サッカー界の「ドラ1」級選手たち。来季プロ入りする彼らの実績・特徴は?

ユースサッカー界のナンバーワンプレーヤーである、青森山田高校の松木玖生が、来季のFC東京入りを決めて話題となっている。すでに来季の新人選手が続々と内定しているJリーグだが、プロ野球のようなドラフトはないため、そうした新人選手の顔ぶれやポテンシャルを把握する機会が少ない。そこで今回は、ユース、大学サッカーを取材する2人のライターに、松木以外で来季プロ入りするサッカー界の「ドラ1」級選手たちを紹介してもらった。

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大学で着実な成長を遂げ、川崎入りする松井蓮之

松井蓮之
まつい・れんじ
MF/法政大学→川崎フロンターレ/178cm、73kg

 姉で女優の松井愛莉の存在もあり、U-17日本代表にも選出された矢板中央高校時代から注目を集めていた。

 とりわけ守備に特徴を持つプレーヤーで、一躍全国に名を知らしめたのが高校3年時の高校サッカー選手権だ。中盤の底で類まれなボール奪取能力と空中戦の強さを発揮し、チームの4強入りに貢献。

 しかし、攻撃面で課題を残し、高校卒業時点ではプロ入りを果たせなかった。そうした不安を抱えたなかで法政大学へ進学すると、ポテンシャルが一気に花開く。サッカーIQが高まると、攻撃面でも存在感を発揮できるようになった。

 10月上旬のU-22日本代表候補合宿では、守備面だけではなく、的確に状況を判断してボールを配給。パスを受けるタイミングも高校時代から大きく改善され、U-17代表時代を知る関係者もその成長に目を細めた。

 タレントが揃う川崎フロンターレで1年目から出場機会を得るのは簡単ではない。しかし、今の松井であれば、技術とサッカー理解が求められる川崎のスタイルにも適応できるはずだ。
(松尾祐希/文)


名古屋のトップチームに昇格。攻守に渡る活躍が魅力の吉田温紀

吉田温紀
よしだ・はるき
MF/名古屋グランパスU-18→名古屋グランパス/180cm、70kg

「大学生や高校生を見ると、彼らの良さを感じるとともに、うちのアカデミーの選手ってすごいんだなって思うんです」

 名古屋グランパスOBで、現在はクラブのスカウトを務める中谷勇介氏がこぼした言葉が印象に残っている。今年名古屋U-18から昇格する3選手は、将来が楽しみな選手ばかりだが、なかでも期待が大きいのがMF吉田温紀だ。

 昨年から今年夏まではセンターバック(CB)を務めていたが、本職はボランチ。シンプルなボールの散らしと気の利いた縦パスを判断よく使い分けるのが特徴。機を見て3列目からボールを持ち運び、攻撃のアクセントも加えられる。また、CBの経験を活かした鋭い読みで、ボールハントでも力を発揮できる頼もしい選手だ。

 昨年までは世代別代表とは無縁だったが、3月に行なった群馬遠征でのプレーが評価され、U-18日本代表候補に初選出。6月には飛び級でU-20日本代表候補にも選ばれた。トップチームからの評価も高く、ACLの帯同メンバーも経験している。

「現状に慢心するのではなく、自分がトップで活躍できるよう日々の練習から、自分の武器や足りない部分を意識している」と口にできるメンタル面も強み。来年以降はさらにたくましさを増しそうだ。
(森田将義/文)


川崎入りする永長鷹虎。類稀なボールテクニックに注目だ

永長鷹虎
えいなが・たかとら
FW /興國高校→川崎フロンターレ/168cm、60kg

 正式オファーが届いたのは、川崎フロンターレを含めた3チームだが、獲得に興味を示したチームは10チーム以上。8月に初めてU-18日本代表候補に選ばれるまでは目立った経歴はなかったが、今年に入ってからの成長は著しく、スカウト人気ナンバーワンのアタッカーとなった。

 プレーを見れば、争奪戦となった理由がよくわかる。高校入学まで、リフティングとドリブルを徹底するチームで磨いたテクニックはピカイチ。華奢だった身体も大きくなり、突破力にスピードがついてきた。

 今年に入ってからは、右サイドからカットインして放つ左足シュートでゴールも量産しており、川崎の向島建スカウトは「これほど一人で仕掛けられる選手は少ない。勝負強さも出てきて、頼もしくなっている」と高評価している。来年以降は、同じ左利きのドリブラーで名字がよく似たMF家長昭博の後継者として、より注目されそうだ。

 ちなみに、鷹虎という名前は、野球好きの父が、生まれた年にホークス(鷹)とタイガース(虎)が日本シリーズを戦ったことからつけられた、と本人は語っている。
(森田将義/文)


すでに湘南でデビューを果たしている、期待のFW根本凌

根本 凌
ねもと・りょう
FW /鹿屋体育大学→湘南ベルマーレ/183cm、83kg

 高校3年生の時に、上田西高校を選手権ベスト4に導くまで目立った経歴はないが、183cm、83kgの恵まれたフィジカルを活かしたポストプレーは、ほかの選手にはない大きな武器。大型選手としては少ない、ゴール前の抜け出しも備えたタイプだ。

 大学に入ってからもプレーのスケールは増し続けた。年代トップクラスのFWとして評価され、J1での優勝経験を持つクラブからも関心を寄せられたが、大学3年生になる直前の昨年3月に、少年時代に通った湘南ベルマーレへの加入を決意。

 9月には湘南の特別指定選手としてデビューを果たし、「守備の強度が高いので、攻撃のテンポを速められるよう常に考えなければいけない」といち早くプロの基準を学んだ。今季はルヴァンカップの横浜FC戦で先発デビューを果たし、プロ初ゴールをマークしている。

 注目され始めてからの成長速度には目を見張るものがあるが、現状に満足していない。「海外を見ていると10代後半、20代前半で活躍している選手は多い。高卒でプロに行った選手と比べ、自分は遅れているという認識はある。まだまだ自分はこれから」と意気込む男の巻き返しは、これから本格的に始まる。
(森田将義/文)


高2でJ1デビューしている中村仁郎。G大阪の先輩たちを超えられるか

中村仁
なかむら・じろう
MF/ガンバ大阪ユース→ガンバ大阪/165cm、59kg

 家長昭博(川崎)、宇佐美貴史(G大阪)、堂安律(PSV)を輩出してきたガンバ大阪に新たな逸材が現れた。アカデミーの先輩たちと同じように中学時代から将来を嘱望され、高校1年生の時はU-23チームの一員としてJ3で18試合出場3得点を記録。

 翌年のJ1第34節の清水エスパルス戦でJ1デビューを果たし、宇佐美、堂安と同じく高校2年生でリーグ戦のピッチに立った。今年はU-18日本代表候補に加え、飛び級でU-20日本代表候補にも招集されている。

 ストロングポイントは、左足を駆使したドリブルだ。常にDFが足を出せない場所にボールを置き、相手の逆を取りながらボールを運ぶ。どんなプレーをするかわからない魅力があり、見ている者をワクワクさせる雰囲気を持っているのも面白い。

 また、小柄なドリブラータイプにありがちな非力さもなく、コンパクトなヒザ下の振りから強烈なシュートを打てるのも武器のひとつ。守備面に課題はあるが、非凡な攻撃センスだけを見れば1年目からブレイクする可能性は十分にある。
(松尾祐希/文)


得点感覚に優れた木原励。浦和で持ち味を発揮できるか

木原 励
きはら・れい
FW/京都橘高校→浦和レッズ/180cm、68kg

 裏への抜け出しと、得点感覚を持ち合わせるストライカーだ。

 同じピラティスの指導者に師事していた関係で岩崎悠人(サガン鳥栖)に憧れ、京都橘高校へ進学。1年生の時からトップチームでプレーし、2年次の高校サッカー選手権では2回戦で敗退したものの、初戦で2得点を挙げる活躍を見せた。

 迎えた今季はキャプテンに就任。岩崎が最終学年で背負った背番号7を継承している。京都橘の米澤一成監督は、今年の春に「励は岩崎のようにチームを勝たせるレベルにまだ来ていない」と話していたが、夏のインターハイ予選は決勝で敗れるなど、思うように結果を残せていない。

 高校最後の選手権に向けてチームを勝たせられるストライカーになり、精神的な強さを身につけられれば、プロ1年目からチャンスを掴む可能性は十分にあるだろう。
(松尾祐希/文)


規格外の選手、チェイス・アンリの進路に注目が集まっている photo by Matsuo Yuki

(番外編)
チェイス・アンリ
ちぇいす・あんり
DF/尚志高校/187cm、80kg

 高校サッカー界でトップクラスの評価を受けるセンターバックだ。

 アフロヘアをなびかせて高打点のヘッドを見舞えば、地上戦でも圧倒的なフィジカル能力で相手を跳ね返す。そのパワーは高校年代では頭ひとつどころかふたつほど抜けており、プロの世界に入っても見劣りはしないだろう。

 課題だったビルドアップにも成長の跡が見られ、10月上旬に飛び級で参加したU-20日本代表候補合宿では、正確なフィードで攻撃の起点としても機能した。

 規格外という言葉がハマるが、卒業後の進路も従来の枠に留まらない可能性を持つ。Jクラブに加えて、欧州クラブへの挑戦も、現在検討しているからだ。

 インターハイ予選後にボルシアMG(ドイツ)のU-19、AZ(オランダ)のU-23チームで練習を経験。「自分のプレーが通用した部分はあった。身体能力は負けていなかったし、ロングフィードも通用したと思う。あとはゲームスピードに慣れれば、できる感覚があった」と、本人も可能性を感じている。

 アメリカにルーツを持ち、小学生までロサンゼルスで過ごしたことで英語は問題なし。性格的にも海外向きのマインドを持っている点を踏まえれば、高卒即欧州クラブ行きは決して夢物語ではない。
(松尾祐希/文)

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