J1全18クラブ「2018年ストライカー査定」 5項目データで4段階評価、“A判定”は?

各クラブから1選手をピックアップしパフォーマンスを検証【写真:Getty Images & 荒川祐史 & Football ZONE web】

各クラブから1選手をピックアップしパフォーマンスを検証【写真:Getty Images & 荒川祐史 & Football ZONE web】

【データで診るサッカー】今季J1で活躍した各クラブのストライカーを徹底検証

 今季も34試合にわたるJ1リーグの戦いが幕を閉じた。最終的に川崎フロンターレが2位サンフレッチェ広島に勝ち点差「12」をつける独走で連覇を達成した一方、残留争いは例年以上の大混戦となった。

 そうしたなか、今季活躍が目立ったと言えるのが各クラブのストライカーたちだ。前半戦は広島のFWパトリックとFC東京のFWディエゴ・オリベイラがハイペースで得点を量産した。後半戦は名古屋グランパスのFWジョーが怒涛のゴールラッシュを披露。最終節では0-2の状況から2本のPKを決めてチームをJ1残留に導き、自身も24ゴールで得点王に輝いた。

 そこで今回は2018シーズンのJ1を沸かせた「ストライカー」に焦点を当て、各クラブから1選手をピックアップしパフォーマンスを検証。選出基準はFWとしての出場率、チームトップのゴール&アシスト関与率から逆算し、それでも複数人の候補者が出た場合はゴール数を優先し、各チームから一人を選んでいる。

 査定にはJリーグ公式サイトで公開されている数値や、データ分析会社「InStat」のものを使用。得点を奪うことが求められるストライカーの役割を象徴するものとして、下記5項目のデータを算出し、評価の対象とした。

(1)得点数
(2)1試合平均のシュート数
(3)決定率(得点数/総シュート数)
(4)決勝点の回数
(5)1試合平均のアタッキングサード(AT)侵入回数

 この5項目のデータを基に、全18クラブのストライカーが今季見せたパフォーマンスを、A~Dの4段階評価で査定したい。

   ◇   ◇   ◇

【コンサドーレ札幌】
都倉賢=B

(1)12ゴール…(18人中)9位
(2)3.10本…(18人中)3位
(3)18.46%…(18人中)12位
(4)6回…(18人中)2位
(5)15.93回…(18人中)17位

 同僚のジェイと明確な差となったのは決勝点の数だ。途中出場が多いなかでも後半アディショナルタイムにチームを救うゴールを決める姿は、まさしくストライカーだった。シュート数も多く、シーズンを通してゴールへの貪欲な姿勢を見せた。

今夏に仙台からCSKAへ移籍した西村拓真【写真:Getty Images】

今夏に仙台からCSKAへ移籍した西村拓真【写真:Getty Images】

今夏に仙台からCSKA移籍の西村は驚異の決定率「28.21%」

【ベガルタ仙台】
西村拓真=B

(1)11ゴール…10位
(2)2.28本…10位
(3)28.21%…1位
(4)5回…7位
(5)27.79回…4位

 今夏にCSKAモスクワへ移籍したが、前半戦はエース級の活躍を見せていた。決定率は驚異の28.21%と、18人中でトップの数字を誇っている。もし仙台でフルシーズンを過ごしていたら、今季の主役の一人となっていた可能性もある。

【鹿島アントラーズ】
鈴木優磨=C

(1)11ゴール…10位
(2)2.12本…12位
(3)19.64%…10位
(4)2回…12位
(5)29.63回…2位

 今季は鹿島FW陣の軸として飛躍を遂げた。AT侵入回数も約30回と、フィニッシャーとしての自覚が強まっていることも窺える。アシスト数も二桁に乗せており、今回の5項目データの数字以上の貢献を示していた。

【柏レイソル】
江坂 任=C

(1)9ゴール…14位
(2)1.73本…17位
(3)19.15%…11位
(4)2回…12位
(5)18.03回…16位

 クリスティアーノや瀬川祐輔もスコアラーとしての役割を担ったが、江坂を含め、チームをJ1残留に導く絶対的なストライカーは現れなかった。

【浦和レッズ】
興梠慎三=B

(1)15ゴール…4位
(2)1.76本…16位
(3)27.27%…2位
(4)6回…2位
(5)25.73回…8位

 長年にわたり浦和の最前線を務める興梠も今年で32歳になったが、決定率、決勝点回数、アタッキングサード侵入回数でトップクラスの数字を叩き出しており、依然としてリーグ屈指のストライカーであることを証明している。

川崎FW小林悠【写真:荒川祐史】

川崎FW小林悠【写真:荒川祐史】

川崎の小林は1試合平均シュート数、AT侵入数でトップクラス

【FC東京】
ディエゴ・オリベイラ=B

(1)13ゴール…6位
(2)2.00本…14位
(3)22.41%…6位
(4)3回…10位
(5)35.03回…1位

 前半戦は9ゴールと目覚ましい活躍を見せたが、後半戦は急ブレーキ。ストライカーとしての能力を十分に明示できた一方で、チームをリーグ初優勝へ導くためには年間を通した安定感が求められることになりそうだ。

【川崎フロンターレ】
小林 悠=A

(1)15ゴール…4位
(2)3.67本…1位
(3)16.67%…15位
(4)6回…2位
(5)28.48回…3位

 ゴール数が昨季(23ゴール)よりも減少し、PK成功率が50%(4本中2本)だったのが玉に瑕となったものの、シュート数、決勝点の回数、AT侵入数でトップクラスの成績を残しており、J1連覇に導いたストライカーとして文句なしの存在感を放っていた。

【横浜F・マリノス】
ウーゴ・ヴィエイラ=C

(1)13ゴール…6位
(2)2.64本…7位
(3)22.41%…6位
(4)4回…8位
(5)12.42回…18位

 攻撃的なサッカーを標榜するアンジェ・ポステコグルー監督が就任したことにより、チーム全体のゴール数が上昇し、ウーゴ自身も昨季より3ゴール多い13ゴールをマークした。しかし、シーズン途中からはチームの戦術上、伊藤翔に先発の座を明け渡すなど絶対的な存在とはなりきれなかった。

【湘南ベルマーレ】
山崎凌吾=D

(1)4ゴール…17位
(2)1.22本…18位
(3)21.05%…9位
(4)1回…15位
(5)24.44回…9位

 湘南は前半戦でイ・ジョンヒョプの負傷離脱、アレン・ステバノヴィッチの契約解除もあり、最前線が定まらなかった。そのため、今夏に加入した山崎は早々にストライカーの役割を託されることに。難しい状況のなか、ベストは尽くしていた。

G大阪FWファン・ウィジョ【写真:Getty Images】

G大阪FWファン・ウィジョ【写真:Getty Images】

G大阪の“救世主”ファン・ウィジョ、決勝点「6回」と勝負強さ光る

【清水エスパルス】
北川航也=B

(1)13ゴール…6位
(2)1.90本…15位
(3)26.00%…4位
(4)6回…2位
(5)19.31回…12位

 今年日本代表入りも果たした北川は、今夏に清水に加入し、15試合で11得点とハイペースでゴールを量産したドウグラスと強力な2トップを形成。キャリアハイの13ゴールをマークし大ブレイクを遂げた。決定率が26%と高い数値を残しているのに加え、決勝点の回数が6回とストライカーとしての仕事を全うした。

【ジュビロ磐田】
川又堅碁=C

(1)11ゴール…10位
(2)2.18回…11位
(3)17.46%…14位
(4)3回…10位
(5)19.87回…12位

 今季は11ゴールと昨季(14ゴール)よりも得点数が減少し、その他の項目でも満足のいく数字を残すことができず。最終的にチームもプレーオフ圏内の16位に沈んだ。

【名古屋グランパス】
ジョー=A

(1)24ゴール…1位
(2)2.85回…6位
(3)26.37%…3位
(4)4回…8位
(5)26.97回…6位

 前半戦は7ゴールにとどまるも、後半戦は17ゴールと1試合に1得点を決める爆発的なペースで得点を量産。出場停止を挟む7戦連続ゴールも達成し、大物助っ人として期待された役割を完遂した。2得点を決めた最終節では、残留が決定した瞬間に歓喜の涙を流した。

【ガンバ大阪】
ファン・ウィジョ=A

(1)16ゴール…3位
(2)2.96回…4位
(3)23.19%…5位
(4)6回…2位
(5)23.44回…11位

 開幕当初は右ウイングで起用されていたが、途中から最前線を託されると、ジョーと同様、後半戦に破竹の勢いでゴールを量産し、降格圏で低迷していたチームを残留へと導く立役者となった。6戦連続ゴールも記録しており、決勝点の回数も6回と、ストライカーとしての勝負強さを遺憾なく発揮した。

神戸FWウェリントン【写真:Getty Images】

神戸FWウェリントン【写真:Getty Images】

イニエスタ&ポドルスキと競演のウェリントン、決定率が伸びず

【セレッソ大阪】
杉本健勇=D

(1)5ゴール…15位
(2)2.43本…9位
(3)7.58%…18位
(4)1回…15位
(5)26.07回…7位

 昨季22ゴールを決めた杉本にとって今季は苦難のシーズンとなった。ゴール数が「17」も減ったうえに、決勝点の回数はわずか1回、さらに決定率は7.58%で18人中最下位と、不振を物語る数値を示していた。

【ヴィッセル神戸】
ウェリントン=D

(1)5ゴール…15位
(2)2.94本…5位
(3)9.26%…17位
(4)1回…15位
(5)18.71回…15位

 同僚のFW古橋亨梧も同じ5ゴールだが、決定率が約33%を誇っているのに対し、ウェリントンは9.26%と、イニエスタ、ポドルスキと世界的名手に囲まれながらも、ストライカーとして不甲斐ないパフォーマンスに終始している。第33節の清水戦(3-3)では乱闘騒動の末に退場処分を命じられるなど、後味の悪い結末を迎えた。

【サンフレッチェ広島】
パトリック=A

(1)20ゴール…2位
(2)3.59本…2位
(3)17.86%…13位
(4)7回…1位
(5)27.00回…5位

 前半戦の広島の快進撃を支える主役となったパトリックだが、後半戦に入って無得点の試合が増えるのに比例するように、チームも調子を落としていった。絶対的なストライカーとして君臨したことが、逆に“エース依存症”を際立たせる格好に。それでも18人中で最多7回の決勝点など、2位躍進の立役者となったことに疑いの余地はない。

【サガン鳥栖】
フェルナンド・トーレス=D

(1)3ゴール…18位
(2)2.07本…13位
(3)9.38%…16位
(4)1回…15位
(5)23.94回…10位

 今夏に加入した“神の子”は、チームが採用する戦術の影響もあり、フィニッシャーではなくポストプレーヤーの役割に徹する試合が多かった。それでも、第33節の横浜FM戦(2-1)では値千金の決勝ゴールを決め、チームの残留に大きく貢献した。

J1全18クラブ「ストライカー」の各データ【表:Evolving Data】

J1全18クラブ「ストライカー」の各データ【表:Evolving Data】

チームは降格も、長崎FW鈴木はストライカーとして大きな飛躍

【V・ファーレン長崎】
鈴木武蔵=C

(1)11ゴール…10位
(2)2.47本…8位
(3)21.57%…8位
(4)2回…12位
(5)19.00回…14位

 これまでのシーズン最多得点が2014年のアルビレックス新潟時代の3ゴールだったが、今季はその3倍以上となる11ゴールを挙げ大きな飛躍を遂げた。しかし、チームを残留に導くことはできなかった。

   ◇   ◇   ◇

 今回の4段階査定は、あくまで今季を通じて記録された5つのデータからストライカーの得点に結びつく働きを評価したものであり、選手としての能力全般やピッチ上での総合的なパフォーマンスを判定するものではない。

 例えば鹿島の鈴木は今回の査定ではC判定となったが、今季はチャンスメイクでも存在感を発揮しており、アシストも量産。チームのAFCチャンピオンズリーグ制覇とリーグ3位の原動力となった。

 一方で、A判定となった名古屋のジョーや広島のパトリック、G大阪のファン・ウィジョらは、今季の好パフォーマンスが数値上でも実証された結果であり、エースとしてチームの勝利に大きく貢献してきた。来季は神戸に、世界的ストライカーの元スペイン代表FWダビド・ビジャが加入する。2019シーズンも、各クラブの前線を彩る点取り屋たちから目が離せない。(Football ZONE web編集部)

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