【フィギュア】羽生&紀平効果だけじゃない! 異常人気の秘密

期待の紀平は初の世界選手権へ好調をアピールした

 フィギュアスケートが空前の盛り上がりを見せている。20日開幕の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)を控えた18日、男女それぞれ公式練習が行われ、女子の紀平梨花(16=関大KFSC)らが本番会場で調整した。練習日にもかかわらず、会場入り口には早朝から長蛇の列。本番用のメインリンク、練習用のサブリンクはともに大勢の観客で埋め尽くされた。この異様な人気に日本スケート連盟の伊東秀仁フィギュア委員長(57)は「今までウチがやってきたこと」と大きな自信を持つ。そのココロは?

 この日、女子で最も注目を集めたのはシニアデビュー以来、国際大会6連勝中の紀平だ。午前、午後の練習では最大の武器でもあるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を計15回も着氷させて喝采を浴びた。練習を終えると「初めての世界選手権が大きなさいたまスーパーアリーナのリンク。日本で滑れるのはすごくうれしい」と5年ぶりの自国開催に興奮気味だった。

 昨年の全日本選手権を制した坂本花織(18=シスメックス)は「家族や友達、日本人がたくさん見に来てくれる。すごいワクワクする」。宮原知子(20=関大)も「日本開催ということで、ホントにすごく盛り上がると思う」と笑顔で、選手のテンションと比例するように会場は本番さながらの熱を帯びていた。

 まだ関係者もまばらな早朝6時すぎ、すでに会場の入り口には長い行列。中にはくまのプーさんのぬいぐるみを手に持った女性ファンもチラホラいた。お目当ての男子で五輪2連覇の羽生結弦(24=ANA)は姿を見せなかったが、それでもファンは他の選手に大きな声援を送った。国内最大級のチケット転売サイトでは、男子フリー当日(23日)の最高額はなんと35万円。こんな高値がつくほどフィギュア界は今、異様な盛り上がりとなっている。

 一見すると、羽生と紀平の男女エース効果と思われがちだが、連盟幹部はどう見ているのか。伊東委員長は「今は誰が勝ってもおかしくない。女子は紀平だけじゃなくて、宮原や坂本もいる。全日本チャンピオンは坂本ですよ。誰もが世界チャンピオンになれる状況こそ日本の強さ。それが我々が長い間ずっと目指していたことなんです」と熱弁を振るった。

 その原点は、1992年から毎年夏に行われている全国有望新人発掘合宿だ。女子でトリノ五輪金メダルの荒川静香(37)、バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央(28)らを輩出した通称・野辺山合宿(長野)が現在の日本の礎にあるという。
「荒川の時代があり、浅田の時代があり、そして今がある。どんどんブラッシュアップし、選手たちが階段状に上がっていった。いい選手をたくさん出していく状況を“システム化”したことが今につながったんです」

 今大会は男女金メダルの可能性も高まっている。もちろん羽生と紀平が最も近い位置にいるが、伊東委員長は「一人のスターだけ注目され、強くなっていくようではいずれ衰退する。誰がチャンピオンになっても不思議ではないレベルにまで持っていく。その姿勢を変えるつもりはない」と強調した。

 今大会、宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が羽生を超え、勢いに乗る紀平に変わるヒロインが現れたとしたら、日本フィギュア界は新たなステージへ向かうはずだ。

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