なぜセルティック古橋亨梧のマンチェスター・シティ移籍話が急浮上したのか…「すでに最初の交渉は行われた」

 スコットランドの名門セルティックのエースストライカー、元日本代表の古橋亨梧(29)がイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティへ電撃移籍する可能性が急浮上した。米国メディアの『The Athletic』が21日、同クラブが古橋の獲得を検討していると報じ、移籍市場に精通するイタリア人ジャーナリスト、ファブリツィオ・ロマーノ氏(31)も自身のX(旧ツイッター)へ「最初の交渉が今週に行われた」と投稿した。プレミアリーグを4連覇中の最強軍団は、なぜ古橋に白羽の矢を立てたのか。

「古橋自身もシティへの移籍を望んでいる」

 ヨーロッパサッカー界を、突如として「Furuhashi」の名前が駆け巡った。
 前人未到のプレミアリーグ5連覇へ向けて、18日の2024-25シーズン開幕戦でチェルシーに2-0で快勝したマンチェスター・シティが、まもなく閉まる今夏の移籍市場で新戦力の獲得へ動いていて、候補者の1人としてセルティックでの4シーズン目をスタートさせたばかりの古橋が含まれていると21日に報じられたからだ。
 口火を切ったのは米国の総合スポーツメディア『The Athletic』だった。
「マンチェスター・シティが、新たなストライカーの獲得を検討している。彼らはすでにセルティックに所属する29歳の古橋亨梧と、もう1人の若手選手のどちらかに絞り込んでいる。2021年7月にセルティックへ加入して以来、公式戦出場135試合で73ゴールをあげている日本人ストライカーは彼らの目に留まり、古橋自身もシティへの移籍を望んでいる状況を考えれば、個人的な条件は問題ないだろう」
 寝耳に水といっていいプレミアリーグ王者の動きを報じる記事を引用する形で、移籍情報に関する確度の高さから、自身のXへの投稿が日本のファンの間で“ロマーノ砲”と呼ばれるイタリア人ジャーナリスト、ロマーノ氏もすぐにXを更新した。
「マンチェスター・シティが、ウインガーのポジションの選択肢のひとつとしてセルティックの古橋亨梧の獲得を検討している。すでに最初の交渉が今週行われているが、シティはドイツ代表を引退したMFのイルカイ・ギュンドアンを復帰させる交渉を最優先させて、その後に新たなウイングの獲得を決めたいと考えているようだ」
 シティからはこのオフに、カタールW杯を制したアルゼンチン代表の1人で、過去2シーズンの公式戦で36ゴールをあげたFWフリアン・アルバレス(24)が、ラ・リーガ1部のアトレティコ・マドリードへ移籍。ノルウェー代表FWオスカー・ボブ(24)とブラジル代表FWサヴィオ(20)も怪我で離脱を余儀なくされた。
 特に期限付き移籍先のラ・リーガ1部のジローナでブレークし、大きな期待とともに仏リーグドゥのトロワから加入したサヴィオが、右ウイングで先発したチェルシー戦で負傷退場。手薄になったアタッカー陣からさらに離脱者が相次ぐ緊急事態を受けて、ウイングでのプレー経験もある古橋に白羽の矢が立てられた。
 シティでは昨シーズンからヴィッセル神戸の元監督で、在籍時には古橋を重用したスペイン出身のフアン・マヌエル・リージョ氏(58)が、ヘッドコーチとして同胞の名将ジョゼップ・グアルディオラ監督(56)を支えている。
古橋の獲得にはリージョ氏の助言もあったと見られるなかで、スコットランドメディアの『67 HAIL HAIL』は別の視点で今回の動きを伝えている。
「古橋がヴィッセル神戸からスコットランドリーグに移籍してきたときから、シティはずっと目をつけてきた。シティのスカウト陣は、相手のフィジカル能力に対応する彼の能力が非常に気に入っている。アルバレスの売却とボブ、そしてサヴィオの負傷により、彼らはフォワードでもプレーできる新たなアタッカーに目を向けざるをえなくなった。セルティックのサポーターにとっては、耳を疑うようなニュースとなった」

 

 別のスコットランドメディア『THE CELTIC BHOYS』も、2022-23シーズンに27ゴールをあげてリーグ得点王に輝き、リーグ、選手協会、記者協会、クラブがそれぞれ選出するMVPを総なめした古橋の突然の移籍報道をこう伝えている。
「昨シーズンの古橋は、決してベストの状態ではなかったなかで、それでもリーグ戦では14ゴールをあげた。一転して今夏のプレシーズンで、彼はベストの状態に戻っていた。そして、プレシーズンマッチで彼がゴールを決めたクラブのひとつがシティであり、それを目の当たりにしたグアルディオラ監督がどうやら彼との契約を求めているようだ。シティが古橋に興味を示している、という噂が月曜日の深夜にSNS上で駆け巡った。セルティックのサポーターのほとんどが単なる噂であってほしいと望んでいたが、残念ながら願いはかないそうにない。間違いなく現時点の世界最高のチームのひとつであるシティに対して、古橋が興味を抱かない理由がないからだ」
 英国メディアも王者シティの動きを報じている。そのひとつの『Sky Sports UK』はセルティックの宿敵レンジャーズのエースストライカーとして活躍した、元スコットランド代表のクリス・ボイド氏(41)のコメントを伝えている。
「シティでは控え選手でいる時間も長くなるはずだが、もちろん彼の動きやスピード、運動量があれば、素晴らしい仕事ができるはずだ」
 さらに『Daily Mail Online』は、直近の試合であるハイバーニアンとのスコッティッシュカップ2回戦を欠場した古橋に関して、その理由とされた慢性的に抱える肩の痛みに関して「考慮すべき大きな問題」と次のように伝えた。
「古橋はセルティックに加入する前から肩の問題を抱えながらプレーしていて、いまでも時折、痛みが増す時期があるようだ。セルティックのブレンダン・ロジャーズ監督が言及したように、完治させるには手術が必要かもしれないし、その場合はおそらく4カ月間の離脱となる。ただ、手術を受けるかどうかを決められるのは彼だけだ」
 ロマーノ氏は日本時間22日未明に、2022-23シーズン後にバルセロナへ移籍していたギュンドアンの復帰に関しても“ロマーノ砲”を投稿している。
マンチェスター・シティとバルセロナとの間で、イルカイ・ギュンドアンの移籍に必要なすべての書類が整った」
 これを受けるかのように、先述の『67 HAIL HAIL』はこう報じた。
「バルセロナを退団するギュンドアンがシティに復帰する。つまり、シティが古橋の獲得に集中できる状況が整った。どの角度から考えても、古橋が加わる可能性が高い。何ごとも起こらないまま、残りわずかとなった移籍市場が早く閉じないかと、セルティックのサポーターは緊張しながらカレンダーを見つめていくはずだ」
 プレミアリーグの今夏の移籍市場が閉じるのは現地時間の30日23時。マンチェスター発のビッグニュースが飛び込んでくる時間はまだ十分に残されている。

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