東京五輪挑戦を表明した平野歩夢。ショーン・ホワイトとの再戦も。

昨年11月にスケボー挑戦を表明した平野。日本男子史上2人目の夏冬五輪出場を目指す。 photograph by AFLO

 冬に続き、夏でもオリンピックへ――。

 スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢が、3月16日に行なわれるスケートボードの日本オープン・パーク大会に出場予定であることが発表された。これは2020年東京五輪への第一歩となる場でもある。そしてかねてから注目されていた挑戦の、スタートの舞台でもある。

 平野は、これまでスノーボードの世界で栄えある成績を残してきた。

 2014年、中学3年生で出場したソチ五輪のハーフパイプで銀メダルを獲得。日本冬季五輪史上最年少メダリストとなり、スノーボードの最年少メダリストとしてギネスに認定された。

 その後もX Gamesで優勝するなど世界のトップスノーボーダーとして活躍。迎えた'18年の平昌五輪では、ショーン・ホワイトと名勝負を繰り広げた。結果は銀メダルだったが、まさに4年に一度の大舞台にふさわしい、2人の雄による頂上決戦は観る者に強い印象と余韻を残した。

 その平昌で話題となったのは、平野がスケートボードで東京五輪に挑戦するか否かだった。なぜならスノーボードを始めた4歳のときから、スケートボードにも取り組んでいたからだ。

東京五輪出場を表明した平野。

 平昌での試合翌日の記者会見で平野は語った。

「東京オリンピックに関しては……、ここから目指すというのは、すごいハードなトレーニングになると思うので。自分は、まだはっきり決めていない部分もあります。その部分を、これから、しっかり整理して考えられたら……。当然、可能性があれば、という形で考えてはいます」

 慎重に話しつつ、可能性を示したことで、その後、動向に関心が持たれてきたが、昨年11月、「正式種目になった以上、スルーするわけにはいかない」とコメント。そして今回の出場表明であった。

選考会を兼ねた日本オープンと全日本選手権。

 日本オープンには、東京五輪へ向けて、重要な意味がある。

 この大会と5月の全日本選手権の2試合が強化指定選手の選考会を兼ねており、代表を目指すにはこの2つの大会で上位に入る必要があるからだ。

 スケートボードの五輪種目は「ストリート」と「パーク」の2つがある。平野が出場するパークは、傾斜や大きさなどが異なる皿や深いお椀のような形が組み合わさった窪地のコースで、「トリック」の難易度、スピードや高さなどを評価する採点競技だ。

 ハーフパイプと似た面はあるが、とはいえやはり、「別物」と呼んでもおかしくはない難しさはある。日本男子にも国際大会で活躍する選手たちがおり、簡単なチャレンジではないし、スケートボードに集中することによるスノーボードへの取り組みのマイナス面も懸念されてきた。

 それでも足を踏み出した背景には、おそらくは平野の「姿勢」がある。

「見たことのない自分への欲求」

 以前の取材で、平野はスノーボードに触れつつ、語った。

「人と同じような考え方だったり同じようなことをしていても、人よりなかなか前にはリードできない。自分で考えて、自分でチャレンジしてみる勇気と覚悟とともに取り組んで、自分でも夢かのような最後を、『こいつしかできない』と言われるような選手でいたい」

 そうした自身のあり方をひとことで示すように、こうも言った。

「見たことのない自分への欲求……そうですね」

 目の前には機会が広がっていて、可能性もある。だからそこに懸ける。スノーボードでの考え方と共通するだろう。

ショーン・ホワイトとの“再戦”も。

 しかも、平野にとって大きな楽しみがもう一つある。

 スノーボードで覇を競ってきたショーン・ホワイトもスケートボードでオリンピックに挑む意向を示しているからだ。

 ショーン・ホワイトは、スケートボードの世界のレジェンド的存在、トニー・ホークの指導を早い時期から受けている。もし、ともに東京五輪に出ることができれば、今度は夏の舞台で競うことになる。平昌での名勝負が、再び東京で繰り広げられるかもしれない。

 繰り返しになるが、似た面はあると言っても、別の競技だ。簡単に行くわけではない。それでも、スノーボードの世界で数々のチャレンジとその結果を手にしてきたのが平野だ。

 挑戦の先に何が待っているのか。まずは一歩、踏み出す。

(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文 / photograph by AFLO)

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