18歳MF平川怜、FC東京“期待の星”が描く反攻の青写真 「一気に序列を変えたい」

右足骨折の故障を乗り越えて戦列復帰した平川怜【写真:Football ZONE web】

右足骨折の故障を乗り越えて戦列復帰した平川怜【写真:Football ZONE web】

右足骨折の故障を乗り越えて戦列復帰「きっと今後に活かせる経験」

 FC東京はワールドカップ(W杯)による中断期間までのJ1リーグ前半戦を2位(8勝4分3敗)で終えた。長谷川健太新監督の下、キャプテンのDFチャン・ヒョンスとDF森重真人を中心とした組織的な堅守をベースに、FWディエゴ・オリヴェイラとFW永井謙佑の強力2トップが絶妙なバランスを見せ猛威を振るった。今季プロ2年目を迎えた18歳のMF平川怜は故障で出遅れリーグ戦のピッチに立てなかったが、決して現状を悲観していない。東京五輪世代の期待の星の一人である天才ボランチは、序列を覆そうと静かに闘志を燃やしている。

 2017年11月のJ1リーグ第32節サガン鳥栖戦、平川は同僚の16歳MF久保建英よりも早くJ1リーグデビューを飾った。プロとして新たな一歩を踏み出し、まさに「ここから」というタイミングでアクシデントに見舞われた。トレーニング中の負傷で右足骨折(全治4カ月)。当時は、瞬間的に思考回路が“ストップ”してしまうほど、頭が真っ白になったという。

「J1で試合に出て、自分としても自信と手応えをつかんでいた時でした。本当に悔しくて、先のことは全く考えられなくなりました。プロ=サッカーで生きていく。サッカーができなければ、自分のプロとしての存在価値がなくなってしまうので」

 しかし、苦しみもいつかは消えるものである。「ずっと落ち込んでいても仕方がない」と気持ちを切り替え、“今”しかできないことに励んだという。その一つがフィジカルの強化だ。ユース時代から大きな体重の変化はないと明かすが、筋肉の質が向上しているのは一目瞭然。体全体もより力強さをまとった印象を受ける。

「プロ生活が始まってすぐに怪我したことは、きっと今後に活かせる経験。選手として、怪我でプレーできない以上の辛さはありません。やっぱりサッカーは楽しまないといけないし、苦しい時間を経験した分、プレー面で上手くいかない問題に対しても冷静に対処できるようになりました。ピッチ外で始めた体作りも、中断明けに成果が出てくると思っています」

7月から再開するJ1リーグ後半戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、大いに期待したい【写真:Getty Images】

7月から再開するJ1リーグ後半戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、大いに期待したい【写真:Getty Images】

髙萩、橋本、米本…ボランチのライバルは強力も「やれる自信はある」

 4月1日のJ3第5節セレッソ大阪U-23戦で実戦復帰後、練習中の負傷で再び離脱。5月3日の第9節グルージャ盛岡戦で戦列に戻り、翌節のガイナーレ鳥取戦では骨折後初の公式戦フル出場を果たした。

「ようやくスタートラインに戻ってこられた」

 そう語る平川の目には、長谷川監督のサッカーはどのように映り、自らがプレーするイメージを膨らませているのか。

「長谷川監督は守備が堅くて、攻撃はシンプルに速い攻撃が中心。そのなかで自分は中盤で時間を作ったり、速攻できずにボールを動かす時の起点になれたら良いと思っています」

 平川が主戦場とするボランチには、ゲームメーカーのMF髙萩洋次郎、攻守にダイナミックなプレーを持ち味とするMF橋本拳人が君臨。実力者のMF米本拓司でさえベンチスタートになるほど壁は高い。それでも平川は、先輩の偉大さを受け止めつつも、ポジション奪取に意欲を見せる。

「スタメンで出ている選手たちは、攻守での存在感が凄い。ただ、自分が出場しても戦えないとは思っていなくて、やれる自信はあります。中断明けにどれだけ試合に絡めるか。今自分はそこを一番の目標にしています」

「攻撃でも守備でも存在感が出せる、ダイナミックな選手になりたい」

 昨年のU-17W杯で共闘したガンバ大阪FW中村敬斗、名古屋グランパスDF菅原由勢(ともに13試合出場)は今季、J1の舞台でコンスタントに出場機会を得ている。同世代の活躍は「刺激になる」と話す一方で、決して焦りはないという。

「チームも違えば、それぞれの状況がある。まずは、自分と向き合うことが一番大事だと思います。もちろん負けるつもりはないし、常に上を目指しています。今後はオフ・ザ・ボールのポジショニングと攻守での運動量を磨いていきたい。ポジショニング一つで展開も変わって、ボールが入った時に自分のプレーが出しやすくなるので。攻撃でも守備でも存在感が出せる、ダイナミックな選手になりたいです」

 クラブとしての念願のJ1リーグ優勝は、ユース時代に日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)、Jユースカップでタイトルを獲得した平川にとっても特別なものだ。

「J1優勝を味わえる選手は少ないし、ユース年代のタイトルとはまた全てが違う。そこに関われたら、選手としてそれ以上最高なことはありません。チームは優勝争いに絡める状況だと思うので、中断明けに一気に序列を変えて、少しでも力になりたいです」

 平川がクールに口にした“反攻宣言”――。18歳の期待の星が7月から再開するJ1リーグ後半戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、大いに期待したい。(小田智史(Football ZONE web編集部) / Tomofumi Oda)

ジャンルで探す