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【ACLラウンド16展望|浦項】主力流出で苦戦が続くACL最多優勝クラブが“7年前の再現”を目指す

“面白いサッカー”から“負けないサッカー”へ

 前身のアジアクラブ選手権を含めて、AFCチャンピオンズリーグ最多優勝(3回)の記録を誇る浦項スティーラース。2016年シーズン以来の出場となった今大会は、名古屋グランパス、ラチャブリFC、ジョホール・ダルル・タクジムと同居したグループステージを戦った。

 タイで集中開催されたグループステージは3勝2分1敗の2位。名古屋とは1戦目の第2節で0-3と完敗を喫したが、2戦目の第6節では終盤に追いつき、1-1の引き分けに持ち込んだ。最終的には決勝トーナメント進出条件である「東地区2位の成績上位3チーム」の3番目に入り、滑り込みでグループステージ突破を決めた。

 もっとも、今季の浦項は国内でパッとしないシーズンが続く。グループステージ終了後、8月のKリーグ1での7試合は2勝3分2敗。FAカップでもKリーグ2の全南ドラゴンズに敗れて準々決勝で姿を消した。

 27試合を終えて28得点は12チーム中7位の数字。新型コロナウイルス感染症の影響で全27試合に短縮された昨季は、リーグトップの56得点を叩き出していた。複数得点を記録した試合を数えても、昨季は15試合であるのに対し、今季は同じ試合数を消化した時点でわずか6試合と少ない。

 昨季Kリーグ最優秀監督に選ばれたキム・ギドン監督は、「『浦項の試合はゴールが多くて迫力にあふれ、面白い』と思ってもらえるようなサッカーをしたい」と語ったことがある。ただ、今季は得点を量産する“面白いサッカー”というより、面白みには欠けるが“負けないサッカー”に徹していると言える。

ACLで結果を出しチーム浮上のきっかけに

 得点力減少の要因は相次ぐ主力選手の放出にある。親企業からの支援減少に伴う財政難に苦しむ浦項は、開幕前に昨季チーム得点王のFWスタニスラフ・イルチェンコを全北現代モータースに売却。そして今夏には、昨季Kリーグ最優秀若手選手賞の韓国代表FWソン・ミンギュも全北現代に売却した。

 ソン・ミンギュは浦項が手塩にかけて育てた選手で、今季は苦しいチーム状況の中で前半戦まで最多得点をマーク。これらの活躍を評価され、東京五輪に出場したU-24韓国代表のメンバーにも選ばれていた。ところが、そんな期待の若手をフロントは事前に監督やコーチと協議することなく、「財政難の解決」を理由に独断で売却してしまったのだ。

 当然のことながら、点取り屋を失ったことで浦項の得点力は急落した。FWイム・サンヒョプが25試合で8得点と一人気を吐くが、新加入のFWボリス・タシチーは20試合でわずか1得点、昨季5得点のFWマヌエル・パラシオスに至っては19試合で無得点。今夏には元清水エスパルスFWキム・ヒョンソン、元サガン鳥栖FWキム・ホナムら前線の選手を補強しテコ入れを図ったが、彼らもまた加入直後の負傷によってチームへの適応が遅れている状態だ。

 それでも、FIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選の期間に行われたリーグ戦では、昨季アシスト王でKリーグベストイレブンのDFカン・サンウを代表招集で欠きつつも全北現代に1-0で勝利。これまで主力を引き抜かれてきた相手の白星で、選手たちも多少自信を取り戻した様子だ。

 決勝トーナメント1回戦で激突するセレッソ大阪とは2014年大会以来の再戦。グループステージで同組に入った当時はホームで1-1と引き分けたが、アウェーでは浦項が2-0で勝利した。当時のメンバーでは、2試合でいずれもフル出場したDFシン・グァンフンが34歳になった今も主力としてプレーしている。

 国内で低調な戦いが続いた浦項としては、セレッソ大阪戦を浮上のきっかけにしたいはずだ。アウェイの地では厳しい戦いが予想されるが、7年前のように勝利を手にすることはできるだろうか。

文=ピッチコミュニケーションズ

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