロ過ぎで先頭の国学院大の平林清澄(4年)に並んだ。

 追いついたら後方に少し距離をとって、先頭の様子を見るのが定石。だが、篠原はそうしなかった。

 駒大の藤田敦史監督は「たぶん篠原にはプライドがあって、横に並んだと思う」。

 この選択が勝負の分かれ目になった

 4・5キロ付近。平林は「少し遅れたのが横で感じた」とわずかな変化を見逃さなかった。苦しい表情の篠原を尻目に、一気に引き離す。40秒差をつけてゴールテープを切った。国学院大の前田康弘監督は「度胸とマネジメント力を持っている彼の強さが出た」とたたえ、教え子と拳を突き合わせた。

 今年2月の大阪マラソンを初マラソン日本最高で制した平林に対し、篠原は今季、屋外5000メートル日本人学生記録を更新した。注目のエース対決は平林に軍配が上がった。

 「相手が強いのはわかっていた。冷静な判断ができた」と平林。篠原は「1区から5区はゲームをつくってくれた。負けたのは自分のせい」と涙を流した。

 前回大会は5区終了時点でトップの駒大と2位の差が2分近くあった。今大会は青学大を含めた1~3位が、わずか24秒差でアンカーに渡った。

 「今回はうちに流れがきたが、力の差はないと感じている」と前田監督。例年以上に混戦を予感させる学生駅伝が幕を開けた。(辻隆徳)

ジャンルで探す