どうやって封じた?「スペシャルな選手。空中にボールを飛ばさせたら大変なことになる」大谷翔平を沈黙させた“3冠”サイヤング賞最有力のセールが秘訣を明かす

 ドジャース大谷翔平(30)は14日(日本時間15日)、敵地アトランタでのブレーブス戦に「1番・DH」で出場したが、今季のサイヤング賞の最有力候補左腕のクリス・コール(35)に2打数無安打1四球と封じられた。1-10の大敗だっため、7回からベンチに退いた。6回6奪三振5安打1失点でハーラートップの17勝目(3敗)をあげて、同じくリーグ1位の防御率.2.35をキープした奪三振争いでも1位となったコールは、試合後に“大谷封じ”の秘訣を明かした。

 「初球から空振りを狙いにいかねばならない」

 勝利数&防御率&奪三振数&勝率でリーグトップに君臨している今季のサイヤング賞の最有力サウスポーはタダものではなかった。
 エンゼルス時代の2019年以来、5年ぶりのセールとの対決で大谷は第1打席こそ四球を選んだが、残り2打席を完全に封じ込まれた。
 1点を追う3回一死二塁の得点機で迎えた第2打席は、まず初球のスライダーでストライクをとられた。2球目はインサイドへの154球のストレート。大谷は中途半端なスイングでファウルとなった。3球目の外角への155キロは見逃してカウント1-2から、アウトローへズバッと決まった158キロのストレートに大谷は手が出なかった。体をすくむようにしての見逃しの三振である。
 メジャー14年目のセールは、過去に2度、最多奪三振タイトルを獲得し、レッドソックス時代の2018年には世界一を経験、2020年のトミー・ジョン手術を経て、今季からブレーブスに移籍したメジャーを代表する左腕である。1m98の長身で、その長いリーチを生かした極端なインステップ投法。左打者の背中越しに投げ込んで大きく曲がる“魔球”スライダーがウイニングショットで投球の約40%を占め、ストレートの平均は、約152キロ。そのストレートも投球の約38%を占めて、ほぼこの2球種だけで打者を支配する。
 3度目の対戦は、5回二死一塁。初球の155キロの外角ストレートを振っていくがファウル。続くアウトローへの156キロのストレートは見極めた。捕手はずっとミットを外角に構えていた。本塁打警戒の配球は当然だろう。1-1からの3球目は伝家の宝刀のスライダー。大谷はスイングをかけたが、大きく外角へ曲がる“魔球”にバットは空を切った。
 セールは、大谷を追い込んでから143キロのチェンジアップをインコ―スに使った。大谷は、かろうじてファウルにした。5球目の高めの釣り球には手を出さなかったが、2-2からの6球目の外角スライダーにまったくタイミングが合わずにボテボテのピッチャーゴロ。バッティングをさせてもらえなかった。
 ドジャーズは野手をマウンドに送るほど点差が開いたため、大谷は7回でゲームを退き、2人の投打のビッグスターの対戦は、大谷の完敗に終わった。
 米「スポーツイラストレイテッド」や「ドジャーブルー」などの複数のメディアが報じたところによると、通算137勝目をマークしたセールは、試合後に大谷封じの秘訣を明かした。
「彼はスペシャルな選手で、彼のバレル(で捉えられるコースへ)にボールを投げたら大変なことになる」

 

 

 セールは前人未到の「50‐50」の偉業に挑んでいる今季のMVPの最有力候補に敬意を表した上で、こう続けた。
「彼との対戦ではソフトコンタクトを求めることはできない。なぜなら、そういう打球を打つことが少ないからだ。彼が今年やっていることを考えると、打球を空中に飛ばさせたら、僕にとってはよくないことが起きる。だから僕は、本当に試合開始の初球から空振りを奪えるボールを投げようとしているんだ」
 とにかく打球を上げさせないことに細心の注意を払い、初球から空振りを奪うことに全力を傾けたという。高めのストレートと外角低めへのスライダーのコンビネーションをうまく使い、危険なゾーンへの制球ミスは1球もなかった。内角に投じたのもチェンジアップの1球だけ。四球で歩かせた第1打席も初球は、高めの158キロのストレートで空振りを奪っている。
 セールは6月27日以来、敗戦を喫していない。ブレーブス史上初めて17試合連続で、自責点2以下を記録した選手となり、米殿堂入り投手の“レジェンド”グレッグ・マダック氏が持つ16試合連続の球団記録を抜いたという。
 アトランタ入りして2試合連続でノーヒットに終わっている大谷は今日15日(日本時間16日)のブレーブス戦で「50‐50」へ向けてのカウントダウンをもう一歩先へ進めるのか。ブレーブスの先発は40歳のチャーリー・モートン。今季8勝8敗、防御率4.11の右腕だ。5月に対戦しており、その際には2打数ノーヒットに終わっている。

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