巨人の岡本和真の今オフメジャー挑戦は“封印”が濃厚…阪神の大山悠輔のFA問題はどうなる?!

巨人の岡本和真(28)の今オフのメジャー挑戦の“封印”が濃厚となった。7日までに複数の関係者が明らかにしたもので、海外FA権のない岡本のメジャー挑戦には、球団のポスティング容認が必要だったが、球団と岡本の両者の意向が“封印”で一致する方向で進んでいるとみられる。巨人は岡本流出の穴を埋めるため、FA資格のある阪神の大山悠輔(29)の調査に動いていたようだが、岡本の来季残留はその動向にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

 

 巨人にとってエースと4番のダブル流出の最悪事態は回避できそうだ。複数の関係者が岡本の今オフのメジャー挑戦は封印する方向で進んでいることを明かした。
 4年ぶりのペナントレースの優勝が決まった9月28日の深夜に放送された日本テレビ系「Going! Sports&News」の中で生出演した坂本勇人が「和真がメジャー行っちゃうかもしれないし…」とポロッと漏らしたことで、水面下で球団との協議が進んでいたメジャーへの挑戦話が表面化。共に出演していた岡本は番組内では否定も肯定もしていなかった。
 岡本は、2023年のオフの契約更改で複数年契約のオファーを断り、単年の推定4億2000万円でサインした。海外FA権を得るのは2026年オフまで待たねばならないが、メジャー希望の意向を伝え、球団も条件付きで今オフのポスティングの容認の可能性を示したと見られていた。
 岡本は優勝した2023年のWBCで米国のローンデポ・パークで侍ジャパンの一員としてプレーし、大谷翔平や吉田正尚らメジャーリーガーの姿を間近に感じて準決勝のメキシコ戦、決勝の米国戦でビッグスターたちと戦ったことにより強いメジャー志向を抱いた。
 巨人は過去にFAで横浜から移籍してきた山口俊氏と、エースとしてチームに長年貢献してきた菅野の2人にしかポスティングを認めず、松井秀喜氏も上原浩治氏も海外FA権を得るまでメジャー挑戦はできなかった。
 だが、ポスティングを認める他球団が増え、球界の流れが大きく変化。“鎖国”を貫くことが、ドラフトにまで影響を及ぼしかねない状況となっていることから、巨人も岡本の希望を受け入れる方向で進んでいたと見られる。
 岡本は今季143試合すべてに出場し、打率.280、27本塁打、83打点の成績を残して、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。本塁打、打点はいずれもヤクルトの村上宗隆に次ぐリーグ2位の成績だった。
 メジャーの岡本に対する評価も高く、MLB公式サイトは、「WBCのファンは、2023年の金メダルを決める決勝で米国に勝利した日本人スラッガーとして岡本を覚えている。右打ちの岡本は、安定したパワーを発揮し、過去7シーズンで平均33本塁打を放っていることで、そのパワーが証明されている」とした。
 WBCの米国との決勝に「6番一塁」でスタメン出場した岡本は4回に2年連続で2桁勝利をしたことがあるロッキーズの左腕カイル・フリーランドのスライダーをとらえて左中間に3-1とリードを広げる本塁打を放っている。
 また同サイトは、岡本の移籍先候補として具体的にデトロイト・タイガースの名前をあげ、「スコット・ハリスを(2022年オフに)編成本部長にして以来、アジアでのスカウト活動を拡大しており、タイガースは、今年ポストシーズンに出場したが、さらなる(打線の)パワーアップを目指している」とした。
 タイガースは、今季ポストシーズン進出を決め、ア・リーグのワイルドカードシリーズでアストロズに2連勝してディビジョンシリーズに進出したが、ガーディアンズに2勝3敗で敗れていた。

 

 

 しかし、今季15勝3敗の成績を残した菅野智之が海外FAを使ってのメジャー挑戦を表明し、6日に申請書類を提出。横浜DeNAとのクライマックスシリーズのファイナルステージは、いきなり3連敗からスタートし、2連勝(アドバンテージを合わせて3勝)で逆王手をかけて6戦目までもつれこんだが、2-3で敗れてリーグ3位の横浜DeNAが、ソフトバンクとの日本シリーズへ進出して日本一を手にした。
 そのCSでは、6試合中4試合で1点以上を取れないという打撃不振が敗因のひとつとなった。エースが抜け4番まで抜けると、来季の連覇、そして日本一奪回への見通しはまったく立たなくなる。
 MLB公式サイトも、メジャーの球団関係者の話として「岡本が北米に移籍すると予想しているが、それが今年の冬になるのか、それとも将来になるのかは明らかではない。菅野の状況(FAでメジャー挑戦を表明)があり、ジャイアンツは同じオフに2人の中心選手を失うことには慣れていないため、岡本のポスティング容認に影響を及ぼす可能性がある」と伝えていた。
 球団と岡本は水面下で協議を重ね、両者が納得する形でメジャー挑戦を1年延期することが濃厚となった模様だ。
 その岡本のメジャー挑戦封印で影響を受けるのが、FA戦線だ。
 巨人は、岡本の代役として阪神の4番打者である大山の調査をスタートさせていたという。大山のポジションは岡本と同じ一塁、三塁。今季は序盤に不振で2軍調整する時期もあったが、最終的には打率.259、14本塁打、68打点で、得点圏打率はリーグ2位の.354をマークしていた。勝負強い打者を欲していた巨人のターゲットにも重なる。甲子園から東京ドームに本拠地が変わることで、キャリアでは4年前の28本が最多の本塁打数が増える可能性もある。岡本が抜けるのなら絶好の代役となる。
 だが、岡本が残留となると大山は巨人でのレギュラーは約束されない。阪神の藤川球児新監督が、どんな構想を抱いているかは定かではないが、大山の一塁とクリーンナップは外せない。しかも阪神からは巨大な複数年契約を提示されている。
 プロ9年目であえて厳しい競争の世界に身を置くという考え方もあるのかもしれないが、常識的には、阪神の主軸の座を捨てて、ライバルチームへ移籍することは考え辛いし、巨人が今後、正式な獲得交渉に踏み出せない可能性もある。
 岡本の問題は、まだ最終結論には至っていないようだが、大山のFAの動向も含めて正式発表まで目が離せないストーブリーグの焦点だ。
(文責・RONSPO編集部)

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