アルゼンチン代表ディ・マリア、夢見た古巣復帰を断念か…安全を優先しての決断

ディ・マリア

 アルゼンチンメディアの『TyCスポーツ』は4月30日、ベンフィカ所属のアルゼンチン代表FWアンヘル・ディ・マリアが希望していた母国の古巣復帰を断念したと報じた。

 ディ・マリアはアルゼンチンのロサリオ市を本拠地とするロサリオ・セントラルの下部組織を経て同クラブのトップチームで2005年にプロデビュー。2007年にベンフィカに移籍しヨーロッパに戦いの舞台を移すと、レアル・マドリードマンチェスター・ユナイテッドパリ・サンジェルマン(PSG)、ユヴェントスなど名門クラブで実績を重ねたあと、今シーズンからベンフィカに復帰し、これまで公式戦46試合に出場し16ゴール15アシストを記録している。

 そんなディ・マリアに対して、アルゼンチンでは古巣のロサリオ・セントラルでキャリアを締めくくることを期待する声が大きく、ディ・マリア本人も以前、母国メディアに対し「ロサリオ・セントラルでタイトルを取るのが夢だし、それを達成したい。特に、コパ・リベルタドーレスの優勝は夢というよりも、歴史的なことだ。それが達成できれば自分のキャリアの締めくくりとして最高だね」と古巣復帰への想いを強調していた。

 しかしロサリオ市では麻薬組織の構想など治安悪化が大きな問題となっており、3月25日早朝には同市の治安の良いエリアに住むディ・マリアの両親の家に脅迫状が届けられた。そこには、「あんたの息子に『戻ってくるな』と伝えるんだ。戻ってくるなら、家族が死の恐怖に直面するぞ。州知事でさえも、あんたたちを助けることはできないだろう。俺たちは紙をまき散らすだけじゃないからな。銃弾と死体が投げ込まれるだろう」と書かれていた。

 その後、脅迫状に関与したとして、麻薬組織のメンバーなどが容疑者として逮捕されたが、誰がどのような意図でディ・マリアを脅迫したかは明らかになっていない。

 このような状況を考慮し、自身と家族の安全を第一に考えたディ・マリアがロサリオ・セントラルへの復帰を断念したという。

 なお、ディ・マリアとベンフィカとの契約は2024年6月までとなっている。ベンフィカは延長を希望していたが、ロサリオ・セントラル復帰を検討していたディ・マリアがベンフィカとの契約の更新を申し出なかったため、今季終了後の同選手の去就は不透明となっている。

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