アンチェロッティ監督“1次政権”で獲得した10名の現在…今もレアルで活躍するベテランや引退したFWも

 これまで2度にわたりレアル・マドリードを率いてクラブに数々の栄冠をもたらしてきたカルロ・アンチェロッティ監督。1日、イギリスメディア『Planet Football』が“1次政権”となった2013シーズンから2015シーズンの間に契約した10名の現在を紹介した。

※()内は現所属
■イスコ(ベティス)
 マラガ時代にラ・リーガで頭角を表し、2012-2013シーズンには公式戦47試合出場12ゴール6アシストの成績を残したイスコ。多くのビッグクラブからの関心が噂されるなか、3000万ユーロ(約49億円)の移籍金でレアル・マドリードに加入した同選手は、デビュー戦となったベティス戦で1ゴール1アシストをマークして新天地で完璧なスタートを切った。同メディアは、「彼はアンチェロッティの下で最高のサッカーを披露したが、その後数年間で人気を失い、最終的にはローテーション枠に消えた」と“白い巨人”でのキャリアを振り返りつつ、「脚光を浴びることなく数年が過ぎ、セビージャでは短期間ながら低迷期を過ごしたが、現在31歳のイスコはベティスで究極のキャリア復活を楽しんでいる」と主張した。

ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)
 同メディアに「変なやつだ」と表現されたカルバハルは、10歳でレアル・マドリードの下部組織に入団し、カスティージャ(Bチーム)でキャプテンを務めるまで上り詰めたワンクラブ・マンだったが、トップチームでのプレーを求めて2012年にレヴァークーゼンに移籍。しかし、1年間のプレーを経てアンチェロッティ監督から500万ユーロ(約8億円)で買い戻され、以降はクラブで400試合以上に出場し、5度のチャンピオンズリーグ(CL)制覇に貢献した。32歳になった現在もレアル・マドリードの主力として活躍を続けている。

■カゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)
 レアル・マドリードは2013年1月に当時サンパウロに所属していたカゼミーロと契約。すぐにカスティージャで出場機会を得たが、同年夏にアンチェロッティ監督が指揮官に就任するとトップチームへと昇格した。2014-2015シーズンはポルトにレンタル移籍したカゼミーロだったが、レアル・マドリードではラ・リーガ3回、クラブワールドカップ3回、CL5回と多くのタイトル獲得に貢献。2022年8月に加入したマンチェスター・ユナイテッドでは、度々低調なパフォーマンスが批判の的となっているが、「信じられないほど脚が不自由になり、ピークを過ぎているように見える。レアルは完璧なタイミングでレジェンドを追い出した」と売却のタイミングが適切だったと指摘した。

アシエル・イジャラメンディ(FCダラス)
 アンチェロッティ監督にとって、「獲得リストの最初のミス」との烙印を押されてしまったイジャラメンディ。レアル・ソシエダで絶対的な存在感を放っていた同選手は、レアル・マドリード史上スペイン人最高額となる3500万ユーロ(約58億円)の移籍金で同クラブに加わった。しかし、新天地では本来の輝きを取り戻せず、2年後に古巣レアル・ソシエダに復帰。2023年にはFCダラスへの移籍を決断し、今もメジャーリーグ・サッカー(MLS)でプレーしている。

ガレス・ベイル(引退)
 サッカー界史上最も注目を集めた移籍のひとつであるベイルのレアル・マドリード加入。3トップを編成するカリム・ベンゼマクリスティアーノ・ロナウドによる“BBC”は、宿敵バルセロナの3トップであるリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの“MSN”と比較され続け、世界最高のユニットとして大きな注目を浴びた。だが、度重なる負傷に泣かされたベイルは徐々にクラブでの立ち位置を失い、古巣トッテナムへのレンタル移籍から復帰した2021-2022シーズン終了後にフリートランスファーでロサンゼルスFCへと加入。2023年1月に現役を引退したが、「間違いなく史上最高の英国人選手であるベイルがマドリードで過ごした時間は、時にはクラブよりもゴルフをすることを好んだとしても、歴史に燦然とその名を刻むことになるだろう」と称賛を送った。

■ハメス・ロドリゲス(サンパウロ)
 モナコとブラジルW杯で活躍し、2014年7月に8000万ユーロ(約132億円)とも報じられる移籍金でレアル・マドリードに加入したハメス・ロドリゲス。初年度は公式戦46試合出場17ゴール15アシストの成績を残した同選手だったが、2015年にアンチェロッティ監督がクラブを去ってからは、苦しい期間が続いた。以降はバイエルン、エヴァートン、アル・ラーヤン、オリンピアコス、サンパウロと世界各国を転々としているハメス・ロドリゲスに対し、「決して誇大広告に応えることはできなかった」と厳しい言葉で評価を下している。

トニ・クロース(レアル・マドリード)
「アンチェロッティにとってもう一つの大きなヒット作」と称賛を受けたクロースは、2014年7月に6年契約でレアル・マドリードへと加入。今もなお中盤に君臨し続ける同選手は、新たにクラブとの契約を1年間延長することが有力視されている。レアル・マドリード加入直前には、マンチェスター・ユナイテッドへの移籍が目前に迫っていたと伝えられることに対して、「デイヴィッド・モイーズ監督を解任し、ドイツ人選手と合意していた『オールド・トラッフォード』への移籍を頓挫させなければ、事態は大きく変わっていたかもしれない」と主張した。

■ケイラー・ナバス(パリ・サンジェルマン)
 2014年8月にわずか1000万ユーロ(約16億円)でレバンテからやってきた守護神には、「十分な利益を得たと言うだけでは控えめな表現だろう」と同選手がもたらした功績を称賛。「常に第一候補と第二候補の間を行き来していたナバスは、素晴らしいナンバー2」と指摘しつつ、在籍5年間で公式戦162試合を戦ったコスタリア代表GKの貢献を称えた。2019年からはパリ・サンジェルマンに所属しており、2023年にはノッティンガム・フォレストへのレンタル移籍を経験。今シーズン開幕前にはアル・ナスルへの移籍が報じられたが、最終的には残留を決めている。

■ハビエル・エルナンデス(グアダラハラ)
 マンチェスター・ユナイテッドで出場機会を失いかけ、クラブとの契約が残り1年となったタイミングで、買い取りオプション付きのレンタル移籍により“白い巨人”に加わったハビエル・エルナンデス。限られた出場機会のなか公式戦33試合出場9ゴール4アシストを記録し、FWの優秀なバックアッパーとして活躍した。その後、マンチェスター・ユナイテッドに復帰した“チチャリート”は、レヴァークーゼン、ウェストハム、セビージャ、ロサンゼルス・ギャラクシーを経て、今シーズンから古巣である母国メキシコのグアダラハラに13年ぶりとなる復帰を果たした。

■ルーカス・シウヴァ(クルゼイロ)
 アンチェロッティ監督にとって“1次政権”最後の補強となったのが、2015年1月にクルゼイロから1400万ユーロ(約23億円)で獲得したルーカス・シウヴァだ。しかし、わずか半年でアンチェロッティ監督がクラブを去ると、同選手もマルセイユにレンタル移籍。その翌年からも古巣クルゼイロでレンタルでのプレーを余儀なくされ、結局合計9試合の出場のみで2019年7月にレアル・マドリードとの契約を解除した。以降は、グレミオで3年半活躍し、現在はクルゼイロに復帰。今シーズンはここまで公式戦11試合に出場している。

ジャンルで探す