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川相昌弘を遥かに上回るペース ホークス今宮の犠打数、歴代1位到達はいつ?

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

今季両リーグトップの52犠打を記録した今宮

 今季、パ・リーグの最多犠打は今宮健太の「52」。2年ぶり4回目の最多犠打となった今宮は、当代最高のバントの名手だが、それだけでなくNPB史上でも特筆すべき存在だ。

 2017年終了時点で今宮の犠打数は270。これは歴代13位で、1位の川相昌弘の533犠打にはまだ遠く及ばない。現役でも今宮の上にはDeNAの田中浩康、楽天の細川亨、中日の荒木雅博がいる。しかしその量産のペースは半端ではない。

 以下は250犠打以上の選手と1年当たりの犠打数。※は現役選手。

1位・川相昌弘 533犠打(23年、23.17)
2位・平野謙 451犠打(16年、28.19)
3位・宮本慎也 408犠打(19年、21.47)
4位・伊東勤 305犠打(21年、14.52)
5位・田中浩康 301犠打(13年、23.15)※
6位・新井宏昌 300犠打(18年、16.67)
7位・細川亨 294犠打(16年、18.38)※
8位・金子誠 292犠打(20年、14.6)
9位・石井琢朗 289犠打(24年、12.04)
10位・荒木雅博 283犠打(21年、13.48)※
11位・正田耕三 282犠打(14年、20.14)
12位・水口栄二 279犠打(17年、16.41)
13位・今宮健太 270犠打(7年、38.57)※
14位・小坂誠 267犠打(14年、19.07)
15位・大島公一 265犠打(13年、20.38)
16位・吉田義男 264犠打(17年、15.53)
16位・東出輝裕 264犠打(14年、18.86)
18位・平野恵一 256犠打(14年、18.29)
19位・谷繁元信 252犠打(27年、9.33)

過去に類を見ないハイペース

 川相は23年を費やしてMLBの最多犠打記録を抜く533犠打を記録した。1年にすると23.17個だ。しかし、今宮はわずか7年でその半分強の270に達した。1年当たりでは38.57個。このペースならこれから7シーズン目、33歳の年に川相の記録に追いつく計算になる。こんなハイペースで犠打を量産した選手は過去にはいない。

 今宮は2013、2014年と62犠打を記録。これは2001年の宮本慎也の67犠打、1991年の川相昌弘の66犠打に次ぐ史上3位タイでパ・リーグタイ記録だ(昨年、日本ハムの中島卓也も62犠打を記録)。

 犠打は通常は、チームの指示で行うもの。選手単独の意志ではできない。今宮の犠打量産には、今年のソフトバンクが犠打を多用している事情がある。今季、ソフトバンクの犠打数は156、これは12球団最多。昨年は148で日本ハム、オリックスに次いで3位だった。チームが犠打を多用したこともあって、今宮の犠打数が増えたのだ。

 さらにその背景には「本塁打の減少」というNPBの大きな流れがある。2010年以降のNPBでは、1試合当たりの本塁打数は0.737、2000年から2009年は0.992だった。0.700台は1960年代の水準だ。そこまで本塁打数が減少した。それに反比例して犠打数は増加している。2005年の犠打数は両リーグ合わせて1126個だったが、今季は1326個だ。おそらくは、2011年に反発係数が低い「統一球」が導入され、本塁打数が減少し、それとともに各球団は戦術の変更を余儀なくされた。その結果として、ソフトバンクのように犠打を多用するチームが増えた可能性がある。

 もちろん、ソフトバンクも今宮という当代一の犠打の名手がいるからこの戦術を積極的に用いていることができるのだが、この傾向が続く限り、今宮の犠打数は増え続けるはずだ。今宮はどこまで犠打記録を伸ばすだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)