「スポーツマンシップに反する最低行為」森保ジャパンが敵地でのレーザーポインターの妨害行為を乗り越えてバーレーンに5-0圧勝もSNSは怒りの声で荒れる

 2026年の北中米W杯出場をかけたアジア最終予選第2戦が10日(日本時間11日)に一斉に行われ、グループCの日本代表は敵地マナマでバーレーン代表に5-0で圧勝した。前半37分にFW上田綺世(26、フェイエノールト)が顔面へレーザーポインターを照射される妨害行為を受けながらPKを決めて先制するとバーレーンの集中力が切れた後半に4ゴールを追加。初戦で強豪の豪州代表を破った伏兵を一蹴した。

 過去にも同じような妨害行為が

 

 集中力を高める上田の顔面へ、緑色の光が執拗に照射される。
 敵陣でこぼれ球を拾ったキャプテンのMF遠藤航(31、リバプール)のスルーパスに、MF鎌田大地(28、クリスタル・パレス)が反応。右サイドを抜け出した直後に放ったクロスが、ペナルティーエリア内で相手のハンドを誘発した直後だった。
 VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の確認をへて、上田がボールをセットした前半37分。ゴール裏スタンドに陣取ったバーレーンのサポーターが発信源と見られる、レーザーポインターによる妨害行為がはじまった。
 時間にして十数秒間。右足によるインサイドキックを放つ瞬間まで照射された緑色のレーザーポインターを、上田はまったく意に介さなかった。強烈なシュートをゴール右隅へ突き刺して、両チームともに無得点の均衡を破ってみせた。
 前半開始早々の3分に、鎌田が獲得した直接フリーキック(FK)をMF堂安律(26、フライブルク)が蹴る際も、頭部にレーザーポインターが照射されている。もっとも、中東でのアウェイ戦で妨害行為を受けるのは今回が初めてではなかった。
 たとえば岡田ジャパン時代の2008年9月に、同じくバーレーンに3-2で勝利した南アフリカW杯アジア最終予選初戦。PKキッカーを担ったMF遠藤保仁(44、現ガンバ大阪コーチ)や、FKキッカーを担ったMF中村俊輔(46、現横浜FCコーチ)らがレーザーポインターの標的になった。
 選手たちが異常を訴えたが、試合中とあって主審としても対処する方法がなかった。中村は試合後に、相手サポーターの妨害行為に苦言を呈している。
「後半もずっと当てられ続けた。こういうことが頻繁にあったら困る」
 ザックジャパン時代の2013年3月に、ヨルダン代表と対戦したブラジルW杯アジア最終予選でも遠藤が標的になっている。後半26分にPKを蹴る際にレーザーポインターを照射される妨害行為を受け、ゴール右を狙った一撃を相手キーパーがセーブ。試合そのものも1-2で敗れた後に遠藤はこう語っていた。
「プレーに影響はなかった。自信をもって蹴ったし、コースも悪くなかったけど、コースを読まれていた部分も含めて、相手キーパーの反応がよかったと思う」
 ひるがえって今回はどうだったか。試合後のフラッシュインタビュー。後半2分にMF伊東純也(31、スタッド・ランス)のアシストから2点目を決め、同16分にはMF守田英正(29、スポルティング)のゴールをアシストした上田が言う。
「前回の試合で(個人的として)なかなかシュートを打てなかったので、自分のチャンスメイクのところを意識して、チームとしても狙っていたプレーがいくつかできたんじゃないかと思っています。今日の試合も結果的には大差での勝利になりましたけど、前半の入りもそうですし、この環境も含めて難しいゲームでした」
 上田が言及した「この環境」にレーザーポインターも含まれてくる。
 敵地ゴールドコーストに乗り込んだ5日の初戦で、バーレーンは強敵オーストラリアを1-0で撃破する金星をあげた。悲願のW杯初出場へ。バーレーンサッカー協会は、バーレーン・ナショナル・スタジアムに日本を迎える第2戦を全席無料として、スタンドを満員で埋めたサポーターでチームを後押しする状況を整えた。
 試合を通して、まるで呪文のような音声が太鼓を伴って鳴り響く、中東独特の試合環境のなかでレーザーポインターが照射される事態も生まれた。しかし、いま現在の森保ジャパンには、こうした妨害行為に集中力を乱される状況にない。

 

 

 中国に7-0で圧勝した初戦で、上田と小川航基(27、NECナイメヘン)の1トップ陣にゴールはなかった。引き続き[3-4-2-1]システムで臨んでいるなかで、サイドバックタイプではなくアタッカーが配置されている左右のウイングバック、2人のシャドーを中心に、厚みのある波状攻撃が展開されている。
 敵地へ移動し、第1戦から中4日で臨んだバーレーン戦の先発メンバーで変更されたのは、中国戦でフル出場したシャドーの久保建英(23、レアル・ソシエダ)が鎌田に代わっただけ。特に攻撃陣において、結果を残さなければ先発を射止められないチーム内競争の激しさは、試合後に鎌田が残した言葉が物語っている。
「この2試合を見たらわかる通り、僕たちはいま、本当にいい選手がそろっているし、常にギラギラした選手が大勢いる。ポジション争いがかなり激しいものになっているし、一人ひとりすごいモチベーションでプレーできていると思う」
 もともと高い集中力が、さらに研ぎ澄まされている状況において、レーザーポインターに代表される妨害行為など通用しない。守田が3点目を決めたあたりから帰路に着くサポーターの姿が目立ちはじめ、後半19分の守田のこの試合2点目をへて、上田に代わった小川も続いた同36分には、バックスタンドはガラガラになっていた。
 もちろん、再び圧勝したからといって、光が直接目に入れば頭痛や、あるいは網膜損傷などの症状が出るおそれがあるレーザーポインターが許されるわけがない。 
 日本時間深夜のX(旧ツイッター)には「レーザーポインター」がトレンド入りし、配信を視聴していたファン・サポーターからこんな投稿が相次いでいる。
「相変わらずの中東。こんな事だから増々信用を失う」
「顔に当てるレーザーポインターは日本サッカー協会は抗議を入れて欲しいな」
「レーザーポインターなんて使ってる奴が隣にいれば判るだろうに止める事すら出来ないのか。恥になるだけだろうに」
「嫌がらせされてます上田、じゃねえよ。合法なのか、レーザーポインターの集中砲火。中東なら何でもありかよ。ツネ、出番だぞ」
「レーザーポインターによるPK妨害とかスポーツマンシップに反する最低の行為であって、アウェーの洗礼とか表現するのやめてくれませんかね」
 合計で12得点、無失点と最高の連勝スタートを切った日本は、6カ国で構成されるグループCの単独首位に立ち、来たる10月シリーズでは勝ち点2差で2位につけるサウジアラビア、W杯常連の豪州との連戦に臨む。
 特に前半戦のヤマ場になる前者は敵地ジッダでの開催。レーザーポインターを含めた選手たちの健康に害を及ぼすおそれのある妨害行為の再発を避けるためにも日本サッカー協会(JFA)には今回の一件を受けた毅然とした対応が求められる。

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