守備改善を怠ったスールシャール政権 ユナイテッド復権へ…“これ以上ない適任者”は?

上位戦線から早々と脱落のマンチェスター・ユナイテッド【写真:AP】

上位戦線から早々と脱落のマンチェスター・ユナイテッド【写真:AP】

大型補強を敢行も、脆弱な守備が崩壊し上位戦線から脱落

 マンチェスター・ユナイテッドは11月21日、オレ・グンナー・スールシャール監督の解任を決断した。3年間チームを率いたレジェンドも2013年以来となるリーグタイトルをもたらすことはできず。大型補強を敢行したものの、脆弱(ぜいじゃく)過ぎる守備を改善できなかった代償は大きかった。

 昨季は優勝したマンチェスター・シティに次ぐ2位に入り、今季開幕前はポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドやイングランド代表MFジェイドン・サンチョ、フランス代表DFラファエル・ヴァランなど大型補強を敢行。9シーズンぶりのタイトル奪還に向けて機運は熟したかに思われたが、蓋を開けてみれば上位戦線から早々と脱落となっている。

 開幕直後こそ白星を重ねたが、内容的に満足できた試合は少ない。いずれも1点差で勝利した第3節ウォルバーハンプトン戦(1-0)や第5節ウェストハム戦(2-1)はGKダビド・デ・ヘアのビッグセーブに助けられた結果で、守護神の奮闘がなければ勝点を落としても仕方のない内容だった。そして第6節アストン・ビラ戦(0-1)の初黒星をきっかけに調子は右肩下がり。第12節までの7試合で1勝1分5敗と失速した。

 攻撃がロナウドら個の力に頼り切った行き当たりばったり感が拭えないのも問題だが、それよりもさらに深刻なのは守備だ。12節終了時点で21失点はデータ分析会社「オプタ」によるとプレミアリーグにおけるクラブワースト記録。レスター・シティと並んでリーグで2番目の多さで、降格圏の18位に沈むバーンリーよりも1つ多い状況だ。

 今夏の目玉補強の1人で、ディフェンス面の新たな柱として期待されたヴァランの負傷離脱が与えた影響は小さくない。今季ヴァランがピッチに立った6試合は4勝1分1敗、失点は「4」に抑えられている。一方で、28歳のフランス代表DFが欠場した6試合は1勝1分4敗、失点は「17」。シティやリバプール戦といった大一番に不在だったのも痛恨だった。また、キャプテンのイングランド代表DFハリー・マグワイアもふくらはぎの怪我を引きずっている影響からパフォーマンスが低下しており、守備の根幹を担うはずの最終ラインが安定感を失っているのは大きな誤算といえるだろう。

過去にプレミアリーグ最少失点の実績を持つポチェッティーノ監督【写真:AP】

過去にプレミアリーグ最少失点の実績を持つポチェッティーノ監督【写真:AP】

昨シーズンもトップ4の中では最多となる44失点をマーク

 とはいえ、失点の多さは個々の問題だけではない。1-4で敗れた第12節のワトフォード戦でも顕著だったが、ユナイテッドは前線や中盤からのプレスで相手を嵌めることができず、ディフェンスラインは後ろにズルズルと下がるばかり。チームとして守備における約束事がないようにさえ見える。前線で守備にも献身的に走れるウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニの起用を待ち望む声は上がっていたが、34歳のベテランも怪我を抱えてフル稼働ができずにいる。

 しかし、こうした守備の綻びは今に始まったことではない。昨シーズンも38試合で44失点はトップ4の中では最多。より上を目指すなら改善は必要不可欠だったはずだ。就任当初から課題とされていた守備戦術の整備が3年間放置されたままでは言い訳のしようがないだろう。

 今のユナイテッドには守備を立て直せる人材が求められる。後任にはすでに、ラルフ・ラングニック氏の暫定監督就任が合意に達したと報じられているが、マウリシオ・ポチェッティーノ監督(パリ・サンジェルマン)はこれ以上ない適任者と言えるだろう。14年から19年まで率いたトッテナムでは長年トップ4圏外が定位置だったチームを優勝争いの常連へと成長させ、15-16シーズンと16-17シーズンに2年連続リーグ最少失点を誇るチームを作り上げた実績がある。

 苦境に直面する“赤い悪魔”は果たして、復権を成し遂げられるだろうか。(Football ZONE web編集部)

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