身長223cmの中国女子バスケ選手「五輪代表見送り」選手への考慮だけじゃない、日本を脅かす中国の「方針転換」か

6月30日のU18女子アジアカップ決勝でも、身長差で圧倒したチャン・ツーユウ(右端)(写真・新華社/アフロ)

 

 7月9日、女子バスケットボールのU18中国代表チャン・ツーユウのパリ五輪出場が見送られたと、中国メディアで報じられた。

 

 2021年東京五輪で、日本は史上初の銀メダルを獲得したが、中国は5位と期待を大きく裏切った女子バスケ。だが、その後の大会などでの試合では中国が勝利することもあり、ほぼ互角といえた。

 

 パリ五輪には両国とも出場するが、中国には日本との立場を逆転できる“秘密兵器”が存在していた。それこそが、今回、落選したツーユウ選手だった。身長は223cm、年齢はまだ17歳。現在、ネットを中心に彼女のプレー動画が話題になっている。

 

 

「先の『FIBA U18女子アジアカップ2024』に出場すると、初戦のインドネシア戦から決勝の豪州戦まで、全試合に出場。決勝こそ敗れましたが、圧倒的な攻撃力で大会MVPに輝きました。武器は何といってもその高さです。シュートにしてもリバウンドにしても、ゴール前ならほとんどジャンプする必要がないほどでした。多くの国が2人がかりで挑んできましたが、まったく寄せつけませんでした」(スポーツ担当記者)

 

 この活躍を見て、中国国内だけでなく、“バスケの国”米国でも人気が沸騰。大手メディアのCNNが特集記事を組んだほどだった。

 

 最近、中国のパリ五輪に向けた強化試合は2勝9敗と大きく負け越しており、当然ながら国内では『代表にツーユウを』との声が多くあがっていたという。しかし、すでに五輪に向けたチームは長年、同じメンバーで強化試合をこなしていること、ツーユウの年齢的なことを含めて、代表招集には踏み切らなかったようだ。

 

「これだけの活躍をもってしても選出されなかった、いちばんの理由は、彼女の体を気遣ってのことです。というのも、超大型選手は当然、さまざまな関節に相当な負荷がかかるので、ケガをしやすい。そのため、若くして引退してしまう選手が多いんです」(スポーツライター)

 

 2002年、NBAドラフトの全体1位でヒューストン・ロケッツに指名されたヤオ・ミンは、身長229cmの高さを生かし、NBAの顔となった。オールスターにも8度、選出されたが、2009~2010年の全休に代表されるように、ケガが多く、NBAからは31歳の若さで引退した。

 

 また、中国女子代表で204cmのジュン・ハイシャは16歳で代表デビューを果たすと、1984年のロス五輪を皮切りに、4大会連続五輪出場を果たした。だが、1997年に30歳で引退している。

 

「そもそもバスケットボールは、ほかの競技と比べれば、選手寿命の長いスポーツです。30代中盤でも一線でプレーする選手は多いなか、ハイシャの30歳での引退はかなり早く感じます。

 

 やはり高身長ゆえの身体への負担は大きく、身体の回復にも普通の選手よりも時間がかかります。ツーユウ選手は6月後半に大会を終えたばかりで、身体の回復やケガを避ける意味でも、今回は選ばれなかったのだと思います。また、中国は最近、状態がよくないため、彼女がひとり入っただけではパリ五輪で上位に進めない、という分析もあったのでしょう」(同前)

 

 これまで、中国は勝つためになりふり構わず進んできた。しかし、もし今回の決定が、先を見すえて強化に取り組み始めた、という中国の方針転換を意味しているとすれば、長期的には日本にとって脅威となってくるだろう。

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