プロ通算49勝、阪神の秋山が引退会見「諦めずにやれたのは誇り」

引退会見でチームメートから花束をもらった阪神の秋山拓巳(左から2人目)。左端は原口文仁、秋山の右は梅野隆太郎、右端は高橋遥人

 今季限りでの現役引退を表明した阪神の秋山拓巳投手(33)が15日、兵庫県西宮市内で記者会見した。阪神一筋、15年間の現役生活を振り返り、「あっという間の15年だった。当たり前のようにやっていた野球が、もうできなくなると思うと悲しい」などと涙を流した。

 愛媛・西条高3年時に春夏の甲子園で活躍し、2009年のドラフト4位で入団。通算で49勝を積み上げた。

 思い出深い試合は、プロ1年目、2010年9月12日の甲子園でのヤクルト戦だ。9回を93球で無失点。初完投を初完封で飾り「すごく、今でも覚えている。歓声もすごかった」としみじみ振り返った。新人ながら4勝し、注目を浴びた。

 ただ、その後は苦しんだ。11年からの6年間は計2勝どまり。それでも、「腐らずにやってきた」と17年に自己最多の12勝を挙げるなど、計3度の2桁勝利をマークした。

 だが、近年はひざのけがに苦しみ、思うようなパフォーマンスを発揮できなかった。昨季は2試合の登板で未勝利に終わり、今季は2軍暮らしが続いていた。

 「なかなか状態が上がらなかった。これまで何度もはい上がってきたけれど、もう限界かなと思った」と引退の理由を明かした。

 会見には同期入団で同学年の原口文仁内野手(32)やバッテリーを組んできた梅野隆太郎捕手(33)らが駆けつけた。「お疲れさま」と花束を手渡されると、また涙があふれた。

 最後は胸を張って言った。「楽しい思いも、つらい思いもあった。でも、一度も野球が嫌にならなかった。あきらめずにやってこられたのは、誇りです」

 一つだけ心残りがあるという。

 チームは昨季、18年ぶりのリーグ優勝を飾ってハワイへ優勝旅行に行ったが、貢献できなかった自身は参加できなかった。

 現在、チームは2位。「今年はここから、ぜひ逆転優勝をしてもらって、ちょっと最後に甘えて、優勝旅行に連れて行ってもらえたらなと思っています」。涙をぬぐい、そう言って笑った。

 球団によると、24日に兵庫県西宮市の鳴尾浜球場で行われる2軍のソフトバンク戦で最後の登板に臨む予定。

 通算成績は134試合に登板し、49勝44敗。防御率3.66。(15日時点)。(山口裕起)

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