世界最高のセンターバックは誰だ? サッカー選手能力値ランキング1~10位【23/24版】

【写真:Getty Images】

【リード】
世界では、様々な特徴を持つ選手が活躍している。サッカーという競技の特性上、彼らの能力を数値化するのは極めて困難であることを承知の上で、フットボールチャンネルでは近年のスタッツを中心に様々なデータを集計し、5項目の能力に分類して数値化してランキングで紹介する。今回はCB編。

10位:エデル・ミリトン(ブラジル代表)
生年月日:1998年1月18日
所属クラブ:レアル・マドリード(スペイン)
22/23リーグ戦成績:33試合5ゴール1アシスト

 残念ながら今季開幕戦で膝の前十字靭帯を断裂してしまったエデル・ミリトンだが、本来はレアル・マドリードとブラジル代表の両方で主力を担う実力者だ。

 キャリアの当初は持ち前のスピードを活かして右SBを務めるなど「フィジカル」が持ち味の選手で、相手FWとの1対1の場面では自由を奪い、タイミングの良いタックルとぶつかり合いの強さで強引にボールを奪い切る高い「守備力」が武器だ。「フィジカル」は「92.4」、「守備力」は「93」といずれも最高レベルの能力値を叩き出している。

 その一方でトップ5に入れなかった要因はビルドアップを武器としているCBと比較をすると、球出しの部分で違いを作れていないところだろうか。実際に「スキル」の能力値はトップ10の選手ではワーストの「66.6」に留まっている。だが、レアル・マドリードではダビド・アラバ、ブラジル代表ではチアゴ・シウバら隣にビルドアップを得意としているCBがいることもあって大きな弱点とはなっていない。

9位:ユリエン・ティンバー(オランダ代表)
生年月日:2001年6月17日
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
22/23リーグ戦成績:34試合2ゴール2アシスト(アヤックス)

 今夏にアーセナルに加入したユリエン・ティンバーがCB能力値ランキングで9位にランクインした。今季開幕戦で右膝の前十字靭帯損傷の大けがを負ったことで、今季絶望の可能性もあるが、最終ラインの全ポジションとボランチでプレーできるユーティリティ性が魅力の選手である。

 前所属のアヤックス時代は「最終ラインの司令塔」として、CBの位置から味方選手とのワンツーで攻撃参加に加わるなど自慢の「スキル」を見せる場面が多かった。正確なパスに寄せられても失わないテクニックはMFさながらのプレーであり、高い「攻撃力」でアヤックスのアタッキングフットボールを最後尾から支えていた。

 キャリアの当初は右SBで台頭するなど相手FWに走り負けないスピードも武器で、一度裏を取られても追いついてしまう走力の持ち主だ。一方で182cmとCBの選手としては小柄なため空中戦や守備強度には不安を残しており、「守備力」はトップ10の選手ではワーストの「86.3」に留まっている。残念ながら今季は絶望となる可能性が高いが、現在22歳と伸びしろは十分であり、来季以降にこれらの課題が改善をされれば一気にトップ5入りを果たすポテンシャルがある。

8位:ナタン・アケ(オランダ代表)
生年月日:1995年2月18日
所属クラブ:マンチェスター・シティ(イングランド)
22/23リーグ戦成績:26試合1ゴール0アシスト

 一時はマンチェスター・シティから放出される噂もあったナタン・アケだが、昨季後半戦よりジョゼップ・グアルディオラ監督の信頼を勝ち取って左SBのレギュラーに定着。7月には2027年夏までの新契約を結んだ。

 CBと左SB、ボランチでプレーできる万能性が魅力な選手で、DFとして高い完成度を誇る。マンチェスター・シティの戦術的なサッカーにも順応できる「IQ」や「スキル」、スピードと出足の鋭いタックルを活かした「フィジカル」や「守備力」はいずれもハイレベルだ。

 身長は180cmとCBとしてはかなり小柄ながら、落下点に入るのが早く空中戦を苦としていない。変に前に突っ込み過ぎて逆を取られるなどポジショニングや判断のミスも少なく、穴が少ない選手だと言える。今季はより対人守備とスピードを武器とするヨシュコ・グヴァルディオルが加入したことやジョン・ストーンズの怪我に伴い、再びCBでのプレーが増えており、そこでも指揮官が求めるクオリティをしっかりと発揮している。

7位:ジョン・ストーンズ(イングランド代表)
生年月日:1994年5月28日
所属クラブ:マンチェスター・シティ(イングランド)
22/23リーグ戦成績:23試合2ゴール2アシスト

 ジョン・ストーンズはジョゼップ・グアルディオラ監督のもとで年々進化を遂げている。

 18年夏のロシアワールドカップ後は大きく序列を落としたこともあったが、昨季は“偽CB”としてボール保持時は中盤の一角を担い、その卓越した「スキル」とサッカーIQの高さでマエストロのようなプレーを連発。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝ではトップ下の位置までポジションを上げて攻撃に絡むなど、その「攻撃力」の高さは世界屈指だ。「攻撃力」の能力値はCBで最高の「74.4」を叩き出している。

 攻撃参加が好きな選手は「守備力」が低いと思われがちだが、ストーンズはこちらも「91」と高い能力値を記録している。冷静かつクリーンな守備対応が持ち味で、マンチェスター・シティでは公式戦230試合で5枚のイエローカードしか貰っていない。かと言って寄せが甘いわけではなく、マーカーを自由にさせないタイトな守備もできる。唯一の課題でもある怪我の多さ以外は大きな穴は見つからない。

6位:ヨシュコ・グヴァルディオル(クロアチア代表)
生年月日:2002年1月23日
所属クラブ:マンチェスター・シティ(イングランド)
22/23リーグ戦成績:30試合1ゴール0アシスト(ライプツィヒ)

 ヨシュコ・グヴァルディオルは昨年のカタールワールドカップをキッカケに大ブレイクを果たした。

 今夏にマンチェスター・シティに9000万ユーロ(約126億円)の移籍金で引き抜かれたクロアチア代表DFの最大の強みは「フィジカル」と「守備力」だ。日本代表のサポーターからすれば、W杯の決勝トーナメント1回戦で何度も対人守備で止められた記憶が新しいだろう。いずれの能力値も「90.2」、「88.3」とトップ10の選手の中でもトップクラスで、スピードと長い足を活かした懐の深いタックルで対峙したFWを封殺する。

 この「守備力」に加えて高い「スキル」と「IQ」も兼ね備えている。逆サイドに正確なフィードを送って局面を打開するプレーや利き足ではない右でも正確なパスを周りの選手につけられる。シティでは加入直後ということもあり、よりタスクがシンプルな左SBでの起用からのスタートとなっているが、同チームの戦術に慣れてくれば本職のCBでも起用されるだろう。

5位:マルキーニョス(ブラジル代表)
生年月日:1994年5月14日
所属クラブ:パリ・サンジェルマン(フランス)
22/23リーグ戦成績:33試合2ゴール1アシスト

 マルキーニョスは今夏にマルコ・ヴェラッティが退団したことでパリ・サンジェルマンの最古参選手となった。

 中盤でもプレーできる広い視野や、サッカー「IQ」の高さを活かした予測能力をもとに広いエリアをカバーできる「守備力」が持ち味だ。いずれの能力値も「92」超えとトップ5の選手の中で随一のスタッツを記録している。

 この予測を活かした守備に加えて「フィジカル」も兼ね備えている。身長は183cmとCBの中では小柄ながら、1シーズンで5ゴールを決めるほどヘディングが強く、抜群の身体能力を活かしたジャンプ力や対人守備での当たりの強さも大きな武器だ。2018/19シーズンと2019/20シーズンにはボランチでの稼働が増えるなど、MFさながらの「スキル」の持ち主でもあり、総合的に完成度が高い選手だと言えるだろう。

4位:フィルジル・ファン・ダイク(オランダ代表)
生年月日:1991年7月8日
所属クラブ:リバプール(イングランド)
22/23リーグ戦成績:32試合3ゴール1アシスト

 かつては満場一致で世界No.1センターバックだったフィルジル・ファン・ダイクだが、現在は2020/21シーズンに負った大けがや加齢の影響で4位まで順位を下げている。

 かつては不動の地位を極めた1位からの転落の理由は「フィジカル」と「守備力」の低下だ。トップスピードに乗れば今でも十分に速いが、全盛期と比較をするとアジリティ不足はいなめない。相手FWの一瞬の加速についていけない場面が多々あり、今季の第3節ニューカッスル戦にてDOGSOで退場となったシーンはそれを象徴している。能力値が下がったとしても、元々が高すぎたため、現在でも「フィジカル」は「90.6」、「守備力」は「93.7」と高い水準を維持している。

 高精度のフィードの質は落ちておらず、ファン・ダイクの一本のパスからビッグチャンスが生まれることもある。そうした保持時の「スキル」はCB屈指であり、ある程度は個人技でのビルドアップが求められるリバプールでは攻撃面でも欠かせない戦力となっている。

3位:リサンドロ・マルティネス(アルゼンチン代表)
生年月日:1998年1月18日
所属クラブ:マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
22/23リーグ戦成績:32試合3ゴール1アシスト

 昨季マンチェスター・ユナイテッドがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内に返り咲いたのは、間違いなくリサンドロ・マルティネスの功績が大きかった。

 彼の守備面での魅力的な部分は闘争心の高さだ。身体を張ったタックルやシュートブロックの後に見せる感情むき出しのガッツポーズは、他のマンチェスター・ユナイテッドのCBでは見られない。技術面では小柄な選手だからこそできる俊敏な動きで、インターセプトやアジリティのあるFW相手にも粘り強く寄せて的確にピンチを摘む。これらが評価されて「守備力」の能力値は「90.7」と高い数値を叩き出している。

 攻撃面ではアヤックス仕込みの「スキル」や「IQ」が際立っている。長短のパスで最終ラインからリズムを作り、ライン間に立つ選手に縦パスを通して攻撃の起点となる。MF顔負けの技術の持ち主であり、その「スキル」の能力値はトップ10の選手で1位の「79」を叩き出している。これだけでもマルティネスがマンチェスター・ユナイテッドの攻守に欠かせない重要なプレイヤーであることがわかるだろう。

2位:ダビド・アラバ(オーストリア代表)
生年月日:1992年6月24日
所属クラブ:レアル・マドリード(スペイン)
22/23リーグ戦成績:23試合1ゴール3アシスト

 ダビド・アラバは、かつてバイエルン・ミュンヘンにて左WGのポジションをフランク・リベリや宇佐美貴史と争っていた姿からは想像できない完成度の高いCBへと成長した。

 元WGらしくスピードがあり、広いカバーエリアを誇る高い「守備力」でピンチの芽を着実に摘む。そして周りの選手を動かすリーダーシップも兼ね備えており、前所属では自身と同じくWGからSBに転身したアルフォンソ・デイビスに対して細かくポジショニングを指示する姿が良く見られた。レアル・マドリードでも同じく周りの選手を上手く統率しており、守備の柱として最終ラインに君臨している。

 昨季のラ・リーガ開幕戦で直接FKを叩き込むなど、キック精度の高さはCB屈指だ。空中戦はやや不安を残すものの、もともとWGの選手だったこともあり、「攻撃力」や「スキル」などは軒並み高い一番低い「攻撃力」の能力値でも「72」と平均値が軒並み高いことが2位という高順位へと繋がった。

1位:ルベン・ディアス(ポルトガル代表)
生年月日:1997年5月14日
所属クラブ:マンチェスター・シティ(イングランド)
22/23リーグ戦成績:26試合0ゴール0アシスト

 ヴァンサン・コンパニの退団後にリーダーシップを失ったマンチェスター・シティはやや苦しんだが、20/21シーズンより加わったルベン・ディアスの存在がこの課題を解決させた。

 ベンチにいる時でさえも味方に指示を出す抜群のリーダーシップで、すぐに守備の柱に定着。対人守備や的確なカバーリング、身体を張ったシュートブロック、ポジショニングの良さなどDFに必要な能力を高いレベルで兼ね備えており、その「守備力」の能力値は全選手でトップの「94.7」という驚異的な数字を叩き出した。「フィジカル」も「93.3」とこちらもトップである。

 加入後すぐにジョゼップ・グアルディオラ監督の戦術にフィットした高い戦術理解力も魅力で、「IQ」も「92.7」を記録。オフザボール、オンザボールどちらもクオリティが高く、いて欲しい場所に必ずいてくれる頼もしい存在だ。重要な局面でのシュートブロックやライン上でのクオリティはポジショニングの良さに裏付けられており、現時点でのCBで彼が最も完成度が高い選手だと言い切れる。

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