宮古島の悲願へ好発進、イチローさんの教え生かし 高校野球沖縄大会

沖縄大会1回戦で好投した宮古の砂川結貴

 甲子園をめざす夏の全国高校野球選手権の地方大会が開幕した。北海道とともに全国のトップを切って、6月22日に始まった沖縄大会では、興南や沖縄尚学といった強豪校のほかに注目される公立校がある。昨年12月に元メジャーリーガーのイチローさんに指導を受けた宮古だ。

 開幕日にさっそく1回戦を戦った宮古は7―0で北谷に勝ち、好スタートを切った。2年生エースの砂川結貴が6イニングを1安打に抑える好投。「投手がよく投げてくれた」と平良栄二監督も満足そうだった。

 イチローさんが宮古に指導に来たのには理由がある。オリックスに入団して2年目の1993年から、球団が春季キャンプを宮古島で始め、汗を流した場所だからだ。

 2016年に大リーグで通算3千安打を達成した時には、宮古島市民が祝賀会を開いたほどファンが多く、野球熱も高い。「島から初の甲子園出場」という悲願に向けて、市民と宮古の部員たちが指導を要請して実現した。

 2日間にわたる指導で打撃面では「低い打球を打ちなさいと教わった」と平良監督。「そうすれば狙う球がおのずと決まってくると」。北谷との1回戦では3番打者・内間好晟の二塁手横を抜いた低い打球がそのまま右中間を抜けてランニング本塁打に。「強い打球をたたきつけようと思った」。教えが生きたひと振りだった。

 守備では、キャッチボールのときに「30~40メートルの距離をしっかり投げなさい」と教わったという。山なりの球ではなく強く投げるという意味だ。

 エースの砂川結はイチローさんとこの距離でキャッチボールした時に、球がシュート回転すると指摘された。「体が一塁側に倒れて、リリースポイントが変わってしまっていた。だから体を縦に使って力が捕手方向に正確に向くようにと」。実際の投球でも常に心掛けているという。

 平良監督は「同じ言葉でも、ぼくが言うのと一流の人が言うのとでは全然違う」と苦笑い。「一流の方から言われると、なぜ大切なのかがちゃんと子供たちも分かる」

 イチローさんの高校生指導は2020年から始まり、宮古で8校目。なかには国学院久我山(東京)のように、指導を受けた後の選抜高校野球で4強に入るなど戦績が大きく伸びた高校もある。

 宮古は過去に沖縄大会で2回準優勝の歴史をもつ。昨夏も公立校で唯一、沖縄大会4強に入った実力校だ。今夏、悲願にどこまで近づけるだろうか。(酒瀬川亮介)

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