「チェコの人々の反応がすごい」金メダリスト・北口榛花 真っ先に“第二の故郷”に凱旋! “粋な決断”に日本でも大盛り上がり
パリ五輪でメダルを獲得した日本選手団が帰国したのは、8月14日のことだった。
しかしそのなかに、日本国民がもっとも凱旋帰国を楽しみにしていた彼女の姿はなかった。女子のトラック・フィールド種目で日本初となる金メダルを獲得した北口榛花だ。
その快挙のみならず、弾ける笑顔も人気急上昇のきっかけとなった。これは母・規子さんの「いつも笑顔でいれば幸せも一緒にやってくる」の教えを守っているからとのことだが、魅了されるファンは多い。
じつは、本誌は13日に所属先のJALの広報部に彼女の帰国予定日を尋ねていた。その際の答えは「(13日)本日、帰国するとの情報が流れましたが、まだ決定していません」とのことだった。
本来なら、日本選手団と同じ便で帰国するはずだが、北口はどこへ向かったのか。その答えがわかったのは、13日夜のことだったーー。
北口がやり投げを始めたのは、北海道・旭川の進学校である旭川東高校入学後のこと。それまでも、バトミントンと競泳で全国大会に出場したほどの運動神経の持ち主だった。やり投げの才能は瞬く間に開花し、早くも2015年の高3時には世界ユース選手権で金メダルを獲得している。
高校卒業後は、多くの五輪選手を輩出してきた日大へ進学。大学では、世界陸上のやり投げで銅メダルを獲得した村上幸史氏の指導を受けるが、1年後に村上氏が日大を退職し、師弟関係は解消された。
残りの大学生活はコーチ不在もあり、記録的に伸び悩んだ北口。そこで一念発起し、2019年2月、単身チェコに渡ったのだった。
「やり投げの世界記録は、いまだに男女ともにチェコの選手が保持しているなど、投てき大国して有名です。だからこそ、北口は思い切って飛び込んでいったんだと思います。そこで出会ったのがダビド・セケラック氏で、若手育成に評価の高い同氏が北口の面倒を見ることになった。
最初は練習方法の違いや、チェコ語の難しさから何度もぶつかったと聞いていますが、記録が伸びていくことで確執は解消。苦手だった助走も改善され、パリ五輪での金メダルは、間違いなく彼の指導が大きかったといえます」(スポーツライター)
2人の練習拠点はチェコの首都であるプラハではなく、ドイツ国境沿いにある小さな地方都市ドマジュリツェ。ここで二人三脚の練習に明け暮れた。
「世界で勝てるようになったのはセケラック・コーチとの出会いと、練習拠点のある街・ドマジュリツェのおかげ」と、北口本人が思っていても不思議ではない。
だからこそ北口は、獲得した金メダルを最初に見せるのは日本のファンではなく、ドマジュリツェの住人を選んだのだろう。この決断に日本のファンは反感を示すのではなく、北口の優しい心を絶賛。X上でも大盛り上がりだ。
《日本に帰らずチェコへ帰る チェコの人々の反応が凄い よかっね いい判断》
《日本へ帰国せずに拠点のチェコへ そしてしばらく転戦 いいね》
《北口榛花選手は日本に帰らず6年間住んでいるチェコに凱旋! チェコの人達に熱狂的に迎えられ素晴らしいチェコ語で挨拶! 素晴らしい笑顔!6年前槍投げのコーチは日本にいなく、コーチを求め単身チェコに渡り金メダルを掴んだ!》
《チェコ凱旋! 第二の故郷でも歓迎して貰っていて良かった。 彼女の人柄がそうさせるんだろうな、おめでとう!》
ドマジュリツェの住民が、北口を温かく迎えたのはいうまでもない。北口はしばらく帰国せずに欧州に残り、8月25日におこなわれる陸上の最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)シレジア大会と、ベルギーのブリュッセルでおこなわれる年間王者を決めるDLファイナル(9月13日、14日)に出場する。
パリ五輪からわずかな期間しか経っていないが、DLファイナルでの目標はもちろん初めて年間チャンピオンに輝いた2023年に続く連覇と、「夢では毎日70メートルを投げていました」と語っているように、大台突破を目指す。
08/17 05:00
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