遠藤航は“もっと怒っていい” 1部昇格を争うシュツットガルトで放つリーダーの風格

再開後のヴィースバーデン戦に出場したシュツットガルトMF遠藤航【写真:Getty Images】

再開後のヴィースバーデン戦に出場したシュツットガルトMF遠藤航【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】ブンデス再開初戦で痛恨の敗戦…アウェーで露呈する勝負弱さ

 日本代表MF遠藤航が所属するシュツットガルトは、新型コロナウイルスの影響で中断していたブンデスリーガ2部の再開初戦を勝利で飾ることができなかった。

 17日のアウェーゲームで16位ヴィースバーデンに1-2で敗戦。前半こそ主導権を握ってゲームをコントロールしていたものの、後半に入ってリズムを崩し、同5分にはカウンターから一瞬の隙を突かれてFWマヌエル・シェフラーに先制点を許してしまう。シュツットガルトは同38分、左サイドからのセンタリングをFWニコラス・ゴンザレスが右足で合わせて同点に追いつくも、終了間際にVAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)判定でPKを献上。これをFWフィリップ・ティーツに決められた。

 1部昇格を目指すシュツットガルトにとっては非常に痛い負けだ。ヴィースバーデンには前半戦も1-2で敗れているが、それ以外にも下位に沈む相手に何度も勝ち点を取り逃している。特にアウェーでの戦績が非常に悪く、今季13試合でわずか3勝。ホームで1位の戦績を挙げながら、全体で3位止まりなのはまさにそのためだろう。

 アンカーでフル出場した遠藤が以前、アウェーで勝てないチームについてこんな指摘をしていた。

「周りのサポートの雰囲気もあるし、ピッチ状況もあるし、アウェー独特の雰囲気もある。たぶんみんなやっぱり、ホームの雰囲気はいいものを持っているので、やっぱりアウェーに乗り込むというところの難しさはシンプルにあるのかなと思います」

 ただ、今は無観客試合だ。ホームのアドバンテージはほとんどない。そのあたりをスポーツディレクター(SD)のスヴェン・ミスリンタットは「もっと声を出して互いに支え合わないと。観客がいないなかで試合をしているのだから、自分たちでやらないといけない」と注文をつけている。

 また元ドイツ代表FWマリオ・ゴメスは、前半の内容については「非常に良かったと思う。トップチームのようなプレーができていた」と満足しながらも、後半に関しては「自分たちは自滅してしまった。スペースを埋めることができなくなり、我慢を失ってしまって、オープンな攻め合いになってしまった。あれではHARAKIRIだ」と語気を荒げた。

 ドイツでは明確な手段も目的もないまま、闇雲に突撃することを「ハラキリ」と称する。チャンスを作り出しながら得点できないのは喜ばしいことではないが、焦る必要はなかったはずだった。カウンターから先に失点したのはいただけない。だが、まだ取り返すだけの十分な時間があったはずだ。それなのに、どこかあたふたした空気が漂っていた。不用意なパスミスからボールを失うシーンが続いていく。後半38分にゴンザレスが同点ゴールを挙げたが、その後も安定しない。

淡白なチームの中で攻守に奮闘、貢献度の高さは誰もが認めるところ

 敗戦の原因を考えると、確かに終了間際のPKはシュツットガルトにとって厳しい判定だったのは間違いない。VAR判定でもすぐに確認しきれないくらい際どい判定ではあった。ただ、そのPKでの失点以前に、終盤自分たちのミスから相手に危ないところまで持ち運ばれるシーンが続いていたことが問題だった。

 ハンブルガーSVは同節引き分けて、同勝ち点(45)ながら得失点差で2位へと浮上。自動昇格の2位以内を目指すためにも、シュツットガルトは時に泥臭く勝ち点を奪いにいくことも大切ではないか。ミスリンタットSDも「抵抗力のところが問題だ」と、時に淡白な守備を問題に上げている。

 今、中心選手として遠藤にはチームを支えるだけではなく、導く役も求められてきているのではないだろうか。

 この日はアンカーの位置で、相手の狙いを先読みしては何度も攻撃の芽を摘み、ボールを奪うと的確なインテリジェンスを感じさせるパスで攻撃をコントロール。さらにはペナルティーエリア外からの強烈なミドルシュートも何度も見られた。後半もボールが足につかない味方選手が多いなか、遠藤は冷静でミスの少ないプレーでなんとかリズムを取り戻そうと奮闘し、終盤には体を張ったスライディングで相手の決定機を阻止した。

 チーム内で一番安定感のあるプレーをしていたのは間違いない。だからこそ、味方の不用意なミスに食ってかかるくらいの仕草をもっと見せてもいいのではないかと思うのだ。大声を張り上げ続ける必要はないが、ここぞという局面で空気を引き締めることで、チームにまた落ち着きと緊張感をもたらすことができるかもしれない。プレーにおける貢献度は誰もが認めるところ。その発言には、みんな耳を傾けてくれるはずなのだ。(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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