【特別連載】東京V城福浩監督、7月28日ブライトン戦へ「彼らの本気を引き出したい」ガチンコ勝負で挑む

東京V・城福浩監督(カメラ・宮崎 亮太)

  東京Vの城福浩監督(63)がスポーツ報知の取材に応じ、今夏のジャパンツアーで来日する英プレミアリーグ・ブライトンとの一戦に向けて、狙い、思いなどを熱く語った。7月28日(国立競技場・午後6時半キックオフ)に行われる親善試合で、指揮官は「しっかり勝ちにいく。彼らの本気を引き出したい」と宣言。スポーツ報知のニュースサイトでは「特別連載」として城福監督が語る国際試合の重要性、ブライトンに所属する日本代表FW三笘薫(27)への思い、サッカーファンへ示したい「第4章」を戦うヴェルディのサッカーについて、3回に分けて連載する。(取材・構成=後藤 亮太)

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 誰よりも城福監督が、この特別な一戦を心待ちにしている。Jリーグの中断期間に行われるブライトン戦について聞かれると、包み隠すことなく、高ぶる思いを明かした。

 「本当にうれしいですし、またとないチャンス。おそらくJ1にいなかったら、この話は絶対、我々には回ってこなかっただろうなと。俺らがやらせてもらえるの?という感じでした。(日程など)全く細かいことを決めずに、やらせてもらえるのであればやりましょう、他のチームが手を挙げる前に決めて下さいと伝えました」

 ただの国際親善試合ではない。ブライトンにとっては開幕に向けたプレシーズン中だが、平均年齢がJ1の20クラブで最年少(開幕時点、24・1歳)の若いチームにとっては、世界を体感できる貴重な一戦だ。

 「プレミアリーグのスピードやスキルを体感できるまたとない機会。100%とは言えないまでも、9割くらい仕上がった中での彼らのプレーの速さや判断の速さがどんなものなのか、というのは本当に選手に経験させてやりたいなと思います」

 その90分間には、トレーニングだけでは決して経験できないものが詰まっているとも強調する。

 「細かな技術、例えばパスのスピード、それをコントロールする力、キックの精度や判断の速さだったりは、僕らはピッチの上では要求していますけど、実際に対戦したピッチ上で、あるいはスタンドから見ている選手も、ここが違うなとか、これすげえとかって、それが一番大事なんですよね」

 その意義を語る指揮官の言葉は熱を帯びる。

 「僕らが耳にタコができるように言い続けるんじゃなくて、ああいう舞台に立ちたかったら何をやらなきゃいけないんだということを感じることが大事。我々もそこは一生懸命、伝えようとしているんですけど、さらに言っていることはこういうことなんだなと、彼らが分かってくれるとありがたい。この経験は何物にも代えがたいなと思います」

 それを体感したのが、5月29日に行われたスペイン1部Rソシエダードとの国際親善試合(0●2)だった。リーグ戦の合間に行われたこともあり、出場は控え選手中心。主力はベンチ外だったが、スタンドから観戦していた主将のMF森田晃樹が「パスとコントロールの質が明らかに高い。それだけでボールを取られないし、ボールを回せるんだとみんなが学んだ」と話したように、チーム全員が大きな刺激を受けたと城福監督も振り返る。

 「Jリーグに出られていない選手があの場を経験できたのはすごく大きかったですし、何よりもスタンドで見ていた選手が『出たかった』『次は絶対出る』と息巻いていました。特に若い選手は海外志向が強いので、あの地(海外)に行って自分がやれるためには何が必要かという情報に飢えているんですよ。(今回は)体感できる情報なので、僕らが何かを言うより、彼らが一番、それはもうカラッカラのスポンジの状態で臨むんじゃないですかね。目いっぱい吸収しようと思っていると思います」

 ただ、世界基準を体感できるかどうかはヴェルディ次第でもある。だからこそ、リーグ戦と同様の本気モードで戦うことを約束した。

 「彼らの本気を引き出すことが大事かなと。本気度を引き出さないと、(世界を)体感したいことにならない。際どいスコアにするために守備一辺倒になるなんていうのは僕らは望んでないし、やる選手も渡り合ってみたいと思っていると思う。我々のサッカーがどこまで通用するのかと。失点しないで点を取りに行くという姿勢を見せることが、我々にとっては中断期の一番いい準備になりますし、彼らの本気度を引き出させる一番の方法になるかなと思います。しっかりと勝ちに行きます」

 「親善試合」というムードは一切なし。城福監督率いる東京Vは120%のフルパワーで、ブライトンに立ち向かう。

(第2回は7月8日更新予定。城福監督が語る三笘薫

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