「なぜ中日は落合博満を監督復帰させないのか」球界大御所が井上一樹2軍監督が最有力候補となっている中日の次期監督問題にモノ申す!

 中日は立浪和義監督(55)が今季限りの辞任を表明し、次期監督選びを早急に進めているが巨人OBでヤクルト、西武で監督として日本一になった球界大御所の広岡達朗氏(92)が「OBで監督経験者を探せ。理想は落合博満」との緊急提言を行った。広岡氏の提言とは裏腹に球団が煮詰めている次期監督の最有力候補としては2軍監督の井上一樹氏(53)の名前が挙がっている。

 井上2軍監督が最有力

 中日が4日からの横浜DeNAとの3連戦を最後に今季のレギュラーシーズンを終える。立浪監督は、9月18日に本拠地で行われた阪神戦に完敗すると、試合後に今季限りの辞任を表明した。球団サイドは、すぐに次期監督の選定作業に着手。すでに球団サイドは複数の候補を本社に提出し、大島宇一郎オーナーを中心とした本社幹部がその中から検討を重ねている。シーズン終了後には結論が出される方向で、そのリストの一番上には井上2軍監督の名前がある。
 井上2軍監督は、引退後すぐに2010年から中日で1軍打撃コーチ、2軍監督を経て、2020年から3年間は、中日時代の盟友で、当時阪神監督だった矢野燿大氏(55)に誘われ、阪神で1軍打撃コーチ、1軍ヘッドを務めた。中日には今季から2軍監督として復帰。2軍とはいえ、昨季最下位だったチームを最後まで優勝争いさせた手腕が買われ、厳しかった立浪監督とは対照的に選手を乗せて起用するモチベータータイプの指導者であることも評価されている。立浪監督が3年かけて育てた若手中心のチームにはピッタリの人材ではないかとの判断だ。
 だが、その動きに異論を唱えたのが球界大御所の広岡氏だ。
「中日は何年Bクラスが続いているんだ?根本的にチームを立て直す必要がある。それには野球を教えなければならない。やはり立浪は指導者経験がないことが影響した。次は監督経験者をOBの中から探すべきだろう」
 中日OBで、在野にいる監督経験者は、2014年から兼任監督を任されながらも最下位に沈んだ2016年に途中解任された谷繁元信氏(53)、2017年から西武で6年間監督を任されて2度リーグ優勝を果たし、中日では2007年から2軍監督、1軍総合コーチなども務めた辻発彦氏(65)、2022年まで阪神で4年間監督を務めて、3位、2位、2位、3位とすべてAクラスに導いた矢野氏の4人だろう。侍ジャパンの監督も経験者に含めるのならば、井端弘和氏(49)がいるが、2026年のWBCまで指揮を執ることが決まっており事実上困難だ。
 だが、広岡氏の“推し”は、あのレジェンドだった。
「優勝経験監督でいえば、辻しかいないのだろうが、不思議でならないのは、なぜ落合を再登板させないのか?ということ。年齢的に70歳なら、まだできる。次の指導者を育てるという役目を2年果たしてバトンを渡せばいい。野球の知識に指導力、そしてゲームの采配面も含めて落合の右に出るものはいない。十分にペナントレースを戦える投手力を持っているんだから、この戦力でも落合ならなんとかできる」

 

 

 落合氏は2004年から8年間、中日の監督を務め、リーグ優勝4回、2位3回、3位1回の堂々たる成績を収めた。2007年には2位からCSで巨人を破って日本シリーズに進出し、日ハムを4勝1敗で下して日本一にも輝いている。当時の白井文吾オーナーの信頼が厚かったが、球団フロントとは軋轢があり、年俸が高額だったこともあり、2011年にリーグ優勝を果たしながらも退任となった。
 その後、2013年オフからGMとしてチーム運営にかかわったが、チーム成績の低迷が続いて2017年1月限りで球団を去った。12月で71歳になるが、テレビ番組や自身のYouTubeなどで評論活動も続けている。中日では高木守道氏が70歳で監督に就任。野村克也氏は74歳まで楽天で監督をした。
 落合監督のラストイヤーだった2011年を最後に優勝から遠ざかり、2012年の高木氏の2位、2020年の与田剛監督の3位を除けば、この13年間で、すべてがBクラスに低迷しているチームを立て直すには最適の人材だろう。
 ただ過去の経緯を考えると、落合氏の再登板の可能性はほぼゼロ。それでも広岡氏は、「それくらいの大胆な発想を持って、指導経験が豊富な人物にチームの再建を任せよ」と訴えるのである。
 果たして中日はチーム再建に向けてどんな決断を下すのだろうか。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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