創部3年で初のインハイ 発足から支えた福岡女学院エース、団体戦敗退で痛感した実力差

「自分が主役だと思えなかった」

創部3年目にして初のインターハイに出場した福岡女学院卓球部【写真:山田智子】

創部3年目にして初のインターハイに出場した福岡女学院卓球部【写真:山田智子】

高校総体・卓球、創部3年目の福岡女学院は学校対抗で初戦敗退

「自分が主役だと思えなかった」

 初めてのインターハイを戦い終えた、福岡女学院の韓美佳は、そう振り返った。

「緊張はあまりなかったですが、自分のペースに持ってこれなかった。県内では試合中に自分が主役になれていると思えるんですけど、全国は相手も強いし、自分が主役だと思えなかった。はっきりと実力の差が分かりました」と全国のレベルの高さを痛感した。

 8月13日、メダルラッシュに沸いた東京五輪の余韻が残る中、北陸の地では2年ぶりとなる全国高校総合体育大会(インターハイ)の卓球競技が開幕した。90回の記念大会となる今大会の学校対抗(団体)には、各都道府県代表に加え、各ブロックを勝ち抜いた学校が出場。例年より多いチーム数で競技が行われた。

 福岡女学院は、福岡県予選で“女子卓球黄金世代”の一人、早田ひなを輩出した強豪・希望が丘に敗れたものの、九州ブロック代表の座を勝ち取り、創部3年目にして初のインターハイ出場を果たした。

 九州では旋風を巻き起こした同校だが、全国の舞台はそんなに甘くはなかった。初戦の中国ブロック代表・山陽学園(岡山)戦。2つのコートで同時に行われたシングルスは、韓が1-3、松尾沙姫が0-3とともに敗れる。

 小園江慶二監督は「特に下級生は雲の上にいるみたいだった。ミーティングでも色々と話をしたんですが、脳で理解しても、実際にコートに立つと頭が真っ白になっていましたね。ミスが多く、力を出せなかった」と話す。

 学校対抗は11本5ゲームスマッチのトーナメント方式で実施され、1、2番シングルス、3番ダブルス、4、5番がシングルスの順に行い、3ゲームを先取した方が勝者となる。勝敗がかかった3番のダブルスも、福岡女学院は8-11と粘ったものの第1ゲームを取られてしまう。後がなくなった韓・岡本心優ペアは、ここでようやく強気の攻撃を発揮。第2、第3ゲームを連取する。

団体戦に出場する福岡女学院のエース・韓美佳【写真:山田智子】

団体戦に出場する福岡女学院のエース・韓美佳【写真:山田智子】

15日からシングルス、韓「最高の試合にしたい」

 第4、第5ゲームは接戦となるが、韓が得意とする“3球目攻撃”がなかなか決まらない。第4ゲームを奪われると、第5ゲームもデュースの末に10-12で落として敗れた。小園江監督は「韓にしてはめずしく、硬い試合だった。責任感の強い子なので、自分が勝たなければという思いがあったのかもしれない」と気遣った。

 福岡女学院卓球部は、2019年4月に創部された。きっかけはロンドン、リオデジャネイロ五輪で日本女子代表監督を務めた村上恭和氏が福岡女学院に講演会に訪れたことだった。同校に卓球部がないことを知り、「近くに名門の卓球クラブがあるから、そこと連携して、卓球に力を入れたら、すぐに全国を狙えますよ」と学校に力説した。

 その名門の卓球クラブとは、スポーツ用品店「こぞのえスポーツ」が開く卓球教室のこと。100人以上の地元の小中学生が所属し、かつては小園江監督が指導に当たっていた。村上氏と小園江監督とは旧知の仲でもあり、福岡女学院は村上氏の推薦を受けて小園江監督を招聘。こぞのえスポーツに所属していた選手たちが福岡女学院卓球部に入部した。

 1年生6人でスタートしたチームは、その年の12月に開催された県大会の団体戦で2位に。下級生が加わった2年目は、初の全国大会となる全国高校選抜大会に出場。3年目にして初のインターハイ出場と、チーム発足時の目標であった「全国大会出場」を早々と達成した。
小園江監督は「ここ(全国)で上に行くには、まだ2、3年かかる」と現在地を分析。それでも「経験が大事なので、インターハイに出場したことは大きい」と収穫を口にする。

 創部6人の部員のうちの一人が、韓だ。卓球経験者の祖父の下、5歳でラケットを握り、10歳からこぞのえスポーツで本格的に競技に取り組み始めた。福岡女学院進学後は、エースとしてチームを引っ張ってきた。シングルスでも、福岡県予選で2位に入り、インターハイ出場枠を独占する希望が丘の牙城を唯一崩した。

 15日から始まるシングルスに向けて、「13年間卓球をやってきて、今回が最後なので、勝敗に関係なく、最高の試合にしたい」と韓。最高の試合とは、もちろん、自分が主役だと思える試合だ。(山田 智子 / Tomoko Yamada)

山田 智子
愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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