「自分の力で変えたい」 鈴木武蔵が誓う苦境のG大阪を救う決意、J1残留への鍵は?

シーズン途中からG大阪に加入した鈴木武蔵【写真:Getty Images】

シーズン途中からG大阪に加入した鈴木武蔵【写真:Getty Images】

【独占インタビュー】今夏加入したG大阪FW鈴木武蔵が現況を語る

 今、J1ガンバ大阪が苦境に立たされている。今季、片野坂知宏監督の下でスタートしたチームは現在17位と自動降格圏内に沈み、厳しい残留争いを戦っている。必ず逆境に打ち勝つ――。今夏、G大阪の救世主としてベルギー2部ベールスホットから加入した元日本代表FW鈴木武蔵が残留への想いを明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞/全2回の1回目)

   ◇   ◇   ◇

 今年6月下旬、鈴木は悩んでいた。自身のキャリアにおいてターニングポイントとも言える選択だった。古巣の北海道コンサドーレ札幌、そしてG大阪から獲得オファーが届いた。縁もゆかりもない大阪の地。チームはシーズン当初から苦しい状況が続いていた。だからこそ、鈴木の心を奮い立たせた。

「もちろん、めちゃくちゃ悩んだ。でも自分の中で移籍する時はチャレンジできるところ、新しいことを見つけられそうなところに行きたいな、ということがルールじゃないけど、新しい冒険、チャレンジしたいという想いが常にある。選手として、それが僕なりの生き方。自分の今までの感覚に従って決断した。個人的にはいくつか要素があって、強化部長はじめ、G大阪の皆さんが熱心に僕のことを評価してくれた。今ガンバを助けてほしいという思いがあって、僕自身も新たなチャレンジしたいし、これだけ規模の大きいクラブでやれる経験というのはサッカー選手の中でもそんなに数多くあるチャンスではないと思ったし、ガンバの10個目のタイトルを僕がいる時に獲れたらいいなという思いで決めました」

 7月16日、ホームで行われた“大阪ダービー”のリーグ第22節セレッソ大阪戦で先発しデビュー。絶対に負けられない戦いで1-2と屈辱的な逆転負けを喫した。チームはこの敗戦で3連敗、第23節京都サンガF.C.戦は1-1では引き分けたが、その後の清水エスパルス戦(0-2)、サンフレッチェ広島戦(2-5)でも敗れた。加入後、なかなか勝てない状況が続いた8月27日の第27節名古屋グランパス戦、鈴木にも待望の初ゴールが生まれた。

 1-0でリードするなか、後半27分から途中出場。同42分、G大阪はGK東口順昭がパントキックで前線へパス。鈴木が相手ペナルティーエリア手前左で収めると、そのまま中央へ持ち運んでペナルティーアーク後方から右足を振り抜く。ゴールまで約25メートルの位置から放った強烈な一撃がゴール左上に吸い込まれ、名古屋のGKランゲラックも無力化するスーパーゴールでチームの勝利に貢献した。

 だが、チームの厳しい状況は変わらない。鈴木自身も“救世主”として加入した重圧を感じていた。

「残留争いの局面では…」 過去にカテゴリ降格の無念を経験した鈴木は自身を変える

「(プレッシャーは)もちろんある。プロである以上、結果が出ない時は苦しさをより感じるけど、それでもそのプレッシャーをプレーで引っ張ったり、言葉で引っ張ったり、色々あるけど、自分の力で変えたい。残留争いしていると、消極的になって、積極的になかなかなれない。失点したらそのままずるずる……というのはあるから、そういう部分はもっと変えていかなければいけない。気持ち的な部分が残留争いの局面では大事。『頑張る』とかはプロなのでできるけど、頑張るにしても重荷を背負って走っているのと、楽しくプレーして走っているのでは身体の感じ方が全然違う。そういうところをなるべく、感じないようにサッカーに集中できるように、残留争いの局面ではプレーに集中できるようにしていくのが一番いいんじゃないかなと思う。それを自分がプレーでも言葉でももっともっと示していかないと。できることは全部やっていきたい」

 鈴木自身、V・ファーレン長崎時代、昨シーズンのベールスホット時代などで残留争いを経験。カテゴリ降格という悔しい思いを味わった。だからこそ、もう二度とあんな景色は見たくない。毎日が苦しく、重圧に押しつぶされそうになりながらも集中すること、サッカーを楽しむことは絶対に忘れてはいけないという。そのなかで、自分自身も変えていかなければいけない。

「引っ張っていく、というのは大事にしていきたいというところ。今までそういうことができなかった。年齢も重ねてきて、海外で自己主張をちゃんとするというのが生まれた中で自分的にはそういうところもやっていかないと」

 鈴木の中にあるのは「チームを救って1つでも上の順位へ持ち上げたい」という確固たる思い。1試合1試合、目の前のボールを追い、1つでも多くのゴールを奪う。まだまだ残留に続く道はある。そして、必ず達成する。鈴木は紛れもないG大阪の一員。燃えたぎる闘志を絶やさず、その覚悟を結果で示すはずだ。

[プロフィール]
鈴木武蔵(すずき・むさし)/1994年生まれ、群馬県太田市出身。地元の名門・桐生第一高校在学中に全国高校サッカー選手権に出場。ベスト8進出に貢献し、卒業後アルビレックス新潟に入団した。水戸ホーリーホック、松本山雅FCを経て18年にV・ファーレン長崎へ完全移籍。翌19年に北海道コンサドーレ札幌へ加入し、ルヴァンカップでは大会7得点でチームを準優勝へ牽引した。20年夏にベルギー1部ベールスホットへ移籍し、10番を付けて26試合6ゴール挙げた。2シーズンプレーした後、今夏にガンバ大阪へ加入した。年代別代表でも活躍し、16年にはリオ五輪メンバーに追加招集。19年にはA代表に初招集され、E-1選手権中国戦で初ゴールをマークした。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)

ジャンルで探す