W杯への“合格証書”の行方 E-1選手権メンバー26人を査定、「Aランク」昇格をアピールしたのは?

韓国代表3点を奪い勝利【写真:Getty Images】

韓国代表3点を奪い勝利【写真:Getty Images】

【識者の目】森保監督は9月の欧州遠征に連れていきたい選手はいると言ったが…

 初招集選手が活躍! 韓国撃破! 3試合連続無失点! E-1選手権優勝! ワールドカップ(W杯)前の国内最後の試合を見事白星で飾る!!

 大変素晴らしいことですが、では、今回招集された選手の中で誰がW杯のメンバーに入るのか。試合後の記者会見で森保一監督はこう言っていました。

「候補に入る選手は何人かいたと思います。選ぶかどうかはこれから視察を重ねて、これまでの活動とW杯に向けて情報を集めていきたい」

「(9月のヨーロッパ遠征に連れていきたい選手はいるか)イエス」

 だけど、よく考えてください。6月の4連戦、招集した選手は28人。怪我で招集しなかった酒井宏樹(浦和レッズ)と大迫勇也(ヴィッセル神戸)を加えると合計30人がすでに候補になってます。これだけでも登録人数の26人以上いるのに、さらに割って入ろうとするのですから、難関校の受験のようなものです。

 では、E-1選手権で誰がどのくらいプレーさせてもらえたか(単位は分)。

<GK>香港戦/中国戦/韓国戦/合計
大迫敬介:0/90/0/計90
谷 晃生:0/0/90/計90
鈴木彩艶 :90/0/0/計90

<DF>香港戦/中国戦/韓国戦/合計
佐々木翔:0/62/90/計152
谷口彰悟 :45/0/90/計135
山根視来 :74/0/0/計74
畠中槙之輔:90/0/90/計180
小池龍太:0/90/90/計180
中谷進之介:45/90/0/計135
荒木隼人 :0/90/0/計90
大南拓磨 :16/0/0/計16
杉岡大暉 :90/28/0/計118

<MF/FW>香港戦/中国戦/韓国戦/合計
水沼宏太:64/0/59/計123
岩崎悠人:26/0/0/計26
宮市 亮:26/69/19/計114
橋本拳人:0/90/3/計93
野津田岳人:0/90/0/計90
脇坂泰斗:26/81/12/計119
西村拓真:64/9/78/計151
相馬勇紀:64/9/87/計160
岩田智輝:90/0/90/計180
森島 司 :0/81/12/計93
満田 誠:0/21/3/計24
町野修斗:90/28/90/計208
細谷真大:0/62/0/計62
藤田譲瑠チマ:90/0/87/計177

3点目を決めたFW町野修斗【写真:高橋 学】

3点目を決めたFW町野修斗【写真:高橋 学】

W杯アジア最終予選の谷口、山根を除くと、谷、町野、相馬、藤田らがアピール

 そして、この数字を元に選手を分類するとこうなります。ただし、W杯アジア最終予選に出場している谷口彰悟と山根視来(ともに川崎フロンターレ)は別格と考えられるはずでしょう。

A:谷口彰悟、山根視来
B+:町野修斗
B:畠中槙之輔、小池龍太、岩田智輝
B-:佐々木翔、中谷進之介、杉岡大暉、水沼宏太、宮市亮、脇坂泰斗、西村拓真、相馬勇紀、藤田譲瑠チマ

 一方で、対戦相手の実力を考えて重み付けをして考えてみましょう。全体を「100」だとして香港「10」、中国「20」、韓国「70」と振り分け、「香港戦の出場時間×10+中国戦の出場時間×20+韓国戦の出場時間×70」が個人の獲得したポイントです。

<GK>
大迫敬介:1800
谷 晃生:6300
鈴木彩艶:900

<DF>
佐々木翔:7540
谷口彰悟:6750
山根視来:740
畠中槙之輔:7200
小池龍太:8100
中谷進之介:2250
荒木隼人:1800
大南拓磨:160
杉岡大暉:1460

<MF/FW>
水沼宏太:4770
岩崎悠人:260
宮市 亮:2970
橋本拳人:2010
野津田岳人:1800
脇坂泰斗:2720
西村拓真:6280
相馬勇紀:6910
岩田智輝:7200
森島 司:2460
満田 誠:630
町野修斗:7760
細谷真大:1240
藤田譲瑠チマ:6990

 すると、「B:谷晃生、佐々木翔、畠中槙之輔、小池龍太、西村拓真、相馬勇紀、岩田智輝、町野修斗、藤田譲瑠チマ」ということになるのではないでしょうか。

 もちろん、重み付けを変えると数値は変わってきます。でも、たとえば香港「20」、中国「30」、韓国「50」として考えてみます。

<GK>
大迫敬介:2700
谷 晃生:4500
鈴木彩艶:1800

<DF>
佐々木翔:6360
谷口彰悟:5400
山根視来:1480
畠中槙之輔:6300
小池龍太:7200
中谷進之介:3600
荒木隼人:2700
大南拓磨:320
杉岡大暉:2640

<MF/FW>
水沼宏太:4230
岩崎悠人:520
宮市 亮:3540
橋本拳人:2850
野津田岳人:2700
脇坂泰斗:3550
西村拓真:5450
相馬勇紀:5900
岩田智輝:6300
森島 司:3030
満田 誠:780
町野修斗:7140
細谷真大:1860
藤田譲瑠チマ:6150

 韓国の比重は当然重いから、分類そのものは変わってこないんです。

スタメン出場したMF藤田譲瑠チマ【写真:高橋 学】

スタメン出場したMF藤田譲瑠チマ【写真:高橋 学】

再開するJリーグでさらなるアピールが必要

 では、この「B」から誰が「A」に昇格しそうか、を考えてみましょう。

 有力なのは、怪我人が出て薄いポジション、つまり大迫勇也と酒井宏樹の代わりになる町野修斗(湘南ベルマーレ)と小池龍太(横浜F・マリノス)じゃないでしょうか。そこにフリーキック(FK)からのゴール、コーナーキック(CK)からのアシスト、ヘディングでのゴール、3得点の決定力と、ドリブル以外の武器も見せた相馬勇紀(名古屋グランパス)が絡んできそうです。

 そして、実は今回「A」入り濃厚になった選手が1人います。それはGK谷晃生(湘南ベルマーレ)。GK3人枠は、ほぼ確定している権田修一(清水エスパルス)、川島永嗣(ストラスブール)以外の1人を谷とシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)が争っている形です。そのうち、シュミットが出場した6月14日のキリンカップ決勝チュニジア戦では3失点、そして今回は谷が韓国戦で決定機1回を防ぎました。谷のプレゼンスが向上しています。

 ただし、これで「B」以下が切り捨てられるかというと、そうではありません。新型コロナウイルスの影響がある今年の大会は多くの選手を視野に入れて、急きょ入れ替えしなければいけない可能性に対応しなければなりません。ですから、今後の「伸び」によっては入ってくることもあるでしょう。

 フィールドプレーヤーで最年少の藤田がW杯メンバー入りするための条件を、森保監督は「(守備では)ボールを奪い切る、相手を止める力をつける」「(攻撃では)展開力、より効果的にボールを動かせる中継役として成長」と語っていました。つまり、この課題をクリアすればメンバー入りすることになります。

 もっとも、これがW杯で先発を飾ろうと思うと、「A」の上の「S」までいかないとダメなはず。そして、「S」には海外組や帰国組の経験豊富な選手がひしめき合っています。

 つまりE-1選手権には優勝したけれど、今回招集された選手たちは一息つく暇もなくアピールし続けないと、W杯への合格証書は手に入れられそうにないということなのでした。まだまだ暑くて熱い夏は続きます。(森雅史 / Masafumi Mori)

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