【マーティ&上坂すみれ 昭和・平成ソングって素敵じゃん】戦後歌謡曲にジャズ要素が濃い理由

戦後歌謡について語り合ったマーティと上坂(右)

 昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ歌手や楽曲を、平成生まれのアイドルと外国生まれのミュージシャンはどう聴くのか。ゲストは声優・歌手として活躍する上坂すみれ。今回もマーティ・フリードマンと戦後すぐの音楽を語ります。「東京ブギウギ」など戦後歌謡にジャズの要素が濃い理由は? 曲を聴きながら読んでみてください。

【戦後音楽論2】

 ――上坂さんが好きな戦後歌謡の曲は

 上坂 スマホに入ってるかな…。ありました。笠置シヅ子さんの「東京ブギウギ」(1947年)。素晴らしい曲ですよね。
 ――作曲は戦前からジャズを取り入れて曲を作っていた服部良一さんですね

 マーティ 初めて聴きました。美空ひばりさんの「お祭りマンボ」(52年)を思い出す響きがありますね。この曲は内容は日本的だけど、解釈はジャズのビッグバンド時代(40年前後)のサウンドです。音階は日本的なペンタトニックスケールだから、日本人の耳に優しいメロディーです。

 上坂 私たちが聴くと普通の歌謡曲に聞こえるんですが、分析するとアメリカのジャズの要素と日本の音階が混じり合っていたんですね。面白いですね。

 マーティ サウンドはビッグバンドと変わらないけど、メロディーだけを分析したら完全に民謡的、東洋的な旋律です。ほんと、不思議な融合ですね。こういうのが面白いんですよ。この曲のどういうところが好きですか?

 上坂 わかりやすい歌詞で、同じ言葉を繰り返すところが面白いです。最近のJ―POPでもそういった曲がありますね。それに何度もカバーされている曲ですが、いつ、誰に歌われても、すてきな歌になるのがいいなと思います。

 マーティ そうですね。うん、僕もそう思います。素晴らしい。

 上坂 戦後歌謡にジャズが入ってる曲が多いのはなぜなんでしょう。

 ――戦前の30年代半ばごろからの最先端の音楽は、ベニー・グッドマンデューク・エリントンらのビッグバンドによるスイングジャズで、服部さんもスイングジャズを取り入れて作曲していました。終戦後、服部さんのようにジャズを身につけた作曲家が活躍したからでしょう。戦前からの流れがあったんです

 上坂「東京ブギウギ」にビッグバンドの要素があったのはそういうことですか。

 ――大正時代末の23年に神戸で初めてプロジャズバンドが結成されました。まだラジオ放送(25年~)もない時代です。日中戦争以降、ジャズは追い詰められ、40年に日本全国のダンスホールが閉鎖。43年には「敵性音楽」としてレコードの発売も演奏も禁止に。しかし45年に終戦すると、進駐軍とともに最新のジャズが入ってきたことが大きな刺激になり、歌謡曲も積極的にジャズを取り込んでいきました

 上坂 米軍の駐留も関係あったんですね。そこから戦後の音楽が生まれていったんだ。

 マーティ 米軍だけじゃなく、音楽系の会社の人で、実際にアメリカまで行ってレコードを買って、日本まで自分の手で持ってきた人がいたんです。このレコードが日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。素晴らしい話だと思います。

 上坂 ネットなんて全くない時代に! ドルは高かったし、直接行って買ったということは、輸入ルートもなしに?

 マーティ 全くないです。傷だらけのレコードをカバンに詰めて持って帰ってきたそうです。大好きな話です。

 上坂 東洋的なメロディーというとYMOもそうですね。クラフトワークも好きですが、YMOはまた全然違うなと今の話を聞いて思いました。

 ――YMOの話は改めて! 次回は先日亡くなった筒美京平さんの楽曲について語りましょう

 ☆うえさか・すみれ 1991年12月19日生まれ。神奈川県出身。上智大学外国語学部ロシア語学科卒。2012年に本格的に声優デビュー。13年にアニメ「波打際のむろみさん」の主題歌「七つの海よりキミの海」で歌手デビュー。ロシア、昭和歌謡、メタルロック、戦車、ロリータ、プロレス、ひげなど多方面の知識を持つ。最新アルバムは「NEO PROPAGANDA」(キングレコード)。

 ☆マーティ・フリードマン 米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。「紅蓮華」「宿命」などをカバーしたギターインストゥルメンタルアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が発売中。

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