久保建英と伊東純也の共存が生む脅威とは? サッカー日本代表2列目争い、落選危機は…【コラム】

【写真:田中伸弥】

●トップ下起用の久保建英

サッカー日本代表は17日、キリンチャレンジカップ2023でチュニジア代表と対戦し、2-0で勝利した。この試合ではトップ下に久保建英が入り、右サイドの伊東純也と共闘。旗手怜央も左サイドで存在感を示しており、今回参加していない三笘薫らも含めた2列目の競争は熾烈となっている。(取材・文:元川悦子)
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 11月16日の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選初戦の相手がミャンマー代表に決まった。来年1~2月のAFCアジアカップを含め、日本代表はここからいよいよ公式戦に突入する。

 その前最後の10月17日のチュニジア代表戦は貴重なテストの場。森保一監督も1トップ・古橋亨梧、2列目に伊東純也、久保建英、旗手怜央という現時点で考え得るベストに近い攻撃陣でゲームに挑んだ。

 5-4-1のブロックを敷いてきたチュニジアに対し、前半の日本代表はやや攻めあぐねる展開を余儀なくされた。それでも久保が起点を作り、左の旗手・中山雄太と流動的に絡みながらチャンスを作る。

 9月のトルコ代表戦では久保が下がってビルドアップに参加し、さらに前へ出ていくという幅広いタスクを強いられ、フィニッシュの迫力を欠く傾向があったが、今回はできるだけ高い位置をキープ。遠藤航と守田英正の両ボランチが相手を剥がして持ち上がってくれたため、久保は高い位置で攻守両面に専念できた。

 こうした中、23分には守田→菅原由勢→伊東とつながり、久保がDFのギャップに侵入。それが敵に当たり、最後は旗手が左からフリーで飛び込んだが、惜しくもシュートは枠を外れてしまう。

 このシーンに象徴される通り、相手守備陣の人数が揃っていても、日本代表は素早い動き出しと仕掛け、巧みにギャップを使う動きなどで決定機を作っている。ブロックを作ってくる相手の場合、どうしても各駅停車のパス回しになりがちだが、今回の日本代表は違った。このあたりはアジアとの戦いに向けての収穫と言っていい。

●「僕がトップ下にいて、右に伊東選手がいる方が相手からしたら脅威」

 積極的なトライの成果として、前半終了間際の古橋の先制点が生まれる。遠藤→守田→久保と縦につながり、久保がいったんDFを抑えながらキープ。前にいる旗手に展開し、彼もまたタメを作ってスルーパスを出した。この流れもブロック攻略策としては極めて有効だった。古橋もアピールに成功した状態で、試合を1-0で折り返した。

 迎えた後半。日本代表は上田綺世が登場。伊東が左に流れて旗手、久保と絡み、守田のフィニッシュにつなげた開始早々の49分のチャンスを筆頭に、攻撃陣の連動性が増していく。旗手も幅を取ったり、中に絞ってセルティックでやっている左インサイドハーフ(IH)的な位置取りで中央に厚みを持たせる仕事を確実に遂行。三笘薫、中村敬斗とは異なる特徴を発揮して、左サイドで存在感を遺憾なくもたらした。

 そして旗手と浅野拓磨、中山と町田浩樹が代わった6分後の69分。左サイドで町田→浅野とつながったところで久保がスッと抜け出し、ドリブルでエリア内に侵入。上田と守田が敵を引きつけ、大きく空いたスペースに伊東が右から飛び込み、豪快な2点目を叩き込むことに成功する。

 久保と伊東はここまで右サイドを争うライバル関係と位置付けられてきたが、今回は見事な共存が実現。久保自身も「僕がトップ下にいて、右に伊東選手がいる方が相手からしたら脅威なのかなと。自分も右で勝負したい気持ちもなくはないですけど、現状ではもったいないかなと思います」と2人が共闘できる状態の方がベターだという見解を示した。

●頭を悩ませる2列目の選考

 となれば、久保は今後、トップ下を主戦場し、鎌田大地、南野拓実と定位置を争っていくことになる。72分から出てきた南野も中央と右でプレーし、ゴール前で迫力をもたらしており、好調ぶりを印象付けていただけに、そちらの競争も相当激化しそうだ。

 最終的に日本代表は昨年6月に0-3で敗れたチュニジア代表をシュート1本に抑え込み、2-0で撃破。6月のエルサルバドル代表戦から続く連勝を6に伸ばしている。まさにチームは右肩上がりといったところだが、今後の森保監督が頭を悩ませるのが2列目の選考だろう。

 右サイドは今回も伊東が圧倒的な存在感を示したが、久保や南野もいざという時はこの位置に入れるポテンシャルをしっかりとアピールしている。

 トップ下はカナダ代表戦の南野、今回の久保とそれぞれが躍動感あるパフォーマンスを披露。2人ともゴールこそなかったが、フィニッシャーにも組み立て役にもなれるマルチ能力と感じさせた。

 一方の左サイドは三笘、前田大然、中村敬斗の3人に加え、今回古橋の先制点をアシストした旗手、カナダ戦の終盤にこの位置に入った南野と候補者が一気に急増。三笘は絶対的だとしても、カタールW杯経験者の前田や代表4戦4ゴールの中村敬斗でさえも残れる保証はない。誰を残していくのかを指揮官はしっかりと分析・検証し、判断する必要に迫られている。

●堂安律は停滞? 鎌田大地は物足りない

 FIFAワールドカップアジア2次予選では招集人数が23人に減るため、メンバー絞り込みは必須。旗手や南野が存在感を増した分、今回選外だった堂安律がかなり微妙な情勢になってきたと見る向きもある。

 堂安は堂安で9月のトルコ代表戦で伊藤敦樹の先制弾をお膳立てするいい仕事を見せてはいるものの、他の選手に比べるとプレーの幅がやや狭い。マルチタスクという意味では旗手や南野より見劣りする部分も否めない。しかも、今季は所属先で停滞中。現状を打破しなければ、代表に食い込めなくなる恐れもある。

 鎌田にしても、9月のドイツ代表戦では伊東、上田の2ゴールに絡む的確なプレーを披露したが、やはり新天地・ラツィオでの適応はまだ発展段階で、クラブでの活躍度は久保や南野に比べると物足りない。「今の鎌田はクラブでの順応を最優先に考えるべき」という意見もあるだけに、今後の扱いは慎重にならざるを得ないだろう。

「僕自身の序列はちょっと上がったんじゃないですか。そもそも今回、来てない選手もいるし。今の2列目の競争はホントに厳しいですよね。一昔前の日本代表が羨ましいです」と久保も神妙な面持ちで語っていたが、カタールW杯で結果を出した堂安でも落選危機に陥ってしまうのが、今の代表2列目の実情である。

 今のところ、右の伊東と左の三笘、トップ下の久保は確実に残るだろうし、マルチタスクの旗手もかなりいい位置に来ているが、それ以外は拮抗した状況と見てよさそうだ。

 だからこそ、彼らはクラブに戻って結果を出し続けなければいけない。果たして11月シリーズの2列目の陣容がどうなっているのか。その動向を大いに注目したいものである。

(取材・文:元川悦子)

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