大谷翔平「50-50」を前に立ち込める暗雲…ド軍名将の「解任報道」懸念される選手への悪影響

写真・AP/アフロ

 

 2024年8月31日から始まったナ・リーグ西地区の天王山、首位ドジャース対2位ダイヤモンドバックス。ド軍は敵地にかかわらず3勝1敗と勝ち越し、ダ軍を6ゲーム差の3位へと引きずり落とし、代わって2位浮上のパドレスにも5ゲーム差をつけ、首位を走っている。

 

 指揮を執るデーブ・ロバーツ監督は、米国人の父と日本人の母との間に沖縄県那覇市で生まれ、親日家としても知られている。大谷翔平山本由伸のよき理解者でもあり、日本にもファンは多い。

 

 俊足好打の外野手で、現役時代はド軍やレッドソックス、パドレスなど名門チームで活躍。現役引退後は2016年から古巣ド軍の監督に就任した。

 

 以後、8年間で7度、ナ・リーグ西地区を制覇。2020年には念願のワールドシリーズ王者となった。監督デビューとなった2016年には、ナ・リーグ最優秀監督賞も受賞している。

 

 実績は申し分ない。しかも、今季も首位をキープをしている。それでもシーズン終了後に「解任」との報道が米メディアでは多く流れているという。なぜか。

 

 

「8年間で、一度だけナ・リーグ西地区で優勝できませんでしたが、その一度も2021年の2位で、首位のジャイアンツとはわずか1勝差でしたからね。ここまでの成績を残している監督は、現役、OBでもなかなかいません。

 

 それでも解任の報道が出るには理由があります。シーズン中の地区では無類の強さを誇りながら、ポストシーズンでの短期決戦となると、『からっきし弱い』『戦い方がシーズン中のようで短期決戦型ではない』というのが、ロバーツ監督になってからのドジャースへの評価なんです。

 

 とくにここ2年のポストシーズンの戦いぶりに、球団首脳陣はそうとう頭を痛めていると聞いています。

 

 2022年は2位パドレスに22ゲーム差、2023年は2位ダイヤモンドバックスに16ゲーム差とした。ところが、ナ・リーグ・ディビジョンシリーズでは、大差をつけた両チームに1勝3敗、0勝3敗と負け、リーグチャンピオンシップに進めませんでした。

 

 いくらシーズンで強さを発揮しても、短期決戦でこれならば、監督を変えるしかないのでは、といった考え方が出てきているわけです。ナ・リーグ西地区で勝っても、ワールドシリーズ制覇どころか、そこまでたどり着けなければ、解任される可能性は大いにあります」(現地記者)

 

 X上でも「ロバーツ監督解任」についてはさまざまな意見が飛び交っている。

 

《ピッチャーの起用法が悪過ぎる。勝てる試合を幾つ落したのかな。それと低打率の選手も多用。この辺りは責任問われるでしょうね》

 

《あと1ヶ月もすれば秋の風物詩ロバーツ監督によるマシンガン継投が始まる。継投に絶対的な正解はないのでコメントは避けますが、采配については議論されそう》

 

ドジャースに多くの日本人選手が入団するのは何故か、もしロバーツ監督を解任すれば 佐々木は来ない、大谷は契約を破棄して去る、影響大だ》

 

 ただ、スポーツ紙デスクは「まだ戦っている最中に監督の去就が報道されることは、選手に悪影響を及ぼす」と語る。

 

「1994年の日本シリーズは、森祇晶監督の西武と長嶋茂雄の巨人との戦いで、“巨人OB対決” とファンは大いに盛り上がっていたんです。

 

 ところが、試合前に巨人の親会社である読売新聞が『西武・森監督勇退』と報じた。さらに東京ドームに乗り込んできた西武ナインに対し、オーロラビジョンにも同じ文字が載った。

 

 当然、西武ナインは動揺を隠せませんでした。なにしろ在任9年間でチームを8度のリーグ優勝、6度の日本一に導いた名将が辞める。しかも、本人の口から聞くのではなく、よりにもよって読売新聞で知ってしまったわけですから。

 

 西武の選手のなかには『巨人はなぜ、そんなことをするんだ』とめちゃくちゃ怒っている選手が多数いました。初戦こそ、その怒りで西武は勝ちましたが、結局は2勝4敗で西武は負けました。巨人の力量というより、西武は心理戦で負けたようなものです。それくらい監督の去就は、選手に影響を及ぼすものです」

 

 9月3日現在、大谷は「44-46」(本塁打-盗塁)まで伸ばしている。前人未到の「50-50」までは秒読み段階に入っているが、悪影響が出ないことを祈りたい。

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