憎きFIFAウイルス。代表チームで負傷したスター10人。過密日程という魔境で苦しむのは…

【写真:Getty Images】

 所属クラブでの過密日程に加え、IMD(インターナショナルマッチデー)で各国代表の一員として試合をこなす選手が、怪我に苦しむケースが多い。「FIFAウイルス」とも揶揄されるこの問題は、多くの代表選手を擁するチームにとっては死活問題だ。今回は、2023年下半期の代表活動で負傷したスター選手10人を紹介する。
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FW: ヴィニシウス・ジュニオール
生年月日:2000年7月12日(23歳)
所属:レアル・マドリード/ブラジル代表

 ブラジル代表のヴィニシウス・ジュニオールは、11月16日に行われたW杯南米予選第5節のコロンビア代表戦で激しいタックルを受け、プレー続行不可能となった。同選手が所属するレアル・マドリードが発表した検査結果によると、左足大腿部二頭筋を断裂したようだ。現在のところ、具体的な復帰時期は明かされていないが、来年2月以降となるだろう。

 ヴィニシウスは、レアル・マドリードの攻撃を牽引する存在であり、昨季はラ・リーガ33試合に出場し、10得点9アシスト、今季はこれまで同リーグ10試合に出場し、4ゴール1アシストをマーク。前述のコロンビア代表戦前に行われた、11月11日のバレンシア戦では、クロスボールに対し胸で押し込むゴールを奪うなど2得点の活躍で5−1の勝利に大きく貢献した。

 レアル・マドリードは、ヴィニシウスの負傷に加え、DFエデル・ミリトンやMFジュード・ベリンガムなどの主要選手が負傷離脱するという、楽観視できない状況に直面している。ヴィニシウスが不在予定の2月初旬までに、レアルはラ・リーガ9試合、UFFAチャンピオンズリーグ2試合、スペインスーパーカップ1試合を戦わなければならない。

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MF:中村敬斗
生年月日:2000年7月28日
所属:スタッド・ランス/日本代表

 3月に初めてサッカー日本代表に招集された中村敬斗は、今夏にオーストリアのLASKからフランスのスタッド・ランスへステップアップしている。日本代表でも4戦4得点とインパクトを残したが、10月13日のカナダ代表戦で相手選手のタックルを受けて左足首を負傷してしまった。

 新天地では9月26日のリール戦で初ゴールを決めてレギュラーの座を掴みかけ、日本代表にも定着しつつあるタイミングでの負傷だった。「正直、あまり納得いかないファウルだったけど、過ぎたことは仕方ない。怪我を治すことに集中したい」と4日後のチュニジア代表戦後に話していた。

 そのときは松葉づえなしで歩ける状態だったが、19日にフランス紙『レキップ』は復帰まですくなくとも1か月を要すると報じた。所属クラブでは5試合連続で欠場しており、26日のレンヌ戦もベンチ外。当初の報道よりは復帰に時間を要するようだ。

FW:ネイマール
生年月日:1992年2月5日(31歳)
所属:アル・ヒラル/ブラジル代表

 ネイマールは、10月17日に行われたW杯南米予選第4節のウルグアイ代表戦の前半終了間際に左膝を負傷し、交代を余儀なくされた。検査の結果、左膝の前十字靭帯と半月板の断裂と診断され、すでに手術が行われたようだ。ネイマールが所属するアル・ヒラルは復帰の時期を公表していないが、一般的に完治までに最低でも半年以上は要することから、今シーズンの復帰は絶望的と言わざるを得ない。
 
 これまでも中足骨骨折や足首靭帯断裂などの怪我により、長期的離脱を繰り返しているネイマールだが、今回の負傷はこれまでの中で最も重傷かつ回復までに長期的期間を要する可能性が高い。ネイマールも自身のインスタグラムにて「4ヶ月間の回復期間を経た後で、もう一度それを経験することを想像してほしい」と大怪我の辛さを語っている。

 ブラジル代表は2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)を制しているが、このときネイマールは怪我により欠場している。ネイマールが過去出場した4大会はいずれも優勝できず、直近の2021年大会では決勝でアルゼンチン代表に敗れてネイマールは涙を流した。32歳で迎える2024年大会で、ネイマールは悲願の大会制覇を果たすことはできるのだろうか。


MF:ガビ
生年月日:2004年8月4日(19歳)
所属:バルセロナ/スペイン代表

 スペイン代表で9番を背負うMFガビは、11月20日に行われたユーロ2023予選のジョージア代表戦で、右膝を損傷する怪我を負った。同選手が所属するバルセロナは、右膝の前十字靭帯断裂とそれに伴う外側半月板損傷と診断されたことを発表した。半年以上の回復期間を必要とするため、今シーズンの復帰は絶望的である。

 繊細な技術とパスセンスを持つガビは、17歳62日でスペインA代表デビューを果たし、現在は19歳ながらスペイン代表およびバルセロナの中心選手にまで上り詰めた。今季は所属するバルセロナでリーグ戦12試合に出場し、1得点1アシスト、昨季はリーグ戦36試合に出場し、2得点4アシストをマークしている。

 宿敵のレアル・マドリードに所属するダニ・カルバハルやホセルがSNSを通じて激励のメッセージを公開したこと、事の重大さを物語る。2004年生まれのガビは、来夏に開催されるパリ五輪にも出場できる年齢で、その前にはユーロ(欧州選手権)も控えるが、そこに間に合うかどうかは分からない。

FW:ミケル・オヤルサバル
生年月日:1997年4月21日(26歳)
所属:レアル・ソシエダ/スペイン代表

 スペイン代表のFWミケル・オヤルサバルは、11月16日に行われたユーロ2024予選第9節のキプロス代表戦に先発出場し、1得点1アシストをマークしたが、負傷により前半40分でピッチを後にした。オヤルサバルが所属するレアル・ソシエダは、左足大腿二頭筋の負傷と検査の結果を発表した。

 オヤルサバルは昨年3月に左膝前十字靭帯断裂の怪我を負い、同年12月末に約9ヶ月ぶりの復帰を果たした。復帰後は、負傷前ほどのパフォーマンスを発揮できていなかったが、ここ最近の11試合では9得点と、完全復活を印象付けている。11月8日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)グループステージのベンフィカ戦では1得点を記録してプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝き、クラブを20シーズンぶりのCL決勝トーナメント進出に導いた。

 幸いにも軽傷で、26日のセビージャ戦は先発こそ外れたものの、試合終盤に途中出場している。ソシエダは年内から年明けにかけてリーグ戦と国内カップ戦が控えており、来年1月にはAFCアジアカップに出場するためにサッカー日本代表MF久保建英も最長で1か月チームを離れる。もし復調したエースが長期離脱していれば、ソシエダにとってはかなりの痛手だったが、最悪の事態は免れた。


MF:ウォーレン・ザイール=エメリ
生年月日:2006年3月8日(17歳)
所属:パリ・サンジェルマン(PSG)/フランス代表

 11月18日のジブラルタル代表戦でフランスA代表デビューを飾ったMFウォーレン・ザイール=エメリ。デビュー戦早々にゴールを奪ったものの、ゴール時の接触により負傷し、前半途中でプレー続行が不可能となった。ザイール=エメリが所属するパリ・サンジェルマン(PSG)は、右足首捻挫と発表し、年内の復帰は難しいと伝えている。

 昨季、クラブ史上最年少の16歳151日でトップチームデビューを果たしたザイール=エメリは、今季はこれまで公式戦15試合2ゴール5アシストを記録。高い技術力と強靭なフィジカルを活かしたプレーを得意としており、欧州の有名クラブも注目している若手有望株である。

 パリ・サンジェルマンは、年内にリーグ・アン5試合、チャンピオンズ・リーグ(CL)で死のグループ突破に向けた2試合(ニューカッスル戦、ドルトムント戦)を控えており、ザイール=エメリの不在はこれらの試合の勝敗を大きく左右することになるかもしれない。


MF:エドゥアルド・カマヴィンガ
生年月日:2002年11月10日(21歳)
所属:レアル・マドリード/フランス代表

 フランス代表のMFエドゥアルド・カマヴィンガは、11月15日に行われた代表チームでの練習中に右膝を負傷し、戦線離脱することとなった。同選手が所属するレアル・マドリードによると、右膝外側側副靭帯断裂と診断されたようだ。全治や離脱期間については報じられていないが、少なくとも今年中に完全復帰することは難しいと予想される。

 インサイドハーフやボランチに加え、左サイドバックでも高いパフォーマンスを発揮できるカマヴィンガは、今季はこれまでラ・リーガ13試合全てに出場しており、チームの攻守両面で大きな貢献を果たしている。

 他方、既に多くの負傷者を抱えていたレアル・マドリードだが、今回のカマヴィンガの負傷はこの危機的状況に拍車をかけている。ジュード・ベリンガムは26日のカディス戦に間に合ったものの、オーレリアン・チュアメニとカマヴィンガの負傷が重なったことにより、今後の同チームの選手選考は難航を強いられるだろう。

FW:ネイマール
生年月日:1992年2月5日(31歳)
所属:アル・ヒラル/ブラジル代表

  ネイマールは、10月17日に行われたW杯南米予選第4節のウルグアイ代表戦の前半終了間際に左膝を負傷し、交代を余儀なくされた。検査の結果、左膝の前十字靭帯と半月板の断裂と診断され、すでに手術が行われたようだ。ネイマールが所属するアル・ヒラルは復帰の時期を公表していないが、一般的に完治までに最低でも半年以上は要することから、今シーズンの復帰は絶望的と言わざるを得ない。
 
 これまでも中足骨骨折や足首靭帯断裂などの怪我により、長期的離脱を繰り返しているネイマールだが、今回の負傷はこれまでの中で最も重傷かつ回復までに長期的期間を要する可能性が高い。ネイマールも自身のインスタグラムにて「4ヶ月間の回復期間を経た後で、もう一度それを経験することを想像してほしい」と大怪我の辛さを語っている。

 ブラジル代表は2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)を制しているが、このときネイマールは怪我により欠場している。ネイマールが過去出場した4大会はいずれも優勝できず、直近の2021年大会では決勝でアルゼンチン代表に敗れてネイマールは涙を流した。32歳で迎える2024年大会で、ネイマールは悲願の大会制覇を果たすことはできるのだろうか。

DF:アレッサンドロ・バストーニ
生年月日:1999年4月13日(24歳)
所属:インテル/イタリア代表

 イタリアメディア『L’Interista』によると、元ユベントスMFアレッシオ・タッキナルディは「バストーニの問題はインテルにとってマイナスだ」と発言していたという。インテルの最終ラインに欠かせないアレッサンドロ・バストーニは、イタリア代表のトレーニング中に右ふくらはぎを痛めて代表チームを離脱していた。

 バストーニはイタリア代表のユーロ(欧州選手権)予選2試合を欠場しただけでなく、26日のユベントスとのビッグゲームも欠場することに。イタリアメディア『calciomercato』が24日に報じたところによると、30日のUEFAチャンピオンズリーグ・ベンフィカ戦、12月4日のナポリ戦も欠場する可能性があるという。

 バストーニ不在の影響は大きい。ユベントスとの一戦は1-1の引き分けだったが、その後もビッグゲームが続くインテルにとって、この1週間は今季の前半戦最大の山場になるかもしれない。

DF:アンドリュー・ロバートソン

 スコットランド代表DFアンドリュー・ロバートソンは、10月12日に行われたスペイン代表戦で負傷してしまった。前半終了間際に相手GKと接触して肩を痛めている。そのまま交代となり、スコットランド代表を離れることとなった。

 ロバートソンは肩の手術に踏み切り、現在は復帰への階段を上っている最中だ。今月20日にはリバプール公式サイトが同選手の現状を報告。「手術から約3週間が経過しまたしたが、ここまでは順調」と述べたという。

 復帰時期の目処については明らかになっていないが、手術を受けたことで長期化するとみられる。ロバートソンは焦らずに回復に努めるつもりのようで、「今はゆっくりと、しかし確実に取り組んでいる」とコメント。ロバートソンが復帰するその時まで、コスタス・ツィミカスやジョー・ゴメスがリバプールに空いた左サイドバックの穴を埋めることになる。

FW:マルコ・アセンシオ
生年月日:1996年1月21日(27歳)
所属:パリ・サンジェルマン(PSG)/スペイン代表

 圧倒的な左足の決定力をもつスペイン代表のFWマルコ・アセンシオは、9月8日に行われたユーロ2024予選第5節のジョージア代表戦で先発出場したが、前半終了間際に足の打撲により負傷交代を強いられた。

 アセンシオが所属するパリ・サンジェルマン(PSG)は、9月末までは回復に時間を充てる必要があると発表したが、公式戦12試合を欠場して実践復帰は11月に倒れている。スペイン紙『El Confidencial』は、アセンシオの復帰が遅れる理由として靭帯の問題を挙げていた。離脱期間は実質的に2ケ月に及んだが、11月のインターナショナルマッチデー明けとなる24日のモナコ戦でベンチ入りしたため、公式戦復帰は間近とみていいだろう。

 今夏にレアル・マドリードからフリーでパリ・サンジェルマン(PSG)に移籍したアセンシオは、リーグ・アンで3試合に出場し2ゴール1アシストを記録している。

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