アジアカップ史上最強はいつだ!? 歴代サッカー日本代表“チーム力”ランキング1~10位。今メンバーは何位?

【写真:Getty Images】

 AFCアジアカップカタール2023(アジア杯)が開幕し、サッカー日本代表はベトナム代表に勝利して白星スタートを切った。今回は史上最強との呼び声も高いが、最多優勝回数を誇る日本代表は、アジア杯でこれまでにどのようなインパクトを残したのか。日本代表が出場した過去10回のアジア杯の「チーム力」をランキング形式で紹介する。
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●10位:1988年

開催国:カタール
アジア杯成績:グループステージ敗退
監督:横山謙三

 日本代表が、初めてアジアカップの本大会に出場したのは、1988年のカタール大会だった。結果はグループステージ敗退で、現在の日本代表のアジアにおける地位を考えると悲惨な結果だが、このときは出場したことに意味があったと言えるだろう。

 当時、アジア杯は日本国内で優先度が低い大会と位置づけられており、日本リーグのスケジュールの方が重要だった。そのため、予選からA代表はほぼ呼ばれず。本大会では、井原正巳や堀池巧といったA代表組も入ったが、大学生が主体のチームだった。

 1988年のアジア杯は、10チームが参加し、2つの組に分かれてグループステージを戦い、両組の上位2チームが決勝トーナメントに進出するという形だった。日本代表はイラン代表、韓国代表、UAE代表、カタール代表と対戦し、初戦のイラン代表戦に引き分けた以外は全て敗戦で、1得点も挙げられず、グループ最下位で敗退となっている。

 このときのメンバーには、当時大学生だった中山雅史や高木琢也も招集されており、経験という収穫はあったはず。ただ、ぶっつけ本番の大学選抜だったことは確かで、結果を持ち帰るような準備はできていなかった。

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●9位:2015年

開催国:オーストラリア
アジア杯成績:ベスト8
監督:ハビエル・アギーレ

 日本代表は、2014年のブラジルワールドカップのあとでメキシコの名将、ハビエル・アギーレ監督を招へいし、新たなスタートを切った。メンバーは長谷部誠や本田圭佑、香川真司などブラジルワールドカップのメンバーを軸にした構成で、そこに柴崎岳ら新しい力が加わっている。

 新体制初の大会は、好スタートだった。グループステージでは、パレスチナ代表、イラク代表、ヨルダン代表と対戦して3連勝を飾り、危なげなく首位通過を果たした。しかし、決勝トーナメント1回戦では、UAE代表に大苦戦。35本のシュートを浴びせるも得点は柴崎の1点のみで、PK戦の末に敗退している。

 アジアトップクラスの能力があることは明らかだったが、それだけに準々決勝敗退というのはショッキングな出来事で、ベストイレブンに選出された選手もゼロだった。日本代表がアジア杯のベスト8で敗退するのは1996年大会以来で、悲観的な意見も多く出ている。

 大会後の2月には、アギーレ監督との契約を解除し、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制で2018年のワールドカップを目指すことになった。

●8位:1996年

開催国:UAE
アジア杯成績:ベスト8
監督:加茂周

 日本代表は「ドーハの悲劇」で出場を逃した1994年アメリカ合衆国でのワールドカップから2年後に、再びアジアの壁の高さを再認識した。1996年のUAE大会はベスト8止まりだった。

 前回大会でアジア杯初優勝を飾った日本代表は、井原正巳が主将を務め、三浦知良、高木琢也、名波浩と各ポジションに優れた選手をそろえた。また、アトランタ五輪を経験した前園真聖や城彰二もメンバーに入っている。加茂周監督率いる日本代表はゾーンプレスを武器に、グループステージは第2節のウズベキスタン戦で4-0の大勝を飾るなど3戦全勝で突破して、連覇への期待が高まった。

 しかし、準々決勝ではクウェート代表と対戦して0-2で敗れた。17分にロングボールで抜け出されて相馬直樹のヘディングが中途半端になったところからゴールを奪われてしまうと、後半にもゴールを許し、ベスト8で姿を消している。

 結果を考えると、1992年大会から後退してしまった日本代表だが、収穫がなかったわけではない。この大会から名波と山口素弘のボランチが定着し、のちのワールドカップ初出場の土台になったと言える。また、UAE大会はベスト4がクウェート代表のほか、UAE代表、イラン代表、サウジアラビア代表で、中東のチームが力を発揮した大会だった。国際大会での経験という側面でも、この大会は未来につながっているはずだ。

●7位:2007年

開催国:インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム
アジア杯成績:4位
監督:イビチャ・オシム

 2006年のワールドカップ終了後にジーコ監督が退任した日本代表は、イビチャ・オシム監督を招へいし、多くのメンバーを入れ替えた。中村俊輔、高原直泰、中澤佑二、川口能活といった頼れるベテランは残しつつも、新しいチームづくりを進め、水野晃樹や羽生直剛など、ジェフユナイテッド千葉でオシム監督が鍛えた選手たちが呼ばれている。

 日本代表はカタール代表との初戦でドロースタートとなったものの、続くUAE代表戦とベトナム代表戦は勝ちきり、無事に決勝トーナメントに進んだ。しかし、決勝トーナメント1回戦でアジア杯初出場のオーストラリア代表に苦戦。PK戦の末に勝ち上がったものの、準決勝でサウジアラビア代表に負けてしまった。韓国代表との3位決定戦は0-0で、PK戦の末に4位フィニッシュとなっている。

 オシム監督は、チーム全体を連動させることに長けた指揮官で、1つのプレーに多くの選手が絡むアクションで相手を揺さぶることができた。しかし、パスにこだわるあまり、個で崩しきれないシーンが目立ち、攻撃面の課題が浮き彫りになった大会でもあった。

●6位:2019年

開催国:カタール
アジア杯成績:準優勝
監督:森保一

 2019年カタール大会は、参加チームが前回大会から8つ増え、24カ国がアジアの頂点を目指して戦った。日本代表にとっては、森保一監督が就任して初めての大会となっている。

 2017年から東京五輪を目指すU-24代表監督を務めていた森保監督は、冨安健洋や堂安律といった若手を招集した。グループステージを3戦全勝で突破すると、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア代表戦では、冨安がCKからヘディングシュートを決めて、これが決勝点となった。続く準々決勝のベトナム代表戦では、途中出場の堂安がPKで決勝点を挙げている。

 準決勝のイラン代表戦では、大迫勇也の2得点と原口元気のゴールで3-0と快勝したが、決勝のカタール代表戦では相手の完璧な対策を前にほとんど何もできず、、1-3の惨敗。準優勝に終わった。

 それでも、決勝トーナメントの4試合のうち決勝を除く3試合が無失点勝利で、安定感のある戦いをしていた大会だったと言える。若手の台頭という収穫もあり、今後につながる準優勝だったと言えそうだ。

●5位:1992年

開催国:日本
アジア杯成績:優勝
監督:ハンス・オフト

 1992年のアジアカップは広島で開催され、日本代表が初優勝を果たした記念すべき大会だ。

 初出場した前回大会でグループステージ敗退となっていた日本代表は、自国開催の大会でも難しいスタートとなり、初戦のUAE代表戦は0-0の引き分けだった。第2戦の北朝鮮代表戦では1点を先行される厳しい展開だったが、終盤に中山雅史が同点弾を決めて引き分けに持ち込むと、グループステージ最終戦のイラン代表戦では、87分に三浦知良が決勝点を挙げて、グループ首位でベスト4に進んだ。

 準決勝の中国代表戦もタフな試合となったが、終盤に中山が決めて3-2で勝利を収めると、決勝では福田正博のクロスから高木琢也がゴールを決め、2連覇中だったサウジアラビア代表を下し、初めてアジアの頂点に立った。

 このときのメンバーは、各ポジションにJリーグ創設期を盛り上げたスター選手がそろっていた。三浦知は得点こそグループステージの1つのみだったが、キレのある動きでチームをけん引し、大会MVPに選ばれている。高木の決定力、福田のスピードも勝負を決める決定的な要素になった。司令塔を務めたラモス瑠偉は懸命に戻って、井原正巳や柱谷哲二らの守備陣をサポートし、チーム一丸で優勝を成し遂げている。

 1993年に開幕したJリーグは、大きなブームを巻き起こした。アジア杯の盛り上がりが、その呼び水になったことは間違いない。

●4位:2004年

開催国:中国
アジア杯成績:優勝
監督:ジーコ

 参加国が前回大会の12から16に増えた中国大会は、日本代表にとってチーム力を試された大会と言えるだろう。

 7月に開幕した中国大会では、小野伸二と高原直泰が同年に開催されたアテネ五輪にオーバーエイジ枠で参加することを優先して不参加となった。さらにイタリアでプレーしていた柳沢敦が新天地メッシーナに合流するため招集外となり、中田英寿や稲本潤一、久保竜彦といった主力級もケガの影響で外れている。

 それでも、日本代表は中村俊輔を中心に大会で躍動した。日本代表の10番は、初戦のオマーン代表戦で華麗なダブルタッチから左足のアウトサイドで芸術的なゴールを決めて決勝弾を挙げると、第2戦のタイ代表戦でもゴールを奪い、4-1の勝利に貢献した。

 ただ、すでに首位通過を決めて臨んだグループステージ最終節でイラク代表と引き分けると、決勝トーナメント1回戦のヨルダン代表戦ではPK戦にもつれる展開になった。このPK戦が大会のハイライトとも言えるシーンで、日本代表は1人目の中村と2人目の三都主アレサンドロが失敗する厳しい展開となったが、主将の宮本恒靖が主審と話し、ヨルダン代表の2人目から反対サイドのゴールを使用することに。ここからGK川口能活がビッグセーブを連発し、劇的な勝利を収めた。

 その後、準決勝のバーレーン代表戦でもPK戦で勝った日本代表は、決勝戦で中国代表を下し、2連覇を成し遂げている。

 大会MVPには中村が選出されたほか、ベストイレブンには川口と宮本も選出された。

●3位:2011年

開催国:カタール
アジア杯成績:優勝
監督:アルベルト・ザッケローニ

 2010年にアルベルト・ザッケローニ監督を招へいした日本代表は、新体制の準備期間が短かったこともあり、長谷部誠や本田圭佑、長友佑都といった南アフリカワールドカップを戦ったメンバーを軸にカタール大会に臨んだ。また、のちの代表キャプテンである吉田麻也が初めて代表でメジャー大会を戦ったのもこのときだ。

 グループステージの相手は、ヨルダン代表、シリア代表、サウジアラビア代表と、全て中東のチームで、いわゆる「中東の笛」に苦しめられた。挙げだしたらキリがないほど不可解なジャッジは続いたが、特に第2戦シリア代表戦では副審がオフサイドを取ったにもかかわらず、GK川島永嗣のファウルでシリア代表にPKが与えられたシーンは有名だろう。

 それでも、そういった逆風に耐えて勝ち進むと、準決勝では宿敵・韓国代表にPK戦の末に勝利した。オーストラリア代表と対戦した決勝戦では、延長戦で長友のクロスに途中出場の李忠成がボレーで合わせて先制点を奪い、1-0の勝利を収めた。

 逆境の中で結果を手にして前進を続け、最終的にはチーム一丸で優勝を手にした日本代表は、大会の中で成長したチームだった。

●2位:2000年

開催国:レバノン
アジア杯成績:優勝
監督:フィリップ・トルシエ

 レバノンで開催された2000年大会の日本代表は、歴史に残る強さを示した。

 1998年にワールドカップ初出場を果たした日本代表は、その後フィリップ・トルシエ監督を招へいした。2000年のアジアカップは、フランスワールドカップに出場したメンバーが中心で、さらに直前のシドニー五輪に出場した中村俊輔、高原直泰、柳沢敦といった選手も加わっている。ベスト8に終わったものの、当時の五輪メンバーはメダル確実と言われていたほど前評判が高く、23人の登録メンバーのうち9人が五輪世代だった。

 グループステージ初戦で、前回大会王者であるサウジアラビア代表に4-1で快勝した日本代表は、第2戦ウズベキスタン代表戦で西澤明訓と高原がハットトリックを達成し、8-1で大勝してグループステージを突破した。

 決勝トーナメントではイラク代表、中国代表を下し、決勝でサウジアラビア代表と再び対戦することに。サウジアラビア代表は、初戦のあとで監督を交代して立て直していたが、日本代表は望月重良のゴールで勝利を収め、2大会ぶり2度目の優勝を果たした。大会最優秀選手には、名波浩が選ばれている。

 日本代表は、2002年の日韓ワールドカップへの準備を進めている時期だった。合計21得点という圧倒的な攻撃力を見せてアジアの頂点に立ったことで、自国開催の大舞台に向けて、代表チームに対する期待はますます高まった。

●1位:2024年

開催国:カタール
アジア杯成績:開催中
監督:森保一

 アジアカップ2023に臨んでいる現日本代表は、歴代最強の呼び声が高いチームだ。

 その大きな要因は、カタールワールドカップから続く快進撃にある。昨年6月から続く日本の連勝の中には、世界的な強豪国であるドイツ代表を4-1で下した試合もあり、世界に衝撃を与えた。

 久保建英や三笘薫といった選手が飛躍的に成長し、日本代表は大量得点が続いている。最終ラインも冨安健洋を筆頭に、ヨーロッパで活躍するレベルの選手を並べられるようになった。

 グループステージ初戦のベトナム代表戦では、負傷から戻ってきたばかりの久保が先発を外れ、コンディションの理由で三笘と冨安はベンチ外だったが、それでもしっかりと勝ちきり、選手層の厚さも示している。

 各ポジションにヨーロッパのクラブで活躍する選手がいる今回の日本代表は、期待値が歴代最高であることは間違いないだろう。その力を大会を通じて証明してもらいたいところだ。

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