神戸が2季連続のタイトル! FW宮代大聖のゴールでG大阪との関西勢対決を制し5年ぶりの天皇杯優勝

 天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会の決勝戦が23日に行われ、ガンバ大阪とヴィッセル神戸が対戦した。

 古豪復権の狼煙を告げる“10冠”か、現リーグ王者の黄金期到来を告げる“戴冠”か。Jリーグ開幕以来初となる“関西勢同士”の決勝戦となった今大会。ダニエル・ポヤトス監督が率いるガンバ大阪は、死闘を演じた横浜F・マリノスとの準決勝をFW坂本一彩の劇的逆転弾で制して、4シーズンぶりのファイナルに。2015年の同大会優勝を最後にタイトルから遠ざかっている“青黒の戦士”が、“10冠(Jリーグ:2回、天皇杯:4回、ルヴァン杯:2、ACL:1回)”に4度目の王手をかけている。なお、キャプテンであり、エースであるFW宇佐美貴史が負傷により欠場となった。

 対するヴィッセル神戸は、クラブ史上初となる国内3大タイトルを獲得した2019年以来の同大会決勝戦に。吉田孝行監督が率いる“クリムゾンレッド”は、準決勝で京都サンガF.C.を2-1で撃破。昨シーズンのリーグ王者にして、ラスト2試合となった今シーズンのリーグ戦においても首位に立つ神戸が、2シーズン連続のタイトル獲得にまで、あと1勝となっている。なおこちらは、エースであるFW大迫勇也がこの大一番に間に合わせる形で、ケガから復帰した。

 キックオフ直後から、神戸は前線の強さを活かしたロングボールと即時奪還のスタイルを以て、敵陣でゲームを進めようとする。対するG大阪も、ビルドアップから主導権を奪いにいく。9分にはエリア手前左寄りの位置でテンポ良くボールを繋ぎ、最後はフリーとなったMF山田康太が対角に浮き玉のパスを供給すると、3列目から飛び出してきたMFダワンがヘディングシュート。しかし、これは相手GKのセーブに遭った。

 その後も、神戸は高い位置でのボール奪取からの速攻で、G大阪は両サイドバックまで絡めたパススタイルで、ゴールに迫る。42分にはサイドを駆け上がった左SB初瀬亮がゴールに向かうボールをエリア内に送り、うまく合わせられなかったものの、FW宮代大聖が飛び込むなど、神戸の得点パターンも見られたが、前半は両者譲らずに、スコアレスで折り返している。

 迎えた後半、G大阪はFWウェルトンを投入し、左サイドを活性化させてペースを掴みにかかると、神戸もFW佐々木大樹を入れて対抗する。

 そんな中で64分、神戸が均衡を破った。GK前川黛也が前線にロングボールを送ると、佐々木が起点を作り、ボールを拾った大迫が、自分を追い越してきたFW武藤嘉紀に展開。そのままエリア内に侵入した武藤がゴール前に折り返し、最後は宮代が押し込んで先制点を挙げた。

 リードを奪った神戸の出足が良くなる一方で、G大阪は徐々に追い込まれていく。76分には、右サイド奥深くを抉った途中出場のFWファン・アラーノがクロスを供給。フリーとなったダワンが豪快なヘディングで狙うも、わずかに枠外。さらに、CB中谷進之介を上げてパワープレーに出たが、これも1点には至らず。

 そして、試合はこのままタイムアップ。試合当日朝に、東海道新幹線が大幅に遅延するアクシデントがありつつも、5万6824人が詰めかけた中、1点を守り切った神戸が5年ぶり2度目の天皇杯優勝。3つ目のタイトルがクラブ史に刻まれた上、“国内2冠”の可能性を高めている。
 
ガンバ大阪 0-1ヴィッセル神戸
【得点者】
0-1 64分 宮代大聖(神戸)

【スターティングメンバー】
G大阪(4-2-3-1)
一森純;半田陸、中谷進之介福岡将太、黒川圭介(89分 岸本武流);ダワン、鈴木徳真(89分 美藤倫);山下諒也(72分 ファン・アラーノ)、山田康太(72分 イッサム・ジェバリ)、倉田秋(55分 ウェルトン);坂本一彩

神戸(4-1-2-3)
前川黛也;酒井高徳、山川哲史、マテウス・トゥーレル、初瀬亮(76分 本多勇喜;扇原貴宏;井手口陽介、井出遥也(59分 佐々木大樹);武藤嘉紀、大迫勇也(83分 山口蛍)、宮代大聖(76分 ジェアン・パトリッキ)

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