“ミス・パーフェクト”宮原知子。世界選手権は自分との勝負になる!

GPファイナル、全日本選手権と悔しい思いをした宮原。「自分が納得する演技」を世界選手権の舞台で披露する。 photograph by Asami Enomoto

 2014年から'17年まで全日本選手権4連覇。昨年の平昌五輪ではメダルまであと一歩の4位となり、世界選手権はこの4年で3度出場し、2度の表彰台へ。

 宮原知子はまぎれもなく日本女子のエースとして、フィギュアスケート界を牽引してきた。

 だが、今シーズンは、起伏の多い時間を過ごした。

 USインターナショナルクラシック、ジャパンオープンを経て出場したグランプリ(GP)シリーズ初戦スケートアメリカでは、ショートプログラム、フリーともにミスのない演技で優勝。自身のGP2戦目となるNHK杯ではフリーで細かなミスが出て2位となるが、4年連続でGPファイナル進出を決めた。

 しかし、GPファイナルではショート、フリーともにジャンプでミスが相次ぎ6位。全日本選手権ではショートで首位に立ったもののフリーで4位。総合では3位に終わり、5連覇はならなかった。

ジャンプとメンタル面の課題。

 宮原は「ミス・パーフェクト」と呼ばれることがあるように、ミスが少ない選手であることでも知られている。

 それとは裏腹に、会心の演技をする機会が少ないまま、今シーズンを過ごしてきた。

 1つには、長年の課題となってきたジャンプの回転不足がある。昨シーズンも平昌五輪前にも苦しんだが、今シーズンは回転不足をとられる機会が増えた。そこに結びつく要因なのか、メンタル面でも課題を抱えてきた。

 NHK杯を終えたあと、宮原自身はこう語っている。

「(ミスが出たのは)緊張かな、と思います。ショート、フリーの両方、いい演技をしたいと思って」

 フリーで失敗があった全日本選手権でも、このように自己分析した。

「もっとリラックスして、練習どおりにできればよかったです。どこかで勝ちたいという気持ちがあったかもしれません。最後に力が入ってしまったのかなと思います」

 その言葉からはより高みへ、という意思を感じさせる。それと同時に、外的環境からの影響があるのもまた事実だ。

 同門の後輩、紀平梨花の活躍である。

意識せざるを得ない紀平梨花の存在。

 例えば、NHK杯でのこと。同大会で優勝した紀平について、そして自身が優勝できなかったこととの関連性について何度も問われた。それに対して言葉に詰まって、沈黙する場面もあった。

 NHK杯に限らない。取材の場では否応なく、紀平について意識させられる質問があった。それは、取材の場というだけにはとどまらないだろう。他の選手の動向を意識するのは、競技に身を置く選手なら自然なことである。

 それでも宮原は機会あるごとに、“自身の演技を徹底する重要性”を言い続けた。

「(紀平から)ふだんの練習から、たくさん刺激を受けることができている。だからもっともっと頑張らないと、という気持ちを忘れずに、日々練習することができています」

「順位よりも、自分が納得する演技がしたいです」

 結果を大切にしたい。でもそのために大事なのは、何よりも自分の演技をすること。そんな思いと率直さは、世界選手権開幕を前にしても変わらない。

「表彰台に乗りたい気持ちもないことはないですが、今は自分がやってきたことを本番でやることしか考えていません。今は順位や結果は考えていないです」

次なるレベルアップを求めて。

 宮原は、すでに先を見越した取り組みも始めている。

 その1つは、昨夏から本格的に始めたトリプルアクセルの練習だ。紀平だけでなくトリプルアクセルに成功する選手が複数人、現れている。それもあってか宮原は「意識してしまう自分がいます」とも漏らす。

 しかし、こうも語っていた。

「(今の)プログラムにはトリプルアクセルは入っていないし、できることをやることに変わりはありません」

 トリプルアクセル成功の鍵は「最後は自分でいいタイミングを見つけること」だという。

集大成を見せる世界選手権。

 これまでも、他の誰もが一目を置く努力で、日本代表となり、オリンピックや世界選手権に出場して活躍するところへたどり着いた。

 国内外の若い世代が高難度のジャンプを決めるなど、時代は動きつつある。

 それでも自身の積み重ねを信じて、歩もうと思っている。まずは世界選手権で、シーズンの集大成と言える演技がしたい。

「日本開催ということで、家族や友達、たくさんの方が観に来てくださるし、大きな会場でできるので盛り上がります。その中で自分が取り組んできたことを出したいです」

“最後は自分”

 培ってきた時間を信じて、大舞台に臨む。

(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文 / photograph by Asami Enomoto)

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