パリ五輪サッカー男子代表発表 懸念は“猛暑”…選手ファーストとは言えない「暗黙のルール」の数々

パリ五輪のサッカー男子日本代表に選ばれ、写真に納まる(左から)川崎、西尾、半田(写真・共同通信)

 

 パリ五輪でのメダル獲得に挑むサッカー男子日本代表のメンバー18人が、7月3日に発表された。そのなかには、出場が期待された遠藤航(リバプール)らオーバーエイジ枠の選手が一人もいなかったほか、五輪代表立ち上げの当初から中心となっていた松木玖生(FC東京)も選ばれなかったことが驚きを呼んでいる。

 

「技術はもちろん、精神的にもすごいタフな選手なので、大岩剛監督も選びたかったはず。しかし、Jリーグ所属のチームからはひとチーム3人は選ばないという暗黙のルールがあるので、FC東京からはGK野沢大志ブランドンと主将の藤田譲瑠チマが選ばれたため、押し出される格好になってしまいました」(専門誌記者)

 

 

 実力がありながら選ばれない理不尽な暗黙のルール。松木の今後のモチベーションも心配したくなるが、今注目される「落選選手」以外にも、選手らを縛る五輪特有のルールがある。

 

「そもそも、W杯の26選手に対し、五輪は18選手しか登録できないという制限に問題があります」と元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏は語る。

 

 FIFAは2023年12月、IOCの通達から選手登録は「18人+バックアップメンバー4人」と大会規則を公表していた。だが、FIFA側は、感染症のリスクを避ける観点などからも、22人への拡大を働きかけていたのだ。

 

 だが結局、その要望は通らず、バックアップメンバーを除くベンチ入り選手数は従来の18人となった。この、W杯よりも少ない登録人数は、何が問題なのだろうか。

 

「五輪は出場国が16カ国と、これまでのW杯の半数の出場国のため、決勝まで行ったとしても試合数は最大で5試合です。ところがW杯と決定的に違うのが、試合間隔が中2日しかないということ。しかもW杯の選手登録は26人から18人と8人も少ないので、これはかなり選手にとっては過酷な日程といえるでしょう。

 

 また、大会となると各国は、試合ごとに先発メンバーを大きく変える『ターンオーバー制』をとり、適度に選手を休ませる方式をとります。ところがベンチ入りが18人だと、GKを除けば控えは6人しかいない。これでは毎試合に出続ける選手は出てきますし、ターンオーバー制はとれません。とても選手ファーストのやり方とはいえません」(前出・六川氏)

 

 猛暑下での開催が予見されているパリ五輪。サッカーは男女ともに好成績が期待できるだけに「18人登録」が足枷にならなければいいが……。

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