「アップ=体慣らし」ではない 元中日エースが実践、ライバルに差をつける効果的メニュー
ジャンプ系トレーニングを重視 体が重い時は腿上げで下半身に刺激
ウオーミングアップは、体を温めることを意味する。だが、意識の持ち方で体慣らし以上の効果がある。中日のエースとして最多勝や最優秀防御率のタイトルを獲得した吉見一起さんは、その日の調子に合わせて内容を変えていた。少年野球の子どもたちも、ウオーミングアップに興味を持つとパフォーマンスに変化が生まれる。
練習前に取り入れるウオーミングアップ。ランニング、ストレッチ、ダッシュなど、チームや選手によって内容や割く時間は異なる。2020年まで中日で15年間プレーした吉見さんは、少年野球や高校野球の投手らからアドバイスを求められた際、ジャンプを取り入れたメニューを勧めている。
「投球は地面からの反発を利用するので、ジャンプ系のトレーニングが大事と伝えています。トレーニングの目的を理解して、興味を持ってから取り入れるといいと思います」
吉見さんは前、左右、斜め前、斜め後ろと、様々な向きにジャンプするメニューをルーティンにしていた。バランスを崩さずにできるだけ高く飛び、地面を強く蹴る感覚を磨いた。
全ての練習に共通しているが、狙いや効果を考えて取り組んでいた。理解した上で体を動かした方が、パフォーマンスアップにつながると感じていたためだ。だからこそ、ウオーミングアップも単に体を温めるだけで終わらせなかった。
体のキレを上げる時はダッシュや素振りが効果的
体が重い、足が上がらないと感じた時は腿上げをした。高く速く腿を上げる動きで下半身に刺激を与える。吉見さんは「投球は下半身が大切です。足が動かなければ上半身の動きは生きません。汗をかくことで体の重さも軽減されます」と説明する。
体のキレが足りないと感じた時は、ダッシュの本数を増やした。20、30メートルの距離を繰り返し走って、瞬発力を高める。他にも、バットを振って体をひねる動きを入れることでキレを出す時もあった。
吉見さんはウオーミングアップを「ただの体慣らしではなく、自分の調子を知る場」と位置付ける。それは練習前の準備ではない。取り組み方次第でライバルと差がつく。(間淳 / Jun Aida)
11/10 20:00
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