【番記者の視点】浦和、明本考浩がジャンピング決勝ボレー弾…超アグレッシブなSBの代表入りを推す

浦和・明本考浩

◆明治安田生命J1リーグ▽第5節 浦和2―1新潟(18日・浦和駒場) 得点【浦】酒井宏樹、明本考浩【新】太田修介

 【浦和担当・星野 浩司】 アクロバチックに跳び、華麗なボレーでぶち込んだ。1―1の前半47分、右CKのクリアボールにニアサイドで反応したDF明本考浩は「勝手に体が動いた。本能ですね(笑い)」と体を右に倒して左足でミート。21年8月以来のリーグ戦ゴールが決勝点となった。

 今でこそサイドバックがメインだが、大学時代からボランチ、MF、FWと攻撃的なポジションでプレー。ゴール前での得点力には自信がある。ヒーローインタビューで「最高で~す!」とシャウトし、「身体能力(を授けてくれた)の部分で親に感謝しています」と満面の笑みを浮かべた。

 身長170センチと大柄ではないが、ジャンプ力と競り合いの強さはチーム屈指。前半30分、33分と2度のCKではゴール前の空中戦でクロスに頭で合わせる役割を担ったが、得点シーンはセカンドボールを見事に仕留めた。明本は「こぼれてくるのは分かってた。落下地点(を素早く察知するの)は自分の得意分野で、うまく合わせられた」と自画自賛。マチェイ・スコルジャ監督も「明本は今日、試合を通じていいプレーを見せていた」と名指しで絶賛した。

 「中学時代は素走りが本当に嫌いで、ケツの方を走ってた。(国士舘)大学時代は合宿で一日10キロとかすごく走った」という走力は圧巻だ。左サイドでアグレッシブな攻守を見せる明本が生み出すプラスαは多い。

 1トップの興梠慎三が中盤に下りてボールをさばき、左MFの小泉佳穂が中央寄りでボールを配球し、相手右サイドバック(SB)に高い位置を取らせる場面が少ないのも、驚異的な運動量の明本がいてこそだと感じる。最終ラインで体を張って守備していたかと思えば、爆走してスルーパスに抜け出してクロスを上げ、前半25分には自陣でボールを奪って約40メートルのドリブル突破。スプリントはチーム2位の20回に上った。

 左サイドバックは荻原拓也大畑歩夢と主力級がそろう中、明本は開幕から5試合連続でフル出場している。ここ数試合では、後半から投入の荻原が左SB、明本が左MFにシフト。終盤でも落ちない走力を武器に、複数ポジションをハイレベルでこなしている。「守備では目の前の相手に負けない。攻撃はどんどんアグレッシブに行く」を信条に走りまくっている。

 この日は、0―1の前半35分に同点ゴールを決めたDF酒井宏樹とともに両SBがアベック弾。「宏樹くんとも『SBが決めるチームは強くなる』とずっと言ってた。シーズン序盤に2人が決められたのはすごくよかった」とかみしめた。

 明本はこれまで日本代表への選出経験はないが、サイドバックの世代交代が求められる代表の“予備軍”にいると感じる。3月の代表活動で日本代表を選外となった酒井はこの日、「いいかげんね、僕と(長友)佑都くんに代わる良い若手選手が出てくれることを願ってる」と熱望した。得点力、運動量、アグレッシブな攻守を武器とする25歳の代表入りを、個人的には推したい。

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