闘志前面、楽天・則本を奮い立たせる言葉とは 抑え1年目で30S

楽天の則本昂大=6月、有元愛美子撮影

 (14日、プロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス7―5北海道日本ハムファイターズ

 最後は中指と人さし指ではさんだ白球を打者のひざ元へ。九回、1点を失い、なお2死一、三塁。楽天の則本昂大はフルカウントでもボールゾーンに落とすことをためらわなかった。この日、先頭打者アーチをかけた水谷瞬を空振り三振にしとめると、中堅方向を向き、ほえた。

 今季から抑えに回り、目標の30セーブ目。「先発の勝ちを消さなくてよかった。『勝ちゃええんや』の気持ちで頑張ります」。ひと息ついた後に口にした関西弁に、誇りがあふれる。

 2014年から5季続けて最多奪三振に輝き、昨季までに114勝。「打者を殺しにいくイメージで投げている」。プロで生き抜く心構えを、そう後輩に説いたこともある。今季、荒れたマウンドで試合を締めるようになっても闘志をむき出しにするスタイルは変わらない。

 自らを奮い立たせる言葉は、「炎のストッパー」と呼ばれた故・津田恒実(広)が心に刻んだ「弱気は最大の敵」。

 「僕自身のモチベーションじゃないですけど、試合に臨む中でのルール。どんな状況でも、それはぶれずにやりたい」

 通算100勝を挙げた後、シーズン30セーブを記録したのは、1983年の江夏豊(日)、2007年の上原浩治(巨)に次いで3人目の快挙になる。「すごい方と同じところに名前が挙がるのは光栄。まだまだ精進しないといけない」。新境地に達しても、12月で34歳になる右腕の志は変わらない。(笠井正基)

■通算100勝とシーズン30セーブ(S)を記録した投手

投手  100勝達成 30S以上

江夏 豊 1972年 83年(34S)※

斉藤明夫  88年 82年(30S)

郭 源治  94年 88年(37S)

上原浩治 2006年 07年(32S)※

涌井秀章  15年 12年(30S)

則本昂大  22年 24年(30S)※

※は100勝達成後に30Sした投手

■非常に頼もしい存在

 今江監督(楽) 則本がリーグ最多の30セーブ。「則本が出たら大丈夫というようなチーム。こちらもどっしりしていられる。非常に頼もしい存在」

 早川(楽) 先頭打者本塁打を打たれたが、6回3失点で11勝目。「(一発は)登場曲を変えて力みすぎたってのがある」

 浅村(楽) 1点差に迫られた直後の六回に右越え3ラン。「感触はよかった。久しぶりに。あっちに角度がついた打球が飛んだのでよかった」

■村林、伊藤裕の適時打で勝ち越し

楽天が継投で逃げ切り、連勝。四回に追いつき、五回に村林、伊藤裕の適時打で勝ち越した。則本が30セーブ目。日本ハムは3連勝ならず。

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