乾貴士のアラベスデビュー戦に感嘆の声。「欲が出てきた」

 久しぶりに乾貴士のいきいきとしたプレーを見ることができた試合だった。

 新天地アラベス戦での初戦の相手はレバンテ。チャンスにゴールこそ決めることができなかったが、筆者の後ろに座っていたMARCAの実況担当者は、「右でも左でもすごいプレーを見せてくれている」と、興奮気味に称賛。また、リーガの金曜&月曜開催への抗議のため、試合開始から5分後にスタンドに入ったアラベスサポーターからも、感嘆の声を何度となく引き出した(試合は2-0でアラベスの勝利)。


レバンテ戦に先発、アラベスでのデビューを飾った乾貴士

「乾はイバイ(・ゴメス。1月にビルバオに移籍した)が自分たちにもたらしてくれていたものと、似たものを与えてくれた。縦への奥行きのあるプレー、タメ、継続したプレー。さらに試合で見せてくれたように、両サイドでチームの力になってくれた。相手DFにしてみれば、捕まえることが難しいプレーだった」

 監督のアベラルド・フェルナンデスもそう語り、2月にチームに加入したばかりの背番号11の働きを高く評価した。そして、先発した乾のパフォーマンスがよかったと認めたからこそ、交代が遅れたことも打ち明けた。

「自分のなかでは、もっと早い時間での交代を考えていた。なぜなら、乾はアジアカップであまり多くの試合に出ていなかったからだ。だが、いいプレーを見せてくれていたし、これからもっと多くのものをチームにもたらしてくれる選手になってくれるだろう」

 レバンテ戦までチームは無得点で3連敗中。悪い流れのなかにあったこともあり、リードした終盤、足の止まってきた選手を早めに交代させるのは当然だと思われた。だが、乾の守備をさぼらずしっかりと走る姿に、アベラルド監督は自然とカードを切るのが遅れてしまった。

「久しぶりだから疲れた。決めたかったな、前半も後半も……。ほんと左足、下手やな。けど、今日の試合は勝利したことが一番」

 試合後の乾は、得点を決められなかったことを反省しながらも、勝利に貢献できたことへの満足感を漂わせた。

 アベラルドのサッカーについては「みんなを頑張らせるね。俺が求めていた、練習から100%の力を出すサッカー。『練習から100%出さないといけない』とミーティングであらためて話をしていた。だからみんな100%でやるし、それが俺にとって大事な要素だった」と言う。

 合流してからたった1週間の練習でも、自分にとって集中することのできるサッカーであると感じており、ホセ・ルイス・メンディリバル監督に師事していたエイバルと似た部分があるとも話した。

 次節の対戦はベティス。早々と古巣の地セビーリャへ舞い戻ることに関しては、苦笑いを見せながら、「何も結果として残すことができなかったことを後悔している」と話してくれた。

「いきなりやね。やりにくいんだろうな。100%ブーイングされるだろうね。半年で何もせずに出てっているから、間違いなくブーイングでしょう。チームメートは応援してくれていたし、半年よくしてくれたから、感謝しているし、楽しかった。でも、試合に出られない悔しさも味わったからね」

 乾はベティスのチームメートたちへ感謝の気持ちを表しながらも、今はアラベスで全力を尽くし、日本代表へ戻ることを、これまで以上に強く目標へと掲げている。

「(アジアカップで)代表には行ったけど、あまり使われなかったので、悔しさがすごくある。絶対、代表に帰りたいという欲が出てきた。ここ(アラベス)でやるしかないという腹は決まった。ここで頑張っていれば選ばれると思う。30歳だけどまだやれると思っているし、今回も呼ばれて『やれる』と感じているからね」

 乾にとってこの半年間は、ベティスや日本代表で試合に出られない悔しさを貯め込んだ期間だった。アラベスとの残り半年は、それを晴らす期間になるかもしれない。そう感じさせてくれるデビュー戦のパフォーマンスだった。

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