2017年Jリーグ。フロンターレが悲願達成、長崎はクラブ消滅の危機から一転…。あの大物選手も来日!【Jリーグ平成全史(25)】

1993年に開幕したJリーグは今季で27年目を迎えている。平成とともに歩み成長し、時代は令和へと移行した。フットボールチャンネル編集部では、昨季までの26年間を1年ずつ振り返っていく。今回は2017年(平成29年)。

クラブ史上初のJ1リーグ制覇を果たした川崎フロンターレ【写真:Getty Images】

2017年(平成29年)

 1993年に開幕したJリーグは今季で27年目を迎えている。平成とともに歩み成長し、時代は令和へと移行した。フットボールチャンネル編集部では、昨季までの26年間を1年ずつ振り返っていく。今回は2017年(平成29年)。

------------------------------

 この年のJリーグはJ1の18クラブ、J2の22クラブ、J3はアスルクラロ沼津を加えた17クラブで争われることになった。また、2017シーズンよりメディア中継は、それまでのスカパー!によるテレビ中継から、イギリスのパフォーム・グループが展開するOTT(ライブ動画配信)サービス「DAZN」(ダゾーン)になった。しかし、J1第1節のガンバ大阪対ヴァンフォーレ甲府とJ2第1節の愛媛FC対ツエーゲン金沢の2試合がDAZNで視聴ができない状態となり、Jリーグが公式YouTubeチャンネルで試合映像を配信する処置を取るなど開幕から不具合が相次いでいた。

参加クラブ
J1:川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、セレッソ大阪、柏レイソル、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田、浦和レッズ、サガン鳥栖、ヴィッセル神戸、ガンバ大阪、北海道コンサドーレ札幌、ベガルタ仙台、FC東京、清水エスパルス、サンフレッチェ広島、ヴァンフォーレ甲府、アルビレックス新潟、大宮アルディージャ

J2:湘南ベルマーレ、V・ファーレン長崎、名古屋グランパス、アビスパ福岡、東京ヴェルディ、ジェフユナイテッド千葉、徳島ヴォルティス、松本山雅FC、大分トリニータ、横浜FC、モンテディオ山形、京都サンガF.C.、ファジアーノ岡山、水戸ホーリーホック、愛媛FC、FC町田ゼルビア、ツエーゲン金沢、FC岐阜、カマタマーレ讃岐、レノファ山口、ロアッソ熊本、ザスパクサツ群馬、

J3:ブラウブリッツ秋田、栃木SC、アスルクラロ沼津、鹿児島ユナイテッドFC、AC長野パルセイロ、FC琉球、藤枝MYFC、カターレ富山、ギラヴァンツ北九州、福島ユナイテッドFC、FC東京U-23、SC相模原、セレッソ大阪U-23、Y.S.C.C.横浜、グルージャ盛岡、ガンバ大阪U-23、ガイナーレ鳥取

 このシーズンより、J1リーグでは1ステージ制が復活。計34試合を行い、勝ち点の合計で順位が決定する。なお上位3チームがAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得、下位3チームがJ2へ自動降格というレギュレーションに大きな変更はなかった。

 J2も前年同様、上位2クラブが昇格、3位~6位のチームが昇格プレーオフを戦い、J1昇格への残り一枠の座を争った。最下位クラブが降格、21位のチームは入れ替え戦に回ることになった。J3も首位クラブが昇格、2位のチームが入れ替え戦に回るというレギュレーションに大きな変更はなかった。

 しかしこの年、J3王者に輝いたのはブラウブリッツ秋田であったが、同クラブはJ2クラブライセンスを所持していなかったため、2位の栃木SCに昇格の権利が与えられた。そのためJ2からの降格クラブも1チームのみ。J2で最下位に沈んだザスパクサツ群馬がJ3へと降格することになった。

 日本代表はこの年の8月、ロシアワールドカップ・アジア最終予選、ホームでオーストラリア代表と対戦。前半に浅野拓磨が先制ゴールを奪うと、後半には井手口陽介が強烈なミドルシュートを叩き込んで2-0とした。試合はそのまま終了し、日本代表は6大会連続6回目のW杯出場を掴み取った。

主な出来事

 この年、J1リーグで悲願を達成したのは川崎フロンターレだった。同クラブは開幕前に家長昭博や阿部浩之を獲得するなど積極的な補強を行い、十分な戦力を揃え新シーズンに挑んだ。開幕から順調に勝ち点を積み上げた同クラブは、9月に行われた第25節、対横浜F・マリノス戦で3-0と快勝し、2位に浮上。以降、1試合も落とすことなく、第33節終了時点で首位・鹿島アントラーズと勝ち点差「2」の2位をキープした。

 迎えた最終節。相手は大宮アルディージャだった。優勝に向けて是が非でも勝ち点3が必要だった川崎Fは、試合開始わずか1分で阿部が先制ゴールを奪取すると、エース・小林悠がハットトリックを達成するなど一気に大宮を突き放す。試合終盤には長谷川竜也にもゴールが生まれ、5-0と快勝。あとは鹿島の結果を待つのみとなった。

 アウェイでジュビロ磐田と対戦していた鹿島は、前半から猛攻を仕掛けるもホームチームの手堅い守備に手を焼き、なかなか点を奪うことができない。結局、試合はスコアレスドローのまま終了。この結果、川崎Fと鹿島は勝ち点で並ぶ形となったが、得失点差で上回った前者がクラブ史上初のJ1リーグ王者に輝いた。

 川崎Fはクラブ創設21年目にして初めての主要タイトルを獲得しただけでなく、得失点差+39はチーム史上最多、総失点32はチーム史上最少、年間4敗はリーグ史上最少となっているなど、圧倒的な強さでJ1リーグを駆け抜けた。また、リーグ優勝が得失点差で決まったのは、実はJリーグ史上初のことであった。

 J2で悲願を達成したのはV・ファーレン長崎だった。同クラブはシーズン開幕前、およそ3億円の累積赤字が発覚するなど経営面の問題が表面化し、クラブ消滅の危機に瀕していた。その暗い雰囲気はチームの成績にも影響を及ぼし、第7節~第9節で3連敗を喫するなど、スタートは順調とは言えなかった。

 しかし、4月に「ジャパネットたかた」創業者の高田明氏が新社長に就任すると、チームの暗い雰囲気は一気に払拭。成績も順調に伸び、気づけばJ1昇格争いを繰り広げるようになった。

 迎えた第41節、対カマタマーレ讃岐戦。ホームで行われたこの一戦、先にスコアを動かしたのは、長崎だった。27分、島田譲のスルーパスに抜け出した飯尾竜太朗のクロスを乾大知が押し込み、先制に成功した。その後、讃岐の木島徹也にゴールが生まれ、一時同点に追いつかれたホームチームだったが、73分に前田悠佑、82分に翁長聖にゴールが生まれ3-1と勝利。この結果、長崎はクラブ創設12年、Jリーグ参戦5年目でのJ1初昇格を掴み取った。シーズン開幕前にはクラブ存続の危機に瀕していた同チームの歴史的なJ1昇格は、大きな話題となった。

 また、アーセナルやケルンで活躍し、ドイツ代表として2014年ブラジルワールドカップ制覇を経験したルーカス・ポドルスキのヴィッセル神戸移籍が発表されたのはこの年の3月のことだった。移籍金は260万ユーロ(約3億1000万円)とされている。正式な加入は同年7月であり、同月22日に行われたプレシーズンマッチのベガルタ仙台戦で日本デビューを果たしている。リーグ戦では15試合5得点という成績だった。

J1昇格プレーオフ決勝

 この年のJ1昇格プレーオフ決勝に挑んだのは、J2リーグを3位で終えていた名古屋グランパス、同4位のアビスパ福岡だった。名古屋はプレーオフ準決勝でジェフユナイテッド千葉を4-2で、福岡は東京ヴェルディを1-0で下しての決勝進出であった。

両チームスタメン

名古屋グランパス
GK:武田洋平
DF:宮原和也
DF:ワシントン
DF:櫛引一紀
DF:青木亮太
MF:田口泰士
MF:小林裕紀
MF:和泉竜司
MF:ガブリエル・シャビエル
FW:シモビッチ
FW:佐藤寿人

アビスパ福岡
GK:杉山力裕
DF:駒野友一
DF:亀川諒史
DF:實藤友紀
DF:堤俊輔
MF:冨安健洋
MF:三門雄大
MF:山瀬功治
FW:ウェリントン
FW:仲川輝人
FW:松田力

 リーグ最多得点を誇る名古屋とリーグ最少失点を誇る福岡の対戦となったこのゲームは、試合開始からお互いに激しい攻防を繰り広げた。13分にはG・シャビエルのクロスに田口が合わせゴールネットを揺らすも、直前にシモビッチがファウルを犯したとしてノーゴール判定に。一方、福岡も58分に駒野のクロスをウェリントンが合わせゴールに叩き込むも、わずかにオフサイドの判定が下され、こちらも得点は認められず。両者とも決定機を何度か作りながらも試合は動かず、ゲームはアディショナルタイムに突入した。

 最低でも1点が必要だった福岡だったが、名古屋の堅い守備を破ることができず。試合は0-0のまま終了。この結果、年間順位で上回った名古屋が1年でのJ1復帰を確定させた。

ベストイレブン、個人賞

ベストイレブン
GK:中村航輔(柏レイソル)
DF:昌子源(鹿島アントラーズ)
DF:西大伍(鹿島アントラーズ)
DF:エウシーニョ(川崎フロンターレ)
DF:車屋紳太郎(川崎フロンターレ)
MF:中村憲剛(川崎フロンターレ)
MF:井手口陽介(ガンバ大阪)
MF:山口蛍(セレッソ大阪)
FW:興梠慎三(浦和レッズ)
FW:小林悠(川崎フロンターレ)
FW:杉本健勇(セレッソ大阪)

 クラブ史上初のJ1リーグ制覇を果たした川崎フロンターレからは最多の4名が選出。ベテラン・中村憲剛はこれが7回目となるベストイレブン選出だった。また、中村航輔や井手口陽介、車屋紳太郎が初選出となっているなど、若手の活躍が印象的なシーズンでもあった。

個人賞
最優秀選手賞:小林悠(川崎フロンターレ)
得点王:小林悠(川崎フロンターレ)
ベストヤングプレーヤー賞:中山雄太(柏レイソル)
最優秀監督賞:鬼木達(川崎フロンターレ)
優秀監督賞(J1):尹晶煥(セレッソ大阪)
優秀監督賞(J2):曹貴裁(湘南ベルマーレ)
優秀監督賞(J3):杉山弘一(ブラウブリッツ秋田)
最優秀審判賞:西村雄一
最優秀副審賞:相樂亨
フェアプレー賞 高円宮杯:サンフレッチェ広島
J1フェアプレー賞:ベガルタ仙台、セレッソ大阪、FC東京、サガン鳥栖、川崎フロンターレ、ガンバ大阪、ジュビロ磐田
J2フェアプレー賞:大分トリニータ、松本山雅FC、愛媛FC、東京ヴェルディ、ファジアーノ岡山、モンテディオ山形、ツエーゲン金沢
J3フェアプレー賞:ブラウブリッツ秋田、アスルクラロ沼津、Y.S.C.C.横浜、セレッソ大阪U-23、グルージャ盛岡、AC長野パルセイロ、福島ユナイテッドFC、
フェアプレー個人賞:中澤佑二(横浜F・マリノス)、柿谷曜一朗(セレッソ大阪)、水本裕貴(サンフレッチェ広島)
功労選手賞:市川大祐、大島秀夫
最優秀育成クラブ賞:FC東京
最優秀ゴール賞:関根貴大(浦和レッズ)

 この年より最優秀監督賞だけでなく、各カテゴリーの優秀監督賞が発表されるようになった。J1ではセレッソ大阪の尹晶煥監督、J2は湘南ベルマーレの曹貴裁監督、J3はブラウブリッツ秋田の杉山弘一監督が受賞している。また、川崎フロンターレの小林悠は最優秀選手賞と得点王をダブル受賞。これは史上6人目の快挙となっている。

この年、世の中では何が?

 1月20日、第45代アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が就任することが正式に発表された。しかし過激な発言等を度々繰り返す同氏の大統領就任には国民から多くの批判の声が挙がるなど、アメリカが大きく揺れた年であった。

 日本では4月、女子フィギュアスケートのバンクーバーオリンピック銀メダリストである浅田真央が現役引退を発表。記者会見では報道陣に背を向け涙を拭う姿がなんとも印象的だった。

 また、ゴルフの宮里藍がメジャー最終戦となるエビアン選手権でのプレーを終えて現役から退いたのもこの年のこと。米ツアー9勝、世界ランキング1位の座にも就いた女王の引退を惜しむ声が絶えなかった。

 さらに歌手の安室奈美恵がデビュー25周年の節目となる2018年9月16日を持って芸能界から引退することを決断した。突然の発表に日本中が驚き、“アムロス”といった言葉も誕生した。安室奈美恵は同年の紅白歌合戦に出場し、局内のスタジオから代表曲『Hero』を熱唱。歌唱後には涙を浮かべるなど、大晦日に日本中に大きな感動をもたらした。

 6月にはフリーアナウンサーで歌舞伎俳優の市川海老蔵の妻である小林麻央さんがこの世を去った。2016年に乳癌を告白し、闘病生活を続けていた麻央さんは34歳という若さだった。この訃報に、日本中が深い悲しみに包まれた。

 12月にはロシアの首都モスクワで翌年に開催されるロシアワールドカップの組み合わせ抽選会が行われた。前回王者のドイツ代表はメキシコ代表、スウェーデン代表、韓国代表と同組に。日本代表はポーランド代表、セネガル代表、そして2014年ブラジルワールドカップでも対戦したコロンビア代表と同じグループに所属することになった。

ジャンルで探す