残留危機のJ1札幌 湘南と痛恨のドロー…同点ヘッドのMF駒井善成「可能性ゼロになるまで諦めるわけにはいかない」

引き分けに終わり、しゃがみ込んでうなだれる札幌の鈴木武蔵(中央)と金健熙(右=カメラ・砂田 秀人)

◆明治安田J1リーグ 第36節 湘南1-1札幌(9日・レモンS)

 北海道コンサドーレ札幌が、J1残留が極めて厳しくなる引き分けを喫した。アウェー・湘南戦は後半5分に先制を許した。同14分にMF駒井善成(32)のヘディング弾で同点とし、その後も攻勢を強めるも、1―1のまま終了。残留圏の17位柏との勝ち点差6を縮めることができなかった。残り2試合に連勝しても、同じく2試合を残す柏が勝ち点を奪った時点で、2016年以来のJ2降格が決まる。

  手にした勝ち点が1では足りないことを、札幌の誰もが分かっていた。先制されながら追いつき、敵地で引き分けには持ち込んだ。しかし試合終了の瞬間、選手は座り込んでうなだれ、駆けつけた2400人のサポーターは静寂に包まれた。17年から居続けたJ1が大きく遠のく結果に、MF荒野拓馬主将(31)は「勝利が絶対だったので。悔しいという気持ちでいっぱい」と感情をあらわにした。

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)が「プレッシャーがあったのか、動きが硬かった」と振り返った前半、パスがつながらず、マンマークの受け渡しが乱れ、ピンチを招いた。同点弾の駒井が「背後を意識した戦い方ができれば、もう少し早くペースは握れた」と口にしたように、悪い流れのまま、先制された。失点後は攻勢に出たものの、勝ち切れなかった結果に、駒井は「途中まで押し込まれる時間帯が長く、それをはね返せなかったのは1つの要因」と後手に回ってしまった試合展開を反省した。

 残留圏の17位・柏と勝ち点6差で迎えた戦い。勝てばその差を縮められる可能性もあったが、ともに引き分け、残り2試合で6差のまま。2連勝すれば勝ち点では追いつくが、得失点差は札幌のマイナス20に対して柏はマイナス11と、大きな差がある。12月8日の最終節に直接対決が控えるものの、札幌が敵地で広島と戦う前日の30日、柏が神戸に引き分け以上となった時点で、試合を待たず、16年以来の降格が決まる。

 7月上旬までに8連敗を喫するなど出遅れた今季。夏の補強で最下位からは脱出し、残留の望みを残して残り2試合まで来たが、いよいよ後のない状況に追い込まれた。それでも駒井が「可能性が0になるまでは諦めるわけにはいかない」と声を大にしたように、前を向いて戦うしかない。奇跡を信じ、次戦までの3週間で、最善の準備を整えていく。(砂田 秀人)

  ◆札幌の残留条件 勝ち点34の札幌は次節の広島、最終節の柏に連勝しても勝ち点は40までしか伸ばせない。残留圏内の17位となるには〈1〉勝ち点40の柏が連敗し、〈2〉勝ち点35の磐田が残り3試合で勝ち点5以下となることが必要。得失点差は柏マイナス11、磐田マイナス18、札幌マイナス20。札幌が残留するためには連勝し、〈1〉と〈2〉の条件が満たされることが必要。その上で得失点、総得点などでの決着となる。

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