【番記者の視点】原口元気「静かすぎる。あまりにふがいない」 10年ぶり復帰の浦和で感じる物足りなさ

浦和MF・原口元気

 ◆明治安田J1リーグ▽第31節 浦和0―2FC東京(21日・埼玉)

 【浦和担当・星野浩司】 10年ぶりに戻ってきた埼玉スタジアム。試合後、場内一周した元日本代表MF原口元気がゴール裏のサポーターから浴びたのはブーイングだった。0―2の後半16分から途中出場したが得点は生み出せず、「流れを変えるまでに至らず、悔しいです」。その上で、前半に失った2点を追いかけるチームの姿勢を厳しく指摘した。

 「ホームで0―2で負けるのはあまりにもふがいない。その後のリアクションを含めてあまりにも静かすぎるというか、パワーが足りない。試合前も少し静かだった。ホームゲームなので、もっと情熱的にプレーしたい」

 開始9分、自陣右サイドからのクロスをDF井上黎生人がクリアミスして自陣ゴールに吸い込まれ、痛恨のオウンゴールを献上。5分後には相手の右CKから浴びたシュートがDF石原広教の左手に当たり、PKで2点目を喫した。

 井上はミス後にGK西川周作とDFホイブラーテンから「まだ時間はあるから大丈夫」などと声を掛けられたと言うが、軽率なプレーを強く叱咤した選手がいた印象はなかった。2失点目の直後も、チームを前に向かせるエネルギーをもたらす言葉や振る舞いは見られなかったように感じた。

 MF大久保智明は「失点した時のリアクションが大事。僕を含めて未熟さが出た」。MF関根貴大は「早く失点してしまった時のチームの持って行き方はまだまだ足りない。1失点してチームが沈んだ時にリーダーシップを取ってどう持っていくかは大事」と反省を口にした。

 スコルジャ監督のもとでACLを制覇し、リーグ最少失点で4位となった昨シーズン。浦和にはDF酒井宏樹、ショルツ、MF岩尾憲ら「リーダー」と呼べる選手がいた。チームが劣勢の時、味方が軽率なプレーでミスを犯した時、ショルツが鬼の形相で叫び、鼓舞していた光景が目に浮かぶ。

 チームの現状を「静かすぎる」と語った原口は、リーダーとしてふさわしい選手の1人だろう。

 「たくさんのファン・サポーターの皆さんが来ている中で少しふがいない内容だと思った。パワーもないし、勇気も足りなかった。球際一つとっても、はめに行っているけどはまらないのは、強度の部分やコミュニケーションの部分もある。難しい状況から戻ってこられるようなメンタリティーをつくっていきたい」

 練習で誰よりも声を出し、試合ではベンチにいながら大きなジェスチャーと言葉で仲間を鼓舞。改善点をチームメートに遠慮も、忖度もなくストレートに言える存在は、今夏に主力がごっそり流失した浦和に足りなかったピースだと感じる。

 関根は言う。「元気くんだけを変に意識してもいいのかなって。逆に、元気くんだけ見てプレーしてもいい時間帯はあると思うし、そういうエネルギーを持ってるので、自分はそこについていきたいなと思ってます」。欧州や日本代表での経験で培った勝利への執着心。今夏に加入した33歳ベテランのエネルギーは、残り9試合で11位と低調なチームにプラスの作用をもたらすはずだ。

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