一体何が…。板倉滉に起きた異変。サッカー日本代表の敗因になった“決断のタイミング”とは【アジアカップ2023現地取材】

【写真:Getty Images】

●板倉滉は途中で替えるべきだった

 サッカー日本代表は3日、AFCアジアカップカタール2023準々決勝でイラン代表と対戦し、1-2で敗れた。敗戦の原因となったのは、センターバックの板倉滉のパフォーマンスが1つとしてある。PKを献上したシーンがフォーカスされがちだが、開始数秒の時点ですでに異変が起きていた。

 試合が終わった後に何を言っても結果論と言われてしまうが、板倉の起用は悪手だったと言い切れる。チームが板倉のコンディションをどこまで把握していたかは分かりかねるので、先発起用したまでは理解できる。ただ、途中で替えるべきだった。

 最初の異変に気付いたのはキックオフ直後だった。日本代表はトップ下の選手がスポットに立って後ろにパスを送ることが多い。今回もその形だったのだが、久保からパスを受けた板倉のトラップが少し長くなってしまう。板倉が蹴ったボールは猛然とプレスをかけてカットしようとしたサマン・ゴドスの足に当たり、相手ボールとなってしまった。

 ただ、この程度では異変と呼ぶほどではないだろう。普段であればあまりないミスだなとその時は感じた程度だった。ただ、その違和感は徐々に大きくなっていく。板倉を下げたほうがいいと思うタイミングはいくつもあった。

●板倉滉を下げるべきいくつもの理由

 24分には相手を倒してイエローカードをもらってしまう。モハマド・モヘビが左に流れてパスをもらうと、ワンタッチで縦に抜け出そうとしたところについていけず、モヘビを倒してしまった。普段のプレーを見ているだけに、間合いを詰めるタイミングや距離感が明らかにおかしかった。

 それ以外にも堂安律へのパスが短くなってボールロストする場面もあり、微妙な距離感を全くつかめていなかった。50分には背後に蹴られたロングボールをサルダル・アズムンと競り合ったが、軽い接触で簡単に入れ替わられてしまう。68分には自身の裏にロングボールを蹴られたのだが、背後に走りこまれたサマン・ゴドスの動きに全く気づけず。いずれもオフサイドの判定に救われたが、イラク代表は明らかに板倉の背後を狙っていた。

 54分の失点シーンも問題だらけである。GK鈴木彩艶のロングキックをハーフウェイ付近で失った形だが、冨安と板倉のラインの押し上げが遅かった。中盤との間に生まれたスペースにパスを出され、板倉の背後を取ったモヘビがシュートを流し込んでいる。押し上げの遅さと背後のケアの緩さが招いた失点だった。

 板倉を下げるタイミングはいくつもあった。キックオフ直後の異変は別として、イエローカードをもらった時点で頭の片隅にはよぎるだろう。50分のシーンは普段の板倉ではありえない。54分の失点シーンも、68分にオフサイドに助けられたシーンも、決断を下すに値するシーンではないだろうか。

板倉滉の失態を招いたもう1つの原因

 板倉のパフォーマンスに対する批判があるのはもちろんだが、使い続けた方も使い続けた方だ。

 ベンチには町田浩樹というカードがあった。インドネシア代表戦で先発起用されて冨安とコンビを組み、バーレーン代表戦では途中出場で3バックの一角に入って試合をクローズさせる役割を担った。カバーリング能力と空中戦の競り合いを得意とする左利きのセンターバックで、これまで出場した8試合はすべて勝利している。

 ベンチメンバーと圧倒的な実力差があるなら板倉を下げるのに躊躇するのも理解できるが、町田であれば遜色なくその役割を任せられるはずだ。町田を左に、冨安を右に置けば状況が好転した可能性は高い。

 板倉はインドネシア代表戦を体調不良により欠場している。バーレーン代表戦では試合終盤に足を負傷しており、中2日でこのイラン代表戦に臨んでいる。コンディションを問われた板倉はその問題を今大会より「全然前ですね」と話すにとどめた。いずれにせよ、今大会、そしてこの試合における板倉のパフォーマンスは、本来のそれとは程遠かった。

 板倉は試合後に「代表に値しないパフォーマンスだった」と振り返った。たしかにパフォーマンス自体はその通りなのだが、そんな状態にある板倉を使い続けた森保一監督の責任は重い。本来の出来とは程遠い27歳のセンターバックに「ピッチに立つ資格はない」とまで言わせ、敗戦の責任を背負わせることとなったのだから。

(取材・文:加藤健一【カタール】)

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