名古屋グランパス、5年間の歴代フォーメーション。西野朗、小倉隆史、風間八宏、三者三様の苦戦の爪痕

Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっている。今回、フットボールチャンネルでは、名古屋グランパスの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。

【写真:Getty Images】

FW闘莉王も実らず(2015年)

Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっている。今回、フットボールチャンネルでは、名古屋グランパスの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。
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【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:9位(1st:9位/2nd:10位)
ヤマザキナビスコカップ:準々決勝敗退
天皇杯:2回戦敗退

 前年に監督に就任した西野朗監督の下、2015年シーズンはスタートした。2010年のリーグ優勝に貢献した中村直志は現役を退き、ケネディと玉田圭司もチームを去った。

 2敗2分という最悪なスタートを切ると、上位争いに一度も絡むことなく9位で1stステージを終えた。楢崎正剛を中心とした守備陣は18失点と健闘したが、上位争いをするのに18得点は少なすぎた。

 2ndステージはスタートから課題だった攻撃陣が奮起。川又堅碁の5戦連続ゴールなどで11ゴールを奪って3勝を挙げた。しかし、サンフレッチェ広島に5失点、川崎フロンターレには6失点と守備が崩壊。4バックに変更して最前線に田中マルクス闘莉王を起用した終盤戦の起用も、絶大な効果をもたらすことはなかった。

 川又は7月の好調を維持できず、8月以降は1得点のみに終わっている。チーム全体で2ndステージは26得点を挙げたが、30失点を喫して10位に沈んだ。守備的に戦えばゴールが奪えず、攻撃的に戦えば失点を重ねる。攻守におけるチグハグさが印象的なシーズンだった。

 外国籍選手は揃って期待を裏切った。ダニルソンやレアンドロ・ドミンゲスは負傷多く、戦力にならず。大宮アルディージャ、清水エスパルスで2年連続2ケタ得点をマークしたノヴァコヴィッチを獲得したが、5得点と期待を裏切った。

 最大のハイライトは楢崎正剛が打ち建てた金字塔だろう。プロ21年目の楢崎は、10月3日の柏レイソル戦でJ1通算600試合出場をマーク。2020年に遠藤保仁に並ばれるまでは歴代単独1位の大記録を残している。

▽GK
楢崎正剛

▽DF
竹内彬
田中マルクス闘莉王
本多勇喜

▽MF
矢野貴章
矢田旭
磯村亮太
永井謙佑

▽FW
小屋松知哉
小川佳純
川又堅碁

迷走を招いた小倉体制(2016年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:16位(1st:14位/2nd:15位)
YBCルヴァンカップ:グループステージ敗退
天皇杯:2回戦敗退

 2年間指揮を執った西野監督は退任。前年6月からGM補佐を務めていた小倉隆史がGM兼監督に就任した。キャプテンを2年間務めた田中マルクス闘莉王は契約満了となり、前年に期待を裏切った外国籍選手は揃ってチームを去った。

 開幕戦こそ勝利したが、1stステージだけで8敗を喫して14位に沈んだ。8月1日にはドラガン・ストイコビッチの右腕としてリーグ優勝に貢献したボスコ・ジュロヴスキーがコーチとしてチームに復帰。それでも状況は変わらず、8月23日には小倉監督が事実上の解任となり、ジュロヴスキーが監督に就任、闘莉王が半年ぶりにチームに復帰した。

 ジュロヴスキー新監督の初陣となった28日のFC東京戦は、後半アディショナルタイムの失点で勝ち点3を逃した。この引き分けにより、1stステージ第10節から続く未勝利は、クラブワーストの18試合まで到達している。

 それでも、翌節のアルビレックス新潟戦から闘莉王がピッチに戻ってくると、5試合で3勝を挙げて最下位から14位まで順位を上げた。しかし、33節で神戸に3-0と完敗すると、最終節では既に降格が決まっていた湘南ベルマーレに1-3で敗れて16位に転落。J2降格が決まった。

 オリジナル10の一つとして、名古屋は1993年のJリーグ開幕からJ1で戦い続けてきたが、23年目にして初めてJ2降格の憂き目を見ることとなった。降格の責任を取る形で久米一正は社長を辞任、ジュロヴスキー監督もシーズン終了後に退任となった。

▽GK
楢崎正剛

▽DF
矢野貴章
竹内彬
大武峻
安田理大

▽MF
イ・スンヒ
田口泰士
古林将太
小川佳純
永井謙佑

▽FW
シモビッチ

風間体制に現れた救世主(2017年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:3位
天皇杯:4回戦敗退

 川崎Fの監督を退任した風間八宏が新監督に就任した。初めてJ2を戦うことになったチームは大幅な選手の入れ替えを敢行。玉田が2年ぶりに復帰、佐藤寿人が広島から加入した一方で、主力だった闘莉王、矢野貴章、永井謙佑、小川佳純、川又堅碁がチームを去った。

 3バックと4バックを併用する中で、加入2年目の和泉竜司と、広島から期限付き移籍してきた宮原和也がレギュラーに定着した。宮原はサイドバックとセンターバックをこなし、和泉は左サイドをメインにサイドバックからウイングまで幅広いポジションを担った。

 7節で勝利して首位に浮上したが、その後は湘南やアビスパ福岡との熾烈な首位争いを演じた。しかし、6月3日のツエーゲン金沢戦からの6試合で1勝しかできずに7位に後退。この時点で首位を走る湘南との勝ち点差は10ポイントに開き、1年でのJ1復帰は難しく思えた。

 しかし、その直後に救世主が現れた。7月18日に名古屋はガブリエル・シャビエルの獲得を発表。4日後のデビュー戦でいきなりゴールを決めると、初出場からわずか5試合で3得点7アシストをマークして、瞬く間に攻撃の軸になった。4-1で勝利した東京ヴェルディ戦では3アシスト、6-2と大勝したFC岐阜戦ではハットトリックと、終盤の大事な試合でも躍動し、わずか16試合の出場で7ゴール14アシストという驚異的な結果を残した。

 自動昇格となる2位は、13戦無敗でシーズンを終えたV・ファーレン長崎の手に渡ったが、名古屋も9試合で7勝を挙げて3位でシーズンをフィニッシュ。J1昇格プレーオフでは、シモビッチのハットトリックなどでジェフユナイテッド千葉との準決勝を制し、リーグ戦4位の福岡との決勝はスコアレスドローで終えて、1年でのJ1復帰を決めた。

 85得点はダントツのリーグトップだったが、65失点は下から6番目の数字だった。優勝した湘南が36失点だったことを考えれば、その数字が持つ意味が分かるだろう。風間サッカーは名古屋でも、その魅力と弱さを併せ持っていた。

▽GK
楢崎正剛

▽DF
宮原和也
櫛引一紀
ワシントン
和泉竜司

▽MF
青木亮太
小林裕紀
田口泰士
佐藤寿人

▽FW
ガブリエル・シャビエル
シモビッチ

ジェットコースター(2018年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:15位
YBCルヴァンカップ:グループステージ敗退
天皇杯:3回戦敗退

 風間体制2年目はオフの話題をさらった。ブラジル全国選手権で得点王とMVPを獲得した元ブラジル代表FWジョーと、オーストラリア代表GKのミッチェル・ランゲラックを完全移籍で獲得。シャビエルが期限付き移籍期間を延長し、J1でも上位を狙える戦力を揃えたはずだった。

 連勝スタートを切ったが、4節からは8連敗を含む15戦未勝利の大ブレーキ。前半戦は2勝3分12敗と負けが込み、最下位でシーズンを折り返した。ルヴァンカップはグループステージで、天皇杯でも初戦(2回戦)でJFLの奈良クラブにPK戦の末に敗退。しかし、競技規則の適用ミスがあったとして、PK戦のみをやり直しとなる異例の事態に発展。奈良クラブとの再PK戦に勝利した名古屋だったが、広島との3回戦に敗れている。

 1年でのJ2逆戻りはなんとしてでも避けたい名古屋は、夏にさらなる大型補強を敢行。センターバックには6月に加わった丸山と中谷が、中盤にはエドゥアルド・ネットが定着。意外性を秘めた金井貢史は、左サイドバックながら4得点をマーク、松本山雅から来た前田は2トップの一角や右サイドを担って7得点4アシストを挙げた。

 大型補強は実を結び、8月1日から7連勝で11位にジャンプアップ。攻撃陣が7試合で24得点と爆発し、ジョーがその間12得点と固め打ちした。しかし、その好調は持続せず、ラスト10試合で2勝しかできなかった。最終的には12位から16位までが勝ち点41で並んだが、得失点差で15位に残った名古屋は残留を確定させた。

 24得点のジョーは得点王を獲得。シャビエルの9アシストもリーグ4位の成績で、夏に加入した前田も7得点4アシストと活躍した。シーズン52得点はリーグ4位の数字だったが、59失点は最下位に終わったV・ファーレン長崎と並んでリーグ最下位。優勝した川崎Fとはダブルスコアをつけられた。J2でも明確だった課題が、J1の舞台で白日にさらされた。

▽GK
ランゲラック

▽DF
宮原和也
中谷進之介
丸山祐市
秋山陽介

▽MF
前田直輝
小林裕紀
エドゥアルド・ネット
玉田圭司

▽FW
ジョー
ガブリエル・シャビエル

風間体制の終焉(2019年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:13位
YBCルヴァンカップ:準々決勝敗退
天皇杯:2回戦敗退

 風間体制3年目も、前年に続いて積極的な補強を敢行した。中盤にはジョアン・シミッチと米本拓司、左サイドバックには吉田豊を獲得。宮原とシャビエルはこのシーズンから完全移籍に切り替わった。ランゲラックの加入により出場機会が激減した楢崎は、18年限りで現役を退いている。

 開幕3連勝で首位に立った。その後も勝ち点を積み重ね、ゴールデンウィークを終えた5月12日の時点で首位FC東京を追従する1番手として、勝ち点4差の2位につけている。

 しかし、川崎戦に1-1で引き分けた名古屋は、再び川崎と対戦する8月10日まで、10試合も勝つことができなかった。上位との差は開いて10位まで転落すると、その後も調子は上がらず。3連敗を喫した名古屋は風間監督を解任し、9月28日にマッシモ・フィッカデンティの監督就任を発表した。

 新体制では連続引き分けの後に連敗し、5戦目でようやく初白星を手にしたが、ラスト3試合も勝てず。神戸戦が唯一の勝利となった。それでも、下位チームの不調に助けられて降格圏に沈むことなく、13位でシーズンを終えた。

 ジョーは開幕戦で2つのゴールを奪ったが、全体的には低調なシーズンだった。得点王となった前年のように固め打ちもなく、チームが不調に陥った5月の川崎F戦以降はわずか1ゴールしか挙げられず。シャビエルも3得点6アシストと、前年からは大きく成績を落とした。両外国籍選手の不調は、チームの成績に大きく響いたと言えるだろう。

▽GK
ランゲラック

▽DF
宮原和也
中谷進之介
丸山祐市
吉田豊

▽MF
前田直輝
米本拓司
ジョアン・シミッチ
和泉竜司

▽FW
ジョー
ガブリエル・シャビエル

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