大丈夫!? 欧州で大苦戦中の日本人選手5人。なかなかピッチに立てていない男たち

【写真:Getty Images】

 欧州の2023/24シーズンでは、久保建英三笘薫らが好スタートを切った一方で、スタートダッシュに失敗してしまった選手も数多くいる。今回は、シーズン序盤で出場機会の確保に苦しんでいる主な欧州日本人選手を5人紹介する。※成績は23日時点の『transfermarkt』を参照。

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●MF:原口元気(はらぐち・げんき)
生年月日:1991年5月9日(32歳)
所属クラブ:シュトゥットガルト(ドイツ)
23/24リーグ戦成績:1試合0得点0アシスト

 ドイツでのキャリアが長い原口元気は、環境を変えなければいけないかもしれない。それほどシュトゥットガルトでの現状は厳しいものだ。

 2014年からドイツでプレーしている原口は、今年1月にウニオン・ベルリンからシュトゥットガルトに移籍。残留を争うチームですぐに定位置を確保した。だが、チームの調子は上がらず、4月にブルーノ・ラッバディア監督が解任されると、後任のセバスティアン・ヘーネス監督は原口をレギュラーから外した。

 ヘーネス監督はシュトゥットガルトを降格の危機から救い、2023/24シーズンも続投となった。すると原口の序列は変わらず、リーグ戦では第2節ライプツィヒ戦で20分間プレーしただけ。シュトゥットガルトは現在ブンデスリーガで3位と好調で、何かを変える必要はなく、序列を上げたい原口にとっては難しい状況だ。

 ドイツメディア『シュポルト・ビルト』は先月、「ヘーネスのもとで原口に未来はない」と記し、1月の移籍市場でシュトゥットガルトを離れる可能性があると伝えていた。

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●DF:小林友希(こばやし・ゆうき)
生年月日:2000年7月18日(23歳)
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
23/24リーグ戦成績:なし

 小林友希のヨーロッパ移籍は、これまでのところうまくいっていない。

 昨年冬にヴィッセル神戸からセルティックへ移籍した小林は、加入当初はほとんど出番がなかったが、シーズン終盤はピッチに立つ機会を手にしている。だが、5月に出場した3試合のうち2試合が黒星。レンジャーズに0-3、ハイバーニアンに2-4で敗れており、パフォーマンスを酷評されてしまった。

 アンジェ・ポステコグルーからブレンダン・ロジャーズに監督がかわった今季は、心機一転といきたいところだったが、現実は構想外だ。プレシーズンマッチの横浜F・マリノス戦で負傷交代となって出遅れたことが痛かったというのがあるとしても、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では登録メンバーから外され、リーグ戦でもベンチ入り1回という状況だ。

 スコットランドメディアの『サン』は今月21日、小林の獲得に古巣ヴィッセル神戸をはじめとしたJリーグの複数クラブが関心を示していると伝え、セルティックもレンタルでの放出を認める意向だと伝えていた。

●DF:岩田智輝(いわた・ともき)
生年月日:1997年4月7日(26歳)
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
23/24リーグ戦成績:4試合1得点0アシスト

 多くの日本人選手が活躍するセルティックだが、岩田智輝はまだ本来の輝きを見せられていない。

 2022シーズンのJ1リーグ年間最優秀選手賞を受賞した岩田は、今年1月にセルティックへ移籍した。横浜F・マリノス時代に指導を受けたアンジェ・ポステコグルー監督がチームを率いていることもあって、すぐにコンスタントに起用されるようになり、公式戦18試合に出場。安定感のあるプレーと闘志あふれる姿勢で評価を高めた。

 だが、セルティックは今季からブレンダン・ロジャーズ監督が指揮を執っており、岩田の出場機会は昨季に比べて減っている。ここまでリーグ戦に出場した4回は、いずれも途中出場だった。

 スコットランドメディア『セルティック・スター』は先月、岩田が初ゴールを決めたハーツ戦のあと、「ロジャーズのもとで大きな役割を担うことを示した」と称賛。「彼には何かがある。自信があるようにみえるし、スコットランドの試合に適した体格も、高い技術も備えている」と好意的に評価していたが、いまだに先発起用はない。

 岩田がセルティック加入時に「6番の位置で勝負したい」と話していた守備的MFには、不動のキャプテンであるカラム・マクレガーがいる。センターバックはリアム・スケールズとキャメロン・カーター=ヴィッカーズがファーストチョイス。さらに今年夏の移籍市場でグスタフ・ラガービエルケとマイク・ナヴロツキを獲得しており、選手層は厚い。チーム内の序列を変えるのは簡単ではない様子だ。

●MF:鎌田大地(かまだ・だいち)
生年月日:1996年8月5日(27歳)
所属クラブ:ラツィオ(イタリア)
23/24リーグ戦成績:10試合1得点1アシスト

 鎌田大地は2022/23シーズンいっぱいでフランクフルトとの契約が満了した。多くのクラブが関心を示す中、最終的にイタリアのラツィオに加入している。

 スタートは順調だった。新天地が決まったのは8月に入ってからだったが、すぐにマウリツィオ・サッリ監督の信頼をつかみ、開幕からスタメンで出場。第3節ナポリ戦では移籍後初ゴールも記録している。しかし、第5節モンツァ戦で先発を外れると、以降はベンチスタートが続いているところだ。

 鎌田がベンチスタートとなる理由をたびたび問われているサッリ監督は、不動のレギュラーであるルイス・アルベルトとのバランスの問題だと説明している。鎌田のことを「気に入っている」と繰り返しているものの、守備の安定を考えると同時起用は難しいとのことで、守備強度に定評のあるマテオ・ゲンドゥージが優先的にL・アルベルトの相棒を務めている。

 サッリ監督の褒め言葉はメディア向けのものではなく、イタリアメディアの『メッサジェーロ』などによると、ラツィオは鎌田の契約延長に動き出しているようで、信頼は確かに見える。ただ、これ以上ベンチが続くのは鎌田にとって良い状況でないことも明らかで、なるべく早くサッリ監督の求めるバランスを身につけたいところだ。

●GK:シュミット・ダニエル
生年月日:1992年2月3日(31歳)
所属クラブ:シント=トロイデン(ベルギー)
23/24リーグ戦成績:4試合3失点

 2019/20シーズンからベルギーのシント=トロイデンでプレーしていたシュミット・ダニエルは、今季も開幕から同クラブのゴールマウスを守っていた。しかし、夏の移籍市場でフランスのFCメスへ移籍する話が破談となり、状況が一変している。

 メディカルチェックで問題があったとして、移籍市場の最終日に突然移籍が白紙になったシュミット。シント=トロイデンはシュミットの放出に備えて、浦和レッズからGK鈴木彩艶を獲得済みだったため、すでに戻る場所もなくなっていた。

 シント=トロイデンのトルステン・フィンク監督は、移籍市場が閉鎖となったあとの会見で、「彼はトップレベルのGKで、彼の獲得を見送ったチームは愚かと言うほかにない」とメスを非難。その上で、「彼は移籍を望み、我々はそれに協力した。だから鈴木を獲得した。今は鈴木がファーストチョイスだ」と明言し、実際シュミットはその後一度もベンチ入りしていない。

 予期せぬトラブルでプレーする場所を失ってしまったシュミットは、冬の移籍市場が開くのを心待ちにしているはずだ。

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