久保建英でも、伊東純也でも、遠藤航でも、小川航基でもない…城彰二が「本当に強い選手」と称賛した森保ジャパンの“意外すぎる選手”とは?《W杯アジア最終予選》

 今月15日と19日に2026W杯アジア最終予選が行われ、サッカー日本代表はインドネシア・中国とアウェイで対戦。インドネシアには4-0、中国には3-1で勝利した。

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 元日本代表で、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか。話を聞いた。

中国戦に臨む日本代表 ©時事通信社

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インドネシア戦の前半、日本代表が苦しんだ要因

――インドネシア戦と中国戦は、今年最後となる日本代表の試合でした。2連勝し、W杯最終予選は5勝1分けの勝ち点16で2位のオーストラリア(勝ち点7)に大差をつけ、首位になりました。

城彰二さん(以下、城) この2試合は、普通にやれば勝てる相手。ただ、2試合とも前半は、相手が日本をしっかり研究してきて、なかなか自分たちのペースにならなかった。

 でも、そういう時にワンチャンスをものにしたり、セットプレーで点を取ったり、終わってみれば2試合とも日本のやり方を貫き通して勝っているので、さすがだなと思いましたね。

――インドネシア戦、前半苦しんだのは、どこに原因があったのですか。

 相手は球際が強く、かなりプレスをかけてきていたし、うまく自分たちのペースに持ち込んでいた。相手FWはボールが収まるし、繋げるし、全体的にアジリティが強く、個の能力が高い選手が多かったのも手を焼いた1つの要因です。過去のインドネシアのイメージとはまるで違っていて驚いた。正直、中国より強いと思いました。

相手の決定的なチャンスを止めた鈴木彩艶の存在感

――前半9分、相手の決定的なチャンスを鈴木彩艶が止めたのが大きかったですね。

 彩艶は、落ち着いていたね。あそこで決められたら完全アウェイだったので、かなり嫌なムードになったと思うけど、相手の動きを最後までよく見て、シュートを止めた。サウジアラビア戦でも前半42分に決定的なシュートを止めて相手に流れを渡さなかったけど、最近の彩艶は本当に安定している。

 もともと身体能力が高いし、セービングの技術が高く、フィードもうまい。クラブで活躍し出してから一気に成長し、ここにきて総合的にワンランク上のレベルの選手になった。個人的には代表のGKは、彩艶と野沢(大志ブランドン)でいいと思います。

――中国戦は、前回7-0で勝った相手でした。今回は、アウェイということもありますが、前半はインドネシア戦同様に苦しみました。

 日本に大敗して、今回はだいぶ修正してきました。最終ライン、ボランチ、2列目までしっかりとラインを整えてブロックを敷き、縦に来る選手に対してついていく守備をしていた。

 日本は攻めるスペースがなかったですし、小川(航基)にボールが入らず、守備も厳しいのでペースを掴むことができなかった。そういう時にセットプレーで先制点を取れたのはすごく大きかったですし、中国にとっては大きなダメージになりました。

中国戦では相手に崩されて失点…どこが問題だったのか?

――先制点となったCKのキッカーは久保建英でした。

 代表では最近、あまり目立たないけど、クラブで活躍しているので、身体がキレている感じでしたね。チャンスメイクをしていたし、前半38分のシュートもGKに弾かれたけど、見事だった。CKのボールも非常に精度が高かった。

 左足でゴールから離れていくボールを蹴っていたので、FWとしてはヘディングしやすいんです。カーブしていて、かつスピードのあるボールなので、あまり力を入れなくても、しっかりと首を固定して当てればボールがゴールに飛んでいく。そういうボールを蹴れる久保は、伊東(純也)とともにプレースキッカーとして欠かせない存在になっています。

――中国戦は、オーストラリア戦以来の失点となりました。ただ、今回は完全なミスではなく、流れから崩された失点でしたが、どこが問題だったと思いますか。

 カウンターが発動した時、遠藤(航)の戻りが少し遅くて、ボールを取りにいって簡単にかわされてしまった。その後、右のサイドに展開された時、中村(敬斗)が戻り切れなかったし、3バックの瀬古(歩夢)が裏のスペースをケアするポジションを取らないといけないけど、相手にブロックされて裏抜けされてしまった。

 谷口(彰悟)が怪我でいない中、この3バックは急造の感じが否めなかったし、守備の意識のズレから生まれた隙を突かれてしまった。主力が欠けるのはよくあることなので、誰が出ても安定した守備ができるようにするのが、今後のひとつの課題でしょう。

活躍した小川航基が、それでも「不安な点が多い」理由

――小川航基が中国戦で2ゴール。いずれもヘディングのすばらしいゴールでした。

 小川は開花しそうな感じがあるけど、まだ不安な点が多いですね。周囲と連携がうまくいっていないし、ポストプレーもまだまだでしょう。かといって、自分で突破していくタイプでもない。上田(綺世)との差はまさにそこです。

 つまり、小川は周囲に使ってもらえないと活きないタイプなんですよ。武器という武器がないので、上田からスタメンを奪うのは難しいと思うけど、それでも上田がいないチャンスの中、2ゴールを決めて持ち味を発揮した。個人で突破が難しいのであれば、それ以外の質を上げていかないとレギュラーは厳しいかなと思います。

――今は3バックで戦っている分、サイドバックが本職の選手の出場機会が減っています。インドネシア戦では、そのうっ憤を晴らすように、菅原(由勢)がものすごいシュートを決めました。

 気持ちが入っていて、まさにぶち込んだというシュートでした。パスをする気配は一切なかったですからね。選手としては試合に出たいし、出られないストレスは当然あると思う。

 そういう悔しい気持ちを抱えて、いざ出番になった時、少ないチャンスを活かしてゴールを決めたのは、すごくいいことですし、他の選手に刺激を与える意味でも、チームにとってよかったんじゃないかなと思います。そういう選手がチームにいないといけないと思いますよ。

城彰二が長友を「本当に強い選手」と絶賛するワケ

――同じように長友佑都は招集されてもベンチ外になることが多いですね。

 長友は、プレーヤーの価値というよりは、チームマネジメント、メンタル面での貢献を期待されているように見えますが、それは森保さんが長友に伝えていると思います。その役割で長友も割り切っていると思うし、もうスタッフみたいな感じですからね。

 たぶん、選手として試合に出ることはほぼないんじゃないかな。でも、クラブでは試合に出ているので、コンディションを維持するのに苦労しているんじゃないかなと思います。

――城さんが、長友さんのような役割で代表に来てほしいと言われたら、どうしますか。

 自分は無理。名誉なことだけど、試合に出れないわけじゃないですか。ある意味、W杯メンバーの第3GKと同じですよね。

 フランスW杯の時、小島(伸幸)さんが第3GKだったのですが、選手というよりほぼコーチでした。能活(川口)と正剛(楢﨑)のメンタルケアや練習のサポートをしていたけど、それは小島さんだからできたことで、自分では考えられない。

 自分の精神的なストレスの方が大きくなって、気持ちが破綻してしまうと思うんです。それができる長友は、本当に強い選手だなと思います。

今年の日本代表で特に目立った“2人の選手”とは?

――この2試合で、今年の代表の試合は終わりになります。2024年シーズン、日本代表で特に印象に残る試合、選手、シーンはありますか。

 今年の代表で非常に目立ったのは遠藤と守田(英正)のダブルボランチでしょう。攻守においてのバランスの取り方が絶妙で、技術が高く、個人戦術と集団戦術に優れ、今年はすべてがレベルアップして完全に日本の心臓部になった。

 それが明確になったのは、10月のオーストラリア戦でした。遠藤が体調不良で不在になり、田中碧が代わりにプレーしたけど、チームを機能させることができなかった。中国戦は守田の代わりに出たけど、いつもは縦パスを入れたり、ワンタッチで変化をつけていくのですが、そういうシーンが少なく、目立ったのは後半36分のワンタッチで繋いでシュートしたところぐらい。

 遠藤と守田の牙城を崩すのは、相当難しい。それくらいこの2人は今季、すばらしい鉄板コンビになったと思います。

――今回の2連勝で、W杯出場に王手がかかりました。3月ホームで迎えるバーレーン戦、サウジアラビア戦の2戦のどちらかに勝てば、8大会連続でのW杯出場が決まります。

 今の日本の強さを考えれば、バーレーン戦(3月20日)で決まるんじゃないかな。そこで決めた後の試合では、いろんな選手を試してほしいですね。藤田(譲瑠チマ)とか高井(幸大)とか、いい素材の選手がたくさんいるし、彼らが活躍できれば戦力の底上げにつながるわけじゃないですか。

 森保さんは予選突破後も徹底して同じメンバーでやる可能性があるので、そうなると今後がちょっと不安だけど、まずはしっかり勝って日本のファンの前で予選突破を決めてほしいですね。

取材・文=佐藤俊

(城 彰二)

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