屈辱まみれの1年、経験を糧に成長 貴景勝 大関で初V

優勝決定戦で照ノ富士を破った貴景勝=角野貴之撮影

 大相撲11月場所(東京・国技館)千秋楽の22日、大関貴景勝が2年ぶり2度目の優勝を果たした。

 「大関に上がってから、あまり良いことがなくて。精神的にも、もうひと踏ん張りしなきゃいけないな、と思ってて」

 優勝決定戦を制した貴景勝の唇は、小刻みに震えていた。胸に去来したのは、屈辱にまみれたこの一年ではなかったか。

 初場所。当時関脇の朝乃山に優勝が消える敗戦を喫し、悔し涙をこらえた。徳勝龍に20年ぶりの幕尻優勝も許した。春場所、再び朝乃山に屈して負け越し。両横綱が全休した秋場所も、賜杯(しはい)には届かなかった。

 それでも「悔しい気持ちっていうのが自分の活力」。辛酸をなめた経験が着実に24歳を強くしてきた。

 照ノ富士に豪快に倒され、背中にべっとり土がついたこの日の本割後は「考えたらきりがなく考えてしまう。脳の指令で体が動くんですけど、初めて脳を止めて体に任せた」と独特の境地で切り替えた。決定戦は二度、三度と元大関をはじき飛ばす馬力を発揮し、大一番で力を出し切った。

 ほかの2大関が休場し、連日の結びで土俵を引き締め続けた今場所は、幕尻の躍進もはね返して番付の権威を守った。八角理事長(元横綱北勝海)も「一人大関で立派ですよ。本当に」とたたえた。

 次に求められるのは、番付最高位にふさわしい力量だ。貴景勝は「『何年後までに』と条件を甘くするとよくない。できるだけ早く、早く」。渇望してきた綱とりの挑戦権を手にし、新年の土俵へ向かう。(松本龍三郎)

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