世界最高のサイドバックは誰だ? サッカー選手能力値ランキング1~10位【23/24版】

【写真:Getty Images】

●10位: イヴァン・ペリシッチ(クロアチア代表)

 世界では、様々な特徴を持つ選手が活躍している。サッカーという競技の特性上、彼らの能力を数値化するのは極めて困難であることを承知の上で、フットボールチャンネルでは近年のスタッツを中心に様々なデータを集計し、5項目の能力に分類して数値化してランキングで紹介する。今回はSB(WB)編。

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生年月日:1989年2月2日
所属クラブ:トッテナム(イングランド)
22/23リーグ戦成績:34試合1ゴール8アシスト

 残念ながら右膝の前十字靱帯を損傷したことが発表されたイヴァン・ペリシッチだが、昨季加入したトッテナムでは50試合に出場し、充実した時間を過ごしていた。

 34歳となったペリシッチが使われ続けるのには理由がある。それは同選手が持つ高いユーティリティー性だ。これまでのキャリアではウイングバックとしてプレーすることが多かったが、4バックを採用するチームでは攻撃力を買われてウイングで起用されることが多い。これは同選手の高い戦術理解力が可能にしており、「IQ」の能力値は「85.0」を記録した。

 また両足を遜色なく使えるため、縦方向のドリブルだけでなく、中に切り込むドリブルでボックス内に侵入して自らゴールを狙うことも多く、インテル時代には1シーズンで11得点をマークしている。SBとして比較すると「守備」に不安が残るが、それに余りある「攻撃」性能がペリシッチにはある。

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●9位:トレント・アレクサンダー=アーノルド(イングランド代表)

生年月日:1998年10月7日
所属クラブ:リバプール(イングランド)
22/23リーグ戦成績:37試合2ゴール9アシスト

 幼い頃からリバプールを愛し、スティーブン・ジェラードに憧れるこの男は、弱冠18歳でトップチームデビューを飾った。24歳にしてプレミアリーグ200試合出場を達成した今季は、ジョーダン・ヘンダーソンらベテランが抜けたチームの副キャプテンに就任している。

 トレント・アレクサンダー=アーノルドを語る上で欠かせないのが“キック精度の高さ”だ。右足から放たれる高精度なクロスは、もはや芸術の域に差し掛かっている。低くて速いキックと、ふわりと浮かせた高弾道のキックを使い分ける。同選手の強みを最大限生かすために、リバプールでは中盤の底で配球する役割を任され、イングランド代表では本格的に中盤で起用されることもある。

 一方で課題を抱えるのが「守備」だ。SBはポジション柄、強力なドリブラーと対峙する場面が多くあり、同選手の対人守備が悪目立ちしてしまうことがある。それでも以前より改善は進んでおり、今後の成長が期待できる。能力値を総合的に見るとトップとは少し差があるものの、「スキル」を筆頭に攻撃的なスキルだけで見れば、世界最高クラスの能力を持っていると言えるだろう。

●8位:オレクサンドル・ジンチェンコ(ウクライナ代表)

生年月日:1996年12月15日
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
22/23リーグ戦成績:27試合1ゴール2アシスト

 オレクサンドル・ジンチェンコミケル・アルテタ監督のラブコールを受けて、昨季マンチェスター・シティからアーセナルに移籍した。アーセナルではこれまで公式戦38試合に出場し、攻撃時に中盤の選手としてプレーする“偽サイドバック”の役割を果たしている。

 シティ時代にMFからSBにコンバートされた同選手は、MF仕込みの圧倒的な「スキル」が魅力的だ。昨季は1試合当たりのパス成功率が88%を記録。左利きではあるが逆足でのパス精度も高く、相手選手に囲まれた狭いエリアでも適切な選手にパスを出す。ロングパスで一気に局面を打開したり、味方との細かいパスワークで攻撃のリズムを作ることが可能だ。同選手がピッチ上にいるか、いないかでビルドアップの質が大きく変わる。

 先日のユーロ予選・イングランド代表戦ではMFとして出場し、値千金のゴールを決めて、ウクライナ代表に貴重な勝ち点1をもたらした。(スタッツはデータサイト『Sofa Score』参照)

●7位:マルコス・アクーニャ(アルゼンチン代表)

生年月日:1991年10月28日
所属クラブ:セビージャ(スペイン)
22/23リーグ戦成績:30試合3ゴール2アシスト

 7位にランクインしたのはアルゼンチン代表DFマルコス・アクーニャだ。現在31歳のアクーニャは左SBを主戦場としているが左サイドハーフ、左ウイングバックとしてプレーすることも可能だ。代表では中盤のマルチロールとして重宝されてきた。昨年行われたFIFAワールドカップカタール2022では、累積警告により欠場した準決勝のクロアチア代表戦を除いた全6試合に出場し、優勝に貢献している。

 同選手の強みは縦への意識が強いドリブルだ。サイドから積極的に仕掛けて、左足から鋭いクロスをボックス内に届ける。今季はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)王者のマンチェスター・シティと対決したUEFAスーパーカップで先制弾をアシスト。その「攻撃」性能に疑いの余地はない。

 一方で「84.3」をマークした、同選手の「守備」面での貢献も忘れてはならない。昨季は1試合当たりのタックルがチーム最多となる1.9回を記録。身長172cmと決して大柄ではないが、闘争心あふれる守備で相手FWを押さえ込むファイターだ。(スタッツはデータサイト『Sofa Score』参照)

●6位:カイル・ウォーカー(イングランド代表)

生年月日::1990年5月28日
所属クラブ:マンチェスター・シティ(イングランド)
22/23リーグ戦成績:27試合0ゴール0アシスト

 ネイマールを始めとする名だたるドリブラーを苦しめてきた守備職人は、今年で33歳となった。しかし、そのプレーは今なお衰えるところを知らない。

 カイル・ウォーカーの「守備」数値はサイドバック全選手で最高となる「89.7」を叩き出した。特に対人守備は一級品で、抜かれることがほとんどない。強靭な身体とスピードで相手ウインガーを押さえ込んでしまう。カバーリング能力も高く、サイドに空いた広大なスペースをカバーすることが可能だ。

 シティでは右SBだけでなく、3バックの右CBでもプレーしている。守備だけでなく、展開力があり後方からのスムーズなビルドアップを可能にする同選手は、シティがトレブル(3冠)を達成するのに欠かせない選手だったと言っても過言ではない。

 昨季終盤は一時的にベンチスタートが続いたことで移籍が噂されたが、今季は開幕から全ての試合でスタメンに名を連ねている。ウォーカーの速さは相手チームにとって常に脅威となる。絶対に落とせない大事な試合こそ、その良さは際立つだろう。

●5位:ジョアン・カンセロ(ポルトガル代表)

生年月日:1994年5月27日
所属クラブ:バルセロナ(スペイン)
22/23リーグ戦成績:
17試合2ゴール1アシスト(マンチェスター・シティ)
15試合1ゴール4アシスト(バイエルン・ミュンヘン)

 “偽サイドバック”と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのがジョアン・カンセロだろう。従来のSBのようにサイドを駆け上がるだけでなく、縦横無尽な動きで様々なエリアに顔を出し、数的優位な状況を生み出す。SBの新境地を拓いたそのプレーは「カンセロ・ロール」と呼ばれた。

 最大の特徴は、サイドバック全選手でトップの「91.2」を記録した破壊的なまでの「攻撃」性能だ。パス、ドリブル、クロスのどれをとっても素晴らしく、味方とのコンビネーションで違いを作り出すことができるプレイヤーだ。ボールコントロール技術に秀でており、ドリブルでプレスを回避し安定したビルドアップに貢献することもあれば、相手陣地深くに侵入して決定的なラストパスを味方に届けることもできる。左右両サイドでプレーできるポリバレント性を備えているのも彼の長所だ。

 インテル、ユベントス、マンチェスター・シティ、バイエルンなど名だたるビッククラブを渡り歩いてきた男は今夏にバルセロナへ移籍。リーグ戦2試合目で早くも移籍後初ゴールを記録している。

●4位:アンドリュー・ロバートソン(スコットランド代表)

生年月日:1994年3月11日
所属クラブ:リバプール(イングランド)
22/23リーグ戦成績:34試合0ゴール8アシスト

 “ロボ”の愛称でサポーターから親しまれるアンドリュー・ロバートソンは、ユルゲン・クロップ監督のフットボールに欠かせない存在だ。リバプールでは左SBのファーストチョイスとして、これまで272試合に出場している。

 このスコットランド代表DFの代名詞と言えば、“無尽蔵のスタミナ”だろう。90分間左サイドで上下動を繰り返し、労を惜しまずチームに貢献する。自身が敵陣深くまで攻め上がっている状況でも、相手のカウンターが発動したら圧倒的な走力で自ゴール前まで戻り、守備に奔走する。かわされても追いつく、泥臭い守備ができるのも魅力的だ。

 献身的なプレーが注目されがちなロバートソンだが、そのサッカー「IQ」の高さも忘れてはならない。ハイラインを敷くリバプールではDFの1つのミスが命取りとなる。ロバートソンは優れた危機察知能力も持ち合わせており、ボールホルダーに自分が寄せるべきかどうかを瞬時に判断して、適切なポジショニングを行う。クロップ監督が重宝する理由は明白だろう。

●3位:ベン・ホワイト(イングランド代表)

生年月日:1997年10月8日
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
22/23リーグ戦成績:38試合2ゴール5アシスト

 3位にランクインしたのはイングランド代表DFベン・ホワイトだ。現在25歳のホワイトはブライトンの下部組織出身で、複数のクラブへのレンタル移籍を経験し、マルセロ・ビエルサ監督率いるリーズで才能が開花した。その活躍によりブライトンに復帰した20/21シーズンには、クラブ年間最優秀選手に選ばれている。

 21/22シーズンからアーセナルでプレーする同選手の強みは、「守備」性能とサッカー「IQ」の高さだ。どちらの能力値もサイドバック全選手としてはトップクラスの数値を叩き出した。ブライトンやアーセナル加入1年目には主にCBとしてプレーしており、CBとして培われたタックルで確実にボールを刈り取る。相手のチャンスの芽を潰した後は、状況に応じて自らボールを運んだり、味方にパスをつけたりと、攻撃の起点にもなれる現代的なディフェンダーだ。

 昨季からは右SBとして出場数を増やしており、右ウイングを務めるブカヨ・サカとの連携は試合を重ねるごとに高まっている。サカの最大出力を引き出すためには、ホワイトのクレバーなプレーが必須だ。

●2位:アクラフ・ハキミ(モロッコ代表)

生年月日:1998年11月4日
所属クラブ:パリ・サンジェルマン(フランス)
22/23リーグ戦成績:28試合5ゴール3アシスト

 レアル・マドリードの下部組織出身であるアクラフ・ハキミは、2018年にレンタルで加入したボルシア・ドルトムントで覚醒。2シーズンで公式戦73試合に出場して12ゴール17アシストを叩き出し、チームに欠かせない存在となった。その後インテルへの移籍を経て、21/22シーズンからはパリ・サンジェルマンでプレーしている。

 このモロッコ代表DFの持ち味は「89.1」を記録した「フィジカル」だ。他を寄せ付けない圧倒的なスピードを持っており、ドルトムント時代にはブンデスリーガトップとなる時速36.4㎞を記録した。快速を生かしたドリブルで右サイドを駆け上がり、あっという間にシュートまで持ち込んでしまう。

 同選手がまだ24歳であることは、にわかに信じがたい。FIFAワールドカップカタール2022・ラウンド16、スペイン代表戦でのPK戦で見せた異様なまでの落ち着きぶりは自信の表れでもある。右肩上がりで成長を続けるハキミには今季も目が離せない。

●1位:リース・ジェームズ(イングランド代表)

生年月日:1999年12月8日
所属クラブ:チェルシー(イングランド)
22/23リーグ戦成績:16試合1ゴール1アシスト

 チェルシーでは今夏に大胆な選手の入れ替えが敢行されたものの、リース・ジェームズがクラブの象徴であることに変わりはない。育成年代から(ヴィガン・アスレティックへのレンタル期間を除いて)チェルシー一筋の同選手は、今季からキャプテンを任されている。

 現在23歳のイングランド代表DFは、走攻守の3拍子が揃った最高の右SBだ。それは能力値にも反映されており、突出した能力があるというよりは全ての項目でトップクラスの数値を記録している。身長182cm、体重82㎏の屈強な「フィジカル」を活かした力強いプレーが魅力的で、「守備」では相手選手のタッチが大きくなった一瞬の隙を突いて身体をねじ込み、ボールを奪うことができる。「攻撃」時には容易に倒れず、ボックス内に高精度で速いクロスを供給することが可能だ。また決定力の高さも特徴の1つであり、21/22シーズンにはSBながら5ゴールをマークしている。

 唯一にして最大の欠点はケガの多さだ。昨季はシーズンの半分以上を膝とハムストリングの負傷により棒に振ることとなった。今季も開幕戦以降は負傷欠場が続いており、新キャプテンの復帰を誰もが待ち望んでいる。

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