【2024年】J1リーグ戦力総合評価ランキング11~20位。残留争い? 降格の危険…。全20クラブを格付け!

【写真:Getty Images】

 2月23日、明治安田Jリーグの2024シーズンが幕を開ける。オフの期間には選手の出入りがあり、各クラブはそれぞれ新たな選手を迎え入れている。今回は、開幕を間近に控えたJ1リーグ全20クラブの陣容を分析し、戦力をランキング化した。※情報は18日時点。本ランキングは戦力評価であり、順位予想とは主旨が異なる。
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11位:ガンバ大阪

2023順位:16位
監督:ダニエル・ポヤトス(2年目)

 ダニエル・ポヤトス監督の下で戦う2年目のシーズンは、実績十分の即戦力を獲得し、確かな結果が求められるシーズンになる。ただ、13位、15位、16位と続く低迷から脱却するのは容易なことではない。

 リーグワーストタイの61失点を叩き出した守備の改善は優先順位が高く、名古屋グランパスから加入した中谷進之介への期待は大きい。さらに、松田陸、坂圭祐とJ1経験者を補強したことで、競争のレベルは上がるはずだ。昨年末に東口順昭が右膝内側半月板損傷の手術を受けたが、横浜F・マリノスから一森純が復帰したことで戦力ダウンの心配は必要なくなる。

 中盤には指揮官が徳島ヴォルティス時代に始動した鈴木徳真が加わったことで、ネタ・ラヴィやダワンもさらに特徴を出すことができるようになるかもしれない。山田康太も課題だったファイナルサードで違いを作れる存在だ。また、現役引退した遠藤保仁をコーチとして迎え入れたこともいい“補強”になるはずだ。適任者がなかなか見つからなかったウイングとしては、横浜FCから山下諒也を獲得している。

 昨季は3か月以上勝てず、7連敗でシーズンを終えた。不安も残るオフだったが、ポヤトス監督のスタイルをうまくピッチで表現できる能力を持った新戦力が加わった。戦力としては上位を争えるメンバーが揃ったはずだが、それをチームの成績に反映させることはできるのだろうか。

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12位:アビスパ福岡

2023順位:7位
監督:長谷部茂利(5年目)

 リーグ戦7位、YBCルヴァンカップ制覇とクラブ記録を2つも更新したアビスパ福岡だが、待ち受けていたのは厳しいオフだった。2季連続2桁得点の山岸祐也、中盤の要だった井手口陽介らを失うこととなり、長谷部茂利監督は難しいかじ取りを強いられることとなる。

 井手口、そして中村駿が抜けた中盤には松岡大起が加わった。ブラジル2部グレミオ・ノボリゾンチーノでは出場機会がない1年を過ごしたが、井手口クラスのパフォーマンスを見せられるくらいのポテンシャルはある。特別指定選手として昨季リーグ戦で5試合に出場した重見柾斗も、同い年の松岡とともに井手口の代役候補に挙がる。

 山岸とルキアンが去った前線には、機動力に長ける岩崎悠人と前線で起点となれるナッシム・ベン・カリファが加わった。ベン・カリファはサンフレッチェ広島では2シーズンで7得点と奮わなかったが、スイス代表でプレーした実績を持つ実力者で、山岸と同等かそれ以上の活躍を見せてもおかしくはない。

 これまでも的確な補強を見せてきた福岡は、今季も主力流出のピンチにうまく立ち回った感はある。ただ、昨季以上の成績を残すのは決して簡単ではないこともまた事実である。

13位:サガン鳥栖

2023順位:14位
監督:川井健太(3年目)

 新加入選手が10人を超えるのは毎年のことで、今回のオフも14人の新戦力を獲得した。大卒ルーキーが3人、サガン鳥栖U-18からの昇格が2人、期限付き移籍が1人、韓国人が2人、残る6人がJリーグからの完全移籍という内訳になっている。

 新加入選手の多数を占めるのが、2人のGKを含めた守備陣だ。U-22日本代表にも名を連ねる木村誠二、ベテランの丸橋祐介、昨季ベガルタ仙台でリーグ戦23試合に出場したキム・テヒョンらが加わり、川井健太監督の手札は確実に増えた。

 主力の流出は例年に比べれば少なく抑えることができたが、それでも小野裕二と岩崎悠人は他クラブに活躍の場を求めたことによる影響はあるだろう。ただ、代役も揃えた。横浜FCから獲得したマルセロ・ヒアンは今までの鳥栖に不足していたパワーを前線にもたらし、モンテディオ山形時代に2シーズンで28得点を叩き出したヴィニシウス・アラウージョは、山形でコーチを務めていた川井監督が活かし方を知っているはずだ。中原輝も攻撃に新たな色を加えてくれるだろう。

 例年に比べると今オフは確実に“補強”といえるものとなった。昨季は終盤に失速し、順位は直近3シーズンで7位、11位。就任3年目の川井監督は、適材適所の補強を結果に結びつけることはできるのだろうか。

14位:アルビレックス新潟

2023順位:10位
監督:松橋力蔵(3年目)

 昇格1年目の昨季は10位でフィニッシュ。アイデンティティでもあるスタイルへのこだわりは持ちつつ、終盤は戦術的な幅を見せて勝ち点を積み上げた。J2優勝、J1残留とミッションを達成した松橋力蔵監督の下で、アルビレックス新潟はさらに上を目指すことになる。

 基本的に昨季の枠組みを残しつつ新戦力を加える形になったが、主力の流出は避けられなかった。ただ、高宇洋が抜けたボランチにはいわきFCから宮本英治を獲得し、三戸舜介が抜けた2列目には長谷川元希を迎え入れた。最終ラインでは渡邊泰基が抜けたが、遠藤凌が期限付き移籍から復帰している。いずれもJ2では高いクオリティを見せていたが、J1での実力は未知数だ。

 昨夏に伊藤涼太郎が移籍した後は、チーム全体でカバーしたとはいえ、多少なりとも火力は落ちた。その意味で、小野裕二の加入がもたらす影響は計り知れない。横浜F・マリノスユース時代に仕えた恩師との再タッグは、新潟の新たな脅威になるはずだ。

 これはあくまで開幕前の戦力評価であって、順位予想ではないことを強調しておく。昨季のように選手が成長しながら戦い方の幅を広げていけば、昨季以上の成績を残すことも可能だ。
  
15位:京都サンガF.C.

2023順位:13位
監督:曺貴裁(4年目)

 2021シーズンから指揮を執る曺貴裁監督の下で、ひたむきなメンタリティとエネルギッシュなスタイルがチームカラーとなり、2シーズン連続でJ1残留を果たした。チームカラーは今季も変わらず、J1・3年目のシーズンに臨む。

 井上黎生人が浦和レッズに完全移籍、イヨハ理ヘンリーが保有元のサンフレッチェ広島に復帰したことで、最終ラインの顔ぶれは大きく変わることに。J3・FC大阪とJ2・水戸ホーリーホックで経験を積んだ松田佳太、年代別代表経験のある喜多壱也、そしてベテランの鈴木義宜を獲得した。伸び盛りの23歳、将来性のある18歳、そして経験豊富な31歳が加わり、激しい競争が生まれることになるだろう。

 塚川孝輝は指揮官が好みそうな推進力のあるMFで、宮本優太は流通経済大学時代に、鈴木冬一は湘南ベルマーレ時代に曺監督の指導を受けた。マルコ・トゥーリオもプレーの幅が広いアタッカーで、原大智らとの共存も可能だろう。尚志高校から加入した安齋悠人は世代屈指のドリブラーで、1年目からプレータイムが得られれば面白い存在になる。

 京都がこれまでJ1昇格やJ1残留できたのは、選手たちがシーズンを戦う中で成長してきたから。他クラブに比べて戦力は決して潤沢ではないが、川﨑颯太や福田心之助のように成長する選手が出てくれば、この評価以上の成績に食い込める可能性は十分にある。
  
16位:北海道コンサドーレ札幌

2023順位:12位
監督:ミハイロ・ペトロヴィッチ(7年目)

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が北海道コンサドーレ札幌に就任することが決まったのは、クラブが久々にJ1残留を決めた2017年12月。1年目に4位に食い込む躍進を見せたが、その後は10位、12位、10位、10位、12位と中位に留まる。直近2シーズンは大きな選手の出入りはなかったが、今オフは実に12人の新戦力を迎えている。

 まず、急務となったのは主力の抜けた穴を埋めることだった。田中駿汰、小柏剛、ルーカス・フェルナンデス、福森晃斗が移籍した。2019シーズンに札幌で13得点を挙げた鈴木武蔵が復帰し、近藤友喜、長谷川竜也というミシャスタイルに合いそうな攻撃的な選手を加えた。髙尾瑠と家泉怜依は最終ラインの有力な候補者になるだろう。福岡大学から加入した岡田大和はタイプこそ違うが福森級の破壊力のある左足のキックを持っている。明治大学から加入した田中克幸も1年目からレギュラーを狙える逸材だ。

 とはいえ、実績だけで見ると戦力は昨季からダウンしていると評価せざるを得ない。移籍した小柏剛や田中駿汰がそうだったように、岡田や田中は1年目から活躍できるポテンシャルを持っているが、果たしてどうだろうか。昨季の成績を上回ることができるかどうかは、指揮官の手腕次第であり、新戦力の活躍に左右される。
  
17位:湘南ベルマーレ

2023順位:15位
監督:山口智(4年目)

 2021年9月に就任した山口智監督の下、一貫したコンセプトの下で戦ってきた湘南ベルマーレだが、ここ2シーズンは目標に掲げた「5位以内」とは対照的な残留争いという結果に終わっている。いずれもシーズン終盤に浮上して降格は回避しているが、シーズンを通して好調時のパフォーマンスを維持できなければ、上位に食い込むのは難しいだろう。

 最大の懸念はエース大橋祐紀の移籍である。夏に町野修斗が抜けた穴を感じさせなかったのは、大橋が13得点とゴールを重ねたからである。新加入のルキアンはJ1での実績に乏しく、期限付き移籍から復帰した根本凌は昨年8月に左膝前十字靱帯を断裂してリハビリ中。プロ3年目の鈴木章斗やルーキーの石井久継のブレイクにかけるしかないのが実情である。

 齊藤未月と石原広教の完全移籍は衝撃を与えたが、鈴木雄斗を獲得したことで戦力的な穴埋めはできた。期限付き移籍中だったキム・ミンテと奥野耕平が完全移籍で残留したのもいいニュース。全体的なスカッドとしては、昨季終盤のメンバーをベースに挑むことになる。

 数シーズン前までは毎年のようにチームの半数近くが入れ替わっていたが、昨季、今季と入れ替えは最小限に抑えられた。他クラブと比べると決して潤沢な戦力とは言えないが、評価を上回る成績を残すには、他クラブにはない上積みを見せなければいけない。

18位:東京ヴェルディ

2023順位:J2・3位
監督:城福浩(3年目)

 J1昇格プレーオフを制して16年ぶりにJ1昇格を果たした東京ヴェルディは、J1で戦うために新たな血を入れている。城福浩監督が続投となり、主力も軒並み残留しており、昨季をベースにどれだけレベルアップできるかどうかがチームの成績に直結するだろう。

 昨季終盤を戦い抜いた主要メンバーで抜けたのは、加藤蓮と期限付き移籍で加入していた中原輝くらいで、GKマテウス、DF宮原和也、MF森田晃樹らを残してJ1に挑む。前線には京都サンガF.C.から木村勇大と山田楓喜、ガンバ大阪から山見大登らJ1経験者を迎え入れ、中盤には貴重なJ1経験者となる翁長聖、J2屈指のMFに成長した見木友哉を昇格争いのライバルだったジェフユナイテッド千葉から獲得した。

 一方で、小池純輝、梶川諒太、杉本竜二らベテランが一気に抜けたのも印象的だ。ただ、森田や谷口栄斗らアカデミー出身選手たちがチームの中心的存在に成長しており、経験不足という心配はいらないかもしれない。険しいJ1への道のりを踏破してきたメンバーが成長していることは間違いないが、J1ではさらに厳しい戦いが待ち受けている。まずはJ1残留が現実的な目標となるだろう。
  
19位:ジュビロ磐田

2023順位:J2・2位
監督:横内昭展(2年目)

 補強禁止処分を課されながらJ1昇格を果たしたジュビロ磐田は、J1で生き残るために血の入れ替えを行った。新加入選手は4人のブラジル人を含む15人にも及び、横内昭展監督の下で2024シーズンに臨む。

 昨季の正GK三浦龍輝の前に立ちはだかるのは、FIFAワールドカップ3大会出場の川島永嗣だ。開幕直後に41歳となる大ベテランにかかる期待は大きい。昨季のJ2アシスト王・鈴木雄斗が抜けた右サイドには西久保駿介、ベテランの遠藤保仁、山本康裕が抜けた中盤には中村駿と平川怜が加わった。前者はJ1でのプレー経験があり、後者はJ2では屈指の司令塔に成長している。

 残留するためには、ブラジル人の活躍が必要不可欠だ。特に得点力という部分でマテウス・ペイショットには2桁得点は欲しいところ。ブルーノ・ジョゼはサイドから個で打開できるアタッカーで、ウェベルトンは伸びしろのある21歳のFW。レオ・ゴメスは中盤の底でかつてのドゥンガのようにチームを鼓舞する。彼らがチームにフィットしなければ厳しい戦いを強いられる。彼らが持つ能力が発揮する環境が整えば、J1残留というミッションが現実的なものとなる。


20位:柏レイソル

2023順位:17位
監督:井原正巳(2年目)

 7位、15位、7位、17位と、J1復帰後の柏レイソルは上位と下位を行ったり来たりしている。昨季は天皇杯でタイトルにあと1歩のところまで迫ったが、リーグ戦では最後まで降格の2文字が視界にあった。井原正巳監督就任後は成績がやや上向いたものの、勝ちきれない試合も多かった。さらなる積み上げがなければ今季も苦戦を強いられることになるかもしれない。

 戦力的には期待感が持てる面々が新たに加わった。野田裕喜、島村拓弥、白井永地はいずれもJ2で評価を高めた伸び盛りの選手たちで、鵜木郁哉も水戸ホーリーホックへの期限付き移籍でパワーアップして帰ってきた。何より、昨夏に期限付き移籍で加入して残留のキーマンになった犬飼智也が完全移籍で残留したことは大きな補強と言えるはずだ。1年前倒しで拓殖大学から加入する関根大輝は右サイドバック、東京国際大学から加入した熊坂光希はボランチでレギュラーの座を狙える実力者だ。

 最大の焦点は、山田康太、仙頭啓矢、椎橋慧也が抜けた中盤をどう再編するか。白井、島村、熊坂の新加入トリオへの期待は必然的に高くなる。また、木下康介を獲得したものの、仮に夏にでも細谷真大が引き抜かれるようだと一気に戦力ダウンを招く。J2からの個人昇格組にかかる期待が大きくなるシーズンだ。

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